月別アーカイブ: 2012年4月

乾癬に対する生物学的製剤

乾癬性紅皮症(膿疱性乾癬)の患者さんが、久しぶりに外来にみえました。長年、コントロール不良で、小生の手に負えず、チガソンやシクロスポリンを内服しても奏功せず、ビタミンD3もあまり効かず、他に有効な薬がないので、ステロイドの外用剤を続けざるをえませんでした。ひどい時は多くつけてもいいから良くなったら減らしてね、というのが精一杯の指示でした。良い知恵もないままお話と投薬が主体で、良くもならないのに、小生を見捨てずに通ってきてくれていました。時には有効な手立てを講じられない小生への不満やイライラも訴えられましたが。
生物学的製剤が使えるようになってからは、幾度かその説明をし、DVDなど見て貰って使ってみたらどうかと打診していましたが、高額なこと、副作用のことなどで、なかなか重い腰が上がらないようでした。高額医療の助成金制度のことを話しても気が進まないようでした。
そうこうするうちに、悪化して食事もままならず、皮疹も悪化してどうしようもなくなって寝込んでしまったようです。
かつて何度かお願いして診て貰った病院に、悪くなった時には受診するよう紹介状を書いておきましたが、それを持ってやっと専門病院を受診してくれ、入院の運びとなりました。
そして、インフリキシマブの点滴治療を受けて退院して久しぶりに顔を見せてくれたという次第です。
一目みて、こんなに明るい、すがすがしい顔をした患者さんの顔をみたのは何年ぶりかと、自分の目を疑ってしまいました。
あれから1か月もたたないのにすっきりした顔をして、体も落屑はほとんどありません。変形していた爪までよくなってきています。
「先生のところで、何年も治らなかったのに、こんなに良くなったよ。」との言には苦笑いというか、汗顔の至りというか、返す言葉もありませんでした。
いままで、生物学的製剤の有効性をHPでも書いてきましたが、それはあくまで講演会での聞きかじりで、実際に経験したものではありませんでした。
このように目の前に驚くほどの効果を見せられて、うなってしまいました。これ程までの凄い薬とは・・・。
ただ、これは始まりの一歩で、この先、感染症との闘い、二次無効の心配など越えなければならない山は沢山あるでしょう。
しかし、こんなにうれしそうで、積極的な顔をみてこの先この患者さんの人生に幸あれと、願わずにはおれませんでした。

千葉市花の美術館

千葉市花の美術館に行ってきました。 ポピーやチューリップの花がきれいでした。バラ園はまだ花開いていませんでした。 昨年の東日本大震災で、美術館も液状化のために閉館に追い込まれましたが館員の努力で見事に復活してきれいな花を咲かせて目を楽しませてくれています。 当日も館員の方々が、土作りに精をだしていました。 きれいな花々を撮ってみました。 1.jpg2.jpg3.jpg4.jpg5.jpg6.jpg7.jpg8.jpg9.jpg10.jpg11.jpg12.jpg13.jpg14.jpg15.jpg

接触皮膚炎(かぶれ)

湿疹・皮膚炎の代表ともいえる接触皮膚炎について調べて病因・病態を皮膚疾患解説にアップしました。
湿疹は皮膚科の疾患の中で最も患者数が多い疾患です。アトピー性皮膚炎もこの中に含まれます。ただ、湿疹の病態も、原因も多岐に亘り、一筋縄ではいきません。その中で接触皮膚炎(かぶれ)は最もクリアーカットに原因がわかり、それを除去すれば治癒に至ることが可能です。また生体内での病態、免疫現象が最も明らかにされ、研究が進んでいる分野です。
その病態、病因について調べてみました。湿疹のアレルギーはⅣ型アレルギー(遅延型アレルギー)といって、花粉症やアナフィラキシーなどのⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)とは機序が異なります。Ⅰ型アレルギーが血液検査でIgE RIST,RASTなどをみて調べられるのに対し、Ⅳ型アレルギーはパッチテストなどの別な検査がなされます。時々、湿疹のアレルギーの検査をして下さい、といって血液検査を求められることがありますが、残念ながら採血では解りません。(アトピー性皮膚炎のアレルギーに関しては複雑でⅠ型・Ⅳ型も関与しているとされますが、別稿で述べたいと思います。)
Ⅳ型アレルギーの病態は良く解っているといっても、完全には解明されてはいません。皮膚に原因物質が触れて、それが抗原になり、メモリーT細胞ができるまでを「感作相」といい、その後に生体が抗原に再び触れて湿疹をきたすのを「惹起相」と呼びますが、それに加担する物質、細胞が細かに解明されているようです。
ただ、調べる程に複雑で難しく、よく解りません。小生の理解力の乏しさもさりながら、関与している細胞、免疫現象が完全には解明されていないようですので、将来また説明が変わってくるかもしれません。
難しい理論はともかく、アレルギーになるのに一定の時間、期間原因物質に触れている必要があるのが分かると思います。
ですから、「ずっとこの化粧品を使ってきて大丈夫でしたから、これは原因ではないです。」とは言えないことがわかります。先日も2週間前に湿疹になり、6年間使っていて大丈夫だった下地クリームをパッチテストしたら陽性になりそれが原因とわかったケースがありました。
接触皮膚炎の病因、接触アレルギーについての専門的な説明はさておいて、「接触皮膚炎診療ガイドライン」の中に”疑うべきアレルゲン——-部位からの推定、問診からの推定”という項目がありました。身の回りのものは全て、かぶれの原因になり得ますが、具体的な物質・成分の説明があり、普段注意するのに役立つと思われましたので引用しました。参考になるかと思います。
個別のかぶれの実例についてはまた追って解説してみたいと思います。

青葉の森公園

青葉の森公園に行ってきました。先週は満開の桜が咲き誇っていましたが、1週間経つと、もうすっかり葉桜になっていました。そのかわり八重桜が鮮やかな色で咲いていました。 先週も風が吹く度にはらはらと桜の花びらが散って美しいけれど、なにか寂しい感じがありました。桜は一年の中で最も季節の移ろいを教えてくれる自然の風物でしょう。だから、人は昔から桜を歌に詠みますし、残り少ない人生と感じるとあと幾度桜の花と巡り合えるのだろうと思うというのはよく耳にします。 「年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず」と古の中国人は詠みましたが、近年とみに年の過ぎていくのが速く、人の移ろいの早さを感じます。 桜の花がはらはらと散っていくと、井伏鱒二の「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」という句を思いうかべてしまいますが調べてみると元の詩は勘酒といい、 勧君金屈巵 (君に勧む金屈巵 ) 満酌不須辞 (満酌辞するをもちいず) 花發多風雨  (花ひらけば風雨多く) 人生足別離  (人生別離足る) 「さよならだけが人生だから、今この出会い、時間を大切にしよう」「今この酒を飲み干して今を楽しく生きよう」ということだということです。(ヨシザワヒトミテンペストより) 「さよならだけが人生だ」と悲観的な、せつな的な思いの詩ではなく、人生を肯定的にとらえて今を楽しみ生きていこう、という解釈になります。 会者定離の人生だけれども、友と語らい、酒を酌み交わす、そこに花があればなお良いと思いました。 a.jpgb.jpgc.jpgd.jpge.jpgf.jpg1.jpg2.jpg3.jpg4.jpg5.jpg6.jpg7.jpg8.jpg9.jpg10.jpg11.jpg

「岳」

先日書店のカウンターで「岳」という名のまんが本が積んであるのを目にしました。山岳という言葉には敏感に反応する方なので、一寸気になり数冊を買ってみました。
一寸荒唐無稽だな、毎回遭難の話は沢山だな、などと思いながら気になりつつ16巻まで買ってしまいました。
「岳」は石塚真一による山岳コミックです。山岳救助ボランティアの島崎三歩が主人公で三歩は穂高の山の中にテントを張り、住処としています。
幼なじみの山仲間で今は長野県警北部警察署の山岳遭難救助隊のチーフをしている野田正人や、新人の椎名久美、エアレスキューの牧英紀などを中心に山岳遭難救助の物語が進行していきます。
原作はコミック本なので主人公の三歩は言ってみれば山のスーパーマンとして描かれています。気は優しくて力持ち、遭難者を決して非難せず「よく頑張った」が口癖です。どんな悪天でも、どんな難所でもボランティアで出動していきます。一寸現実にはあり得ない話ですが、山の描写や周辺の状況は臨場感があって、実際に即していますので物語に引き込まれてしまいました。特に山の描写は精密で見ていてああ、あそこの場所だな、と想定できる部分が一杯あってまるで自分がその場を経験している気にさせてくれます。
原作本を読んでいて、映画化されていることを初めて知りました。早速、DVDを借りて観賞してみました。小栗旬と長澤まさみが主演の映画で原作に比較的忠実に作ってありましたが、全部のエピソードを網羅できるわけではないので、一応完結した別の作品として観ました。彼らの頑張りも見ものでしたが、山の実写がやはり見ごたえがありました。
職員に話すと、去年結構評判になっていましたよ、とのことでしたが恥ずかしながら初めて知りました。
最近本屋のコミック売り場をうろうろするので’変なおじさん’と思われないかと一寸気になりますが、三歩の更なる活躍を期待したいところです。
でも山岳救助の物語なので仕方無いにしても毎回遭難者がでてきて、結構中高年者も取り上げられているので、わが身を振り返って一寸重苦しく辛くなることもあります。

最近、うろうろついでに坂本眞一の「孤高の人」もみつけて読みましたが、こちらは一寸マニアックですかね、新田次郎の原作を種本にしてあるから仕方ないけれど加藤文太郎と同じように最後に主人公が雪山に消えていくのが辛いです。

医療トピックス「春の肌トラブル」

千葉県医師会のホームページをご覧になったことがあるでしょうか。医療関係者だけではなく、一般の皆様向けにも充実した医療情報を提供していますので一度覗いてみる価値はあると思います。「一般の皆さまへ」のタグをクリックしますと、日々の健康に役立つ医療関連の情報が閲覧できます。
県医師会の一部門に「健康教育委員会」がありますが、一般の皆さま向けの医療情報内容(健康トピックスなど)の作成、更新などを行っています。小生も現在その皮膚科部門のお手伝いをしています。項目は下記のように分かれて表示されています。
医療トピックス・・・医療についての旬の情報を分かりやすく解説します。
健康管理・・・日々の健康管理のコツを取り上げました。
子育て応援コラム・・・子育てのお役に立つコラムが満載のコーナーです。
健康豆辞典検索・・・健康や病気についてのコラムがご覧いただけます。
 今月の医療トピックスは「春の肌トラブル」で小生も内容の監修を担当させていただきました。一寸覗いてみて下さい。

桜満開

やっと関東地方でも桜が開花しました。春の嵐が通り過ぎ好天となった日曜日に久しぶりに千葉大学の桜を見に行ってきました。桜の名所は各地に数多くあるでしょうが、大学の桜並木もなかなかです。医学部と病院の間の連絡通路は両脇の桜並木がアーチをなしています。 野球場では学生達が練習試合に励んでいました。グラウンドの脇の土手の桜の木の元で医局の花見をやっていたのを懐かしく思いだいました。花冷えの花見が多かったように思います。 大学医学部・病院の建物は随分新しく増えていました。構内も小奇麗に整備されているようでした。でもやはり一番懐かしかったのは古いまま残っている歴史のある医学部本館でした。若い頃の思い出がよみがえりました。 その後、千葉城の桜を見に行きました。桜祭りの準備が進んで屋台も出ていました。きっと夜桜もきれいでしょう。
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白斑(白なまず)について

先日順天堂大学須賀教授の白斑の講演がありました。講演の内容を元に一寸調べてみました。白斑とは俗に「白なまず」とも呼ばれます。皮膚の色素を作る色素細胞(メラノサイト)が表皮基底層で、減少、消失しているために病変部分の皮膚色が真っ白く抜けてみえる疾患です。体の一部分だけに生じる分節型や体全体に拡がる汎発型があります。
 その原因はよく解っていませんが、自己免疫疾患(甲状腺機能亢進・低下症、やエリテマトーデス、など)に合併することがあること、色素細胞に対する血中自己抗体がみられることなどから、特に汎発型では自己免疫が原因と考えられます。また神経の走行に沿ってできる型は末梢神経機能の異常が原因と考えられます。
白斑でまず気をつけることは、擦ったり刺激したりしないことです。ケブネル現象といって擦った部分に白斑が拡がるといったことがあります。
次にほくろの周りの白斑がないか注意してみることです。ほくろや、メラノーマ(悪性黒色腫)があると、免疫現象によって、母斑細胞、色素細胞の変性、崩壊がみられます。それによって白斑が拡大します。ほくろを切除することによって白斑の進行も止まることがあります。
また、白斑の患者さんで、汎発型の場合、自己免疫疾患などが隠れていないかどうか検査してみることが必要です。ちなみにマイケル・ジャクソンはこの汎発型の白斑に罹患していてまたエリテマトーデスにも罹患していたそうです。生前この白い色について色々な中傷があったそうですが、実はこの疾患の治療のために白くなったもので、白人になるための脱色ではなかったとのことで気の毒なことです。父方由来の遺伝的体質があったそうです。
白斑の治療は、種々のものがあります。
*日焼け止め・・・白斑部の日焼け、やけどを避ける意味と、日焼けによるケブネル現象を避ける意味があります。また健常部が日焼けすることによって、境目が目立つことを避けます。マイケル・ジャクソンの黒い服、サングラス、手袋もこの理由かと思われます。
*化粧、カバーマーク・・・顔などの露出部分がまだらに白くなった場合など、均一にする化粧品、メークアップ・カバーマークなどを使用またしばらくの間色素を保ってくれる薬品もあります。
*ステロイド外用剤・・・顔面の白斑に比較的良く効くとされますが、皮膚萎縮などの副作用にも注意が必要です。
*タクロリムス(プロトピック)・・・顔、首の白斑に良く効くとされます。外国ではこれと紫外線、エキシマライトの併用が効果的とされますが、本邦ではプロトピックは紫外線と併用しないことになっています。
*ビタミンD3軟膏・・・効果がある場合もあるとされます。ステロイド外用剤との併用がより効果的です。これは紫外線との併用は可能です。
*免疫抑制剤の全身投与・・・急速に進展する場合はステロイド剤の内服・注射が有効との報告もありますが、副作用に注意が必要です。
*PUVA療法・・・乾癬などに用いられる方法ですが、ソラレンという光感作物質を内服、または外用した後に長波長紫外線(UVA)を当て、色素を増強させる方法です。白斑では毛包の上半分は色素細胞が破壊されますが、下方では残存することが多く、そこから色素が再生するとされます。顔、体幹、四肢の体幹よりは良く効きますが、四肢末端はあまり効きません。また白斑辺縁部が濃くなって却って目立つこともあります。またソラレンの光毒性や強い痒みが生じることもあります。長期に亘ると光老化、紫外線発癌などのリスクに注意が必要です。
*NB(311nm)-UVB(ナローバンドUVB)療法・・・全身型の白斑に対しては、PUVA療法よりも効果が大とのことです。但し、6か月施行して無効ならばその後も期待はできません。
*Excimer(308 nm)エキシマレーザー療法・・・ナローバンドよりも180倍の強さの線量を有しています。週3回12週の治療成績が最も良かったとの報告があります。しかし初期線量は紫外線に過敏なことを考慮して低めの50-100mJから始めます。
当院でも最近、VTRACによるエキシマの治療を開始していますが、かなり良い結果を得ています。本邦では数種類のエキシマランプが発売されていますが、VTRACが最も強力で短時間照射で済みます。ちなみに100mJですとほんの1秒程度です。但し、コスト(1回340点すなわち3割負担なら1020円)と通院の大変さを考えると1,2週間おきがせいぜいで、もっと密に照射すればより効果はでるかもしれません。(当院のHP診療案内参照)
*脱色・・・Monobenzone(ハイドロキノンのモノベンジルエーテル)は欧米で脱色するのに用いられている唯一の薬剤だそうです。汎発型で全身の50%以上が侵されている場合には考慮されますが、メラニン毒性があり、刺激性アレルギー性の接触皮膚炎を起こすこともあります。
*分層植皮術・・・効果は大ですが、全身麻酔が必要なこと、取った皮膚、植えた皮膚いずれの部位にも瘢痕のできる危険性があります。
*吸引水疱による植皮術・・・陰圧で皮膚に水疱を作り、白斑部は表皮を剥ぎ取り、健常部の表皮を移植します。最も有効な方法かもしれませんが、施行できる専門施設は限られています。

汎発型のものや、手背のもの、出来てから時間のたったものなどはなかなかうまくいきませんが、顔、首、体幹部の白斑にエキシマランプを照射するのが、今のところ最も簡便で効果が上がる方法と考えています。
ただし、400回位が上限で、積算2000-3000Jも当てると光発癌の生じた例があるとのことです。ただ、1回当たり普通200-300mJ位ですから1万回分の照射量にはなりますが。