月別アーカイブ: 2012年10月

千葉県皮膚科医会皮膚の日講演会

千葉県皮膚科医会の皮膚の日の講演会が近づいてきました。
11月4日(日)の午後1時から3時までJR 千葉駅前の京葉銀行文化プラザで開催されます。雨天でも地下道から自転車の駐輪場を通れば、濡れずに会場まで行く事ができます。
以前もご案内を書きましたが、世話人の一人としては、当日会場ががらがらにならないだろうか、とよけいな心配をしてしまいます。折角面白そうで、ためになる講演内容なので多くの人に来場してもらいたいところです。
その一方で、会場に入らない程の多くの人が来たらどうしようと、また勝手な心配もしてしまいます。定数は84席で、人数によっては椅子を追加し20名程度は増やす予定です。万が一それ以上の人が来場した時はさすがに入場できませんが、常盤薬品がスキンケアのノウハウを書いたパンフレットと、化粧品サンプルを200個準備しているとのことなので、手ぶらで帰ることにはならないと思います。
個人のブログで講演会の前宣伝をするのも、一寸どうかとも思いますが、極力商品の宣伝はせずに、スキンケアの一般のノウハウに徹したデモになるとのことなので時間に余裕のある方は参加されてはどうでしょうか。当日のモデルさんによる実演は洗浄、保湿、遮光の具体的な方法、注意点をビデオを使って皆様にお示しする予定です。
クレンジング料、洗顔料の泡立て、すすぐ温度、Tゾーン、Uゾーンの洗い方、お肌の状態による保湿剤の使い分け、サンスクリーンの使い方、スポンジ・パフのお手入れ方法など普段の自分のやり方の再チェックをする良い機会と思います。
それに順天堂大学の須賀教授の抄録によると若いニキビ肌から高齢者の肌のトラブルについてもその道の専門家が美肌ケアの話を指南して下さるようですから、なかなか得難いチャンスと思います。しかも無料です。
美肌ケアなど女性だけの問題と思いがちですが、男性も光老化など避けて通れません。
長年、スポーツ、野外活動など続けているとしみ、しわ更には皮膚がんなども出かねません。老若男女多くの皆様のご来場をお待ちしています。

パッチテスト

このところ、接触皮膚炎(かぶれ)について調べていますが、接触皮膚炎は皮膚科外来で最も頻繁に見られる疾患のひとつです。そして、そのアレルギーの仕組みもよく解明されています。
ただ、このタイプのアレルギーの意味合いと検査についてはなかなか一般に知れ渡っているとはいえません。今日も顔の湿疹性の皮疹のあるご婦人が来院し、家族がちゃんとアレルギーの検査をして来いといっているとのことでした。パッチテストの話をしだすと、血液検査では解らないのですか、といいます。接触アレルギーはⅣ型アレルギー(遅延型アレルギー)で血液検査を行う花粉症などのⅠ型アレルギーとは異なり、血液検査ではわからないのですというと怪訝な顔をされました。
一寸専門的になりますが、接触皮膚炎の総論の所で説明してありますので参照して下さい。接触アレルギーの原因検索にはパッチテストが有用です。なかなか治らなかった(原因が分からなかった)慢性の湿疹がパッチテストによって分かり、その物質を避けることで完全に治ったという報告は時々目にするところです。
ただ明らかなネックレスかぶれとか、時計かぶれとか簡単なケースはむしろ少なくなかなか原因の推測もできず、歯科金属アレルギーを伴った掌蹠膿疱症などのように単純に金属を外せばよいと言えないケースもあります。
現在のパッチテストの試薬の調達や、実際のやり方も面倒で、そのわりには保険点数は低く、患者さんも複数回来院したり、入浴できなかったりとなかなか普及しません。
さらに、光が関係するかぶれ(光接触皮膚炎)になると光パッチテストとなりさらに複雑で検査法も施設により微妙に異なります。
しかし、このタイプのアレルギーは化粧品、口紅、日焼け止めクリーム、湿布薬など意外と多いように感じます。これをパッチテストだけで陰性で、大丈夫ですと判定するとなまじな検査が間違いのもとにもなり兼ねません。
このように簡単にお薦めというわけではありませんが、やはり結果がわかれば患者さんも納得して、かつ治癒するわけですから重要な検査であるわけです。
その実際についてやや詳しくまとめてみました。

中原寺メール10/18

【住職閑話】~生活の意味は?~
 お互いに毎日の生活に煩わされていますが、私たちの生活についてちょっと考えて見ましょう。
 そこでその生活を「生」と「活」に分けて考えて見ます。一つは「活」。私たちの衣食住の問題ですね。端的にいえば、パンをどう手に入れるかという問題です。私たちは朝から晩までほとんどがここにかかずらっています。もう一つは「生」。これはパンを食べても死にますよという問題です。つまり「活」が満たされても死ぬという問題は残ります。
 「活」のレベルでは、地位も名誉も財産も健康もないよりあったほうがいいでしょう。しかし、絶体絶命になったとき、ないよりあったほうがいいというものでは「生」の解決はつきません。ぜひともなければいけないものに遇わなければ生死の解決はつきません。
 ひょとしてあなたは次のような考え違いをしていませんか?
仏教は何かを信じ込むことでも、単に世の中でどう生きたらいいのかを教える処世術でもないのです。こう思っている人は常に「宗教にだまされる」危険性があります。
仏教は私たちの勝手な執われを超えた真実の世界を明らかにする教えです。 
それはどうしてもなければいけないものにで遇うことが大切です。しかし現実に私たちは、世の中を自分のエゴを中心に、「活」だけの視点でいのちを切ってみるので、生き死にを超えた大いなるいのちの世界がなかなか見えません。
 私たちを生かしめている、その大いなるいのちの世界に目が覚めたときに「生」の問題は解決します。
目を開けて眠っている人は「活」だけでなんとか生も死も乗り越えられると思っている人のことです。

初めての穂高

初めての穂高 1972年の8月、自分にとって初めての穂高に向いました。 「最初の予定では岳沢から穂高、槍、大天井、常念、蝶、徳沢と回るつもりだったが、バスから見る岳沢の雪渓がいかにも急そうで、臆病な自分のこと計画を大幅に変えざるを得なかったが槍沢に熊が出るというので結局このコースに落ち着いた。」と日記に書いています。成程、生まれて初めて雪渓を見たわけで、不安にかられたのでしょう。熊も看板には注意書きがありましたが、皆が登る登山道にはめったに出ることもないでしょう。しかし、穂高の岩尾根よりも熊が怖かったということでしょう。 お昼前に上高地を出発して、その日は横尾のキャンプ場に泊っています。 翌日は横尾のキャンプ場から涸沢を経て、北穂小屋まで登っていますが、随分と時間がかかっています。高山に慣れてないのと、新しい靴で靴ずれを起こしていたようです。 「今回の山行ではよくバテた。北穂の登り、大キレット、東鎌、いたるところでバテた。」と書いています。若い頃はもっとさっさと歩いていたと思っていたのですが、改めて見返して見ると体力のないのは昔から変わらなかったようです。 キスリングザックにいろいろと詰め込んで、背負い方も変だったように思います。 北穂から大キレットの下りがとても急でキスリングが岩に引っかからないか心配だったのを覚えています。 槍から、大天井、燕岳への道はアルプス銀座コースとか、表銀座コースとか呼ばれて、北アルプスで最もポピュラーな人気コースだけあって、前半より楽で縦走路の稜線漫歩ができました(でも東鎌尾根でもバテた、と書いていますが)。 キスリングが邪魔だった、とか靴ずれがひどかった、とかラジウスの調子が悪かった、とか体力の無さを痛感した、とか当時の日記をみるといろいろと不満を書きならべていますが、初めての3000m級の日本アルプスの縦走を経験できて充実感を味わいました。
写真を見ると薄れかけた記憶の底から当時の素晴らしかった情景が浮かび上がってきました。 その後、穂高に惹き付けられていったのですが、もう激しい登山はできなくなった今でも夢は穂高を駆け巡ります。一番好きな山は?というのは難しい質問ですが、涸沢を中心とした穂高が一番アルペン気分を満たしてくれるような気がします。学業にも、スポーツにも、打ちこめなかった青春時代に夢中になったのが山で、穂高はそのころの思い出が一杯つまった心のハイマートであるからかもしれません。
古い写真をスキャンしました。白黒でしかも汚れがありますがご容赦のほどを。槍ヶ岳1.bmp槍ヶ岳2.bmp槍ヶ岳3.jpg滝谷1.bmp滝谷2.bmp

皮膚の日講演会のお知らせ

皮膚の日講演会のお知らせ 日本臨床皮膚科医会は平成元年から11月12日(イイヒフ)を「皮膚の日」と定めて、日本皮膚科学会と共催して全国各地で皮膚病相談や講演会を行っています。 千葉県でも、千葉県医師会医学会第13回学術大会の分科会として皮膚の日の講演会を開催することになっています。 今年は、順天堂大学浦安病院皮膚科の須賀 康 教授に講演していただくことになりました。須賀先生は、角化症、特に遺伝性角化症を専門にされていますが、その他にアトピー性皮膚炎、白斑、水疱症、にきびなどに造詣が深い先生です。また美容皮膚科の専門家でもあり、レーザーなどにも造詣の深い先生です。  今年の千葉県医師会医学会のメインテーマが~これから迎える超高齢化社会~ということで、若者から高齢者までを含んだ美肌スキンケアをテーマにお話しして戴くという、欲張った企画になりました。  11月4日(日)午後1時からJR千葉駅前の京葉銀行文化プラザで講演があります。 また、講演の後に常盤薬品工業(株)ノブ事業部による 「お肌にやさしいスキンケア」のデモンストレーションも企画されました。実際にモデルさんによるデモで、ビデオ撮影によって皆様に見えるようになるようです。 参加費は無料で、どなたでも参加できるのですが、10月24日の朝日新聞広告も決まったようですし、先着順で80~90名程度しか入場できません。遅れて来場されると、入場できないかもしれません。 しかし、いらした方には損はさせない企画と思いますのでどうぞお越し下さい。 小生も世話役のひとりとして、当日はお手伝いする予定です。 【注意】 会場は、駐車場の準備はありません。 クロークはありませんので、手荷物は各自管理をお願いします。 【千葉県医師会医学会公開講座】 11月3日(土)は超高齢化社会をメインテーマとした公開講座があります。 男女の更年期、在宅医療に興味のある方はお出かけ下さい。
下の写真をクリックして戴くと、大きくしてみる事が出来ます。
皮膚の日講演会.JPG県医師会医学会.JPG須賀先生講演要旨.JPG

「茶のしずく石鹸」小麦アレルギー

「茶のしずく石鹸」による有害事象については当ブログにも過去に何回か書きましたし、最近はメディアでの報道によって国民に広く知られるようになってきました。その原因も石鹸の中に含まれる加水分解小麦が原因であることが分かって来ました。
更にこれについて述べるのは屋上屋を重ねるような無用なことのようにも思われますが、Visual Dermatologyの特集号にその道の専門家の島根大学教授森田栄伸先生が分かり易くレビューをしています。一般の小麦アレルギーとの違いも分かり易く解説してありましたので、それをまとめてみたいと思います。
  一般の小麦アレルギーですが、勿論小麦の成分の入った食物で、蕁麻疹、ひどくなるとアナフィラキシーを起こすのですが、(今まで書いてきたアレルギーのブログ内容を参照して下さい。)特に食べて運動をした後に起きやすくなります。
それは、食べた後運動をしたり、非ステロイド系消炎鎮痛剤(アスピリンなど)を飲んだりすると摂取した小麦抗原が腸管から未消化の状態で吸収され、血流を介して全身に運ばれるためとされています。他にもサブスタンスPとかヒスタミン遊離とか関係するともいわれていますがよく分かっていません。
このように食べて運動をしてアナフィラキシーを起こすタイプの食物アレルギーは特殊なものですが、小麦によるものが大半を占めているそうです。(60%が小麦でエビなどの甲殻類、魚介類がこれに続きます。)
このような病態は食物依存性運動誘発アナフィラキシー( food-dependent exercise-induced anaphylaxis: FDEIA) と呼ばれています。小麦の場合はwheatでWDEIAと呼ばれています。
  一般のWDEIAは、全ての年齢の人に起こり、男女を問わず、またお茶石鹸の使用歴はありません。そして、一寸専門的になりますが、アレルギーを起こす小麦の成分がお茶石鹸の場合と違うのです。
  例えば、中力粉で作ったうどんは小麦中9%が蛋白質で、そのうち85%がグルテンで、そのまた約5%がω-5 グリアジンだそうです。小麦アレルギーの人のほぼ80%の人がこのω-5 グリアジンに感作され、残りが高分子グルテニンに感作されているそうです。
これは森田教授らが見出したそうです。そして、2008年からは欧米で、2010年からは日本でもこれに対する血液検査が保険適用になりました。
これとは別に2008年頃から顔の腫脹を主な症状とするWDEIAの患者さんがみられるようになり、2010年になって、このような患者さんの原因が茶のしずく石鹸を使用したためであることが判明しました。この石鹸は泡立ち効果を高め、もちもち感などを高めるために加水分解小麦が配合されていました。これらの患者さんは、石鹸使用後、1か月から数年して洗顔後に顔の腫れ、鼻水、くしゃみ、流涙などの局所アレルギー症状を起こしていました。そしてその多くがWDEIAの症状を起こすに至りました。
しかし、これらの患者さんはω-5 グリアジン特異的なIgE検査が陰性または低値となるのです。研究の結果、加水分解小麦に含まれていたグルパール19S という比較的大きな分子量の成分が原因感作物質であることが分かってきました。
  通常大きな蛋白質は皮膚からは吸収されません。しかし、石鹸は界面活性剤を含むために洗浄によって皮脂膜を分解して皮膚のバリア機能を低下させ、また眼や鼻の粘膜など弱い部分から経皮的に吸収されたことが考えられます。
これらの患者さんは小麦のたんぱく質にも交叉反応を呈し、食べた小麦によってもアレルギー症状を示すわけです。しかし前述のようにω-5 グリアジンには反応しません。多分他のグリアジン成分が交叉抗原になっていると推定されています。
 現在でも石鹸以外に化粧品、ハンドクリーム、リンスなどにも加水分解小麦は添加されたものもあるとのことですが、グルパール以外ではアレルギー性は低いとのことです。
 茶のしずく石鹸の回収、販売停止により、新規の患者はなくなりまた、血清中の小麦やグルテン抗原特異的なIgEの抗体値は徐々に低下し、症状も軽快しつつあるとのことです。
 一般の小麦アレルギーと、お茶石鹸による小麦アレルギーの違いを説明しましたが、通常型ではω-5 グリアジンが陽性で、お茶石鹸では陰性かつグルパール19Sが陽性という点が最も異なるところです。一部専門医療機関ではこの検査が受けられます。
 しかしFDEIAの診断方法については、なかなか難しく、単純な血液検査やプリックテストなどでは判らず食物摂取+運動による検査やさらにアスピリンなどを加えた検査も必要となることもあります。しかしこれらの検査は危険性を伴うこともあり、完全な再現性があるわけでもないので専門医療機関で十分な監視体制の上で実施する必要があります。
今後は患者血液による好塩基球活性化試験という検査が危険性がなく有望なようですが、まだ一般的ではないようです。
 茶のしずく石鹸に関する詳細な情報、相談医療機関などは日本アレルギー学会のホームページに掲載されているとのことです。URL を記載しますので必要な方はご覧下さい。
http://www.jsaweb.jp/
こちらから日本アレルギー協会のタグをクリックしていくとみられます。

中原寺メール9/28

【住職閑話】~ショック!~
 どう考えても毒虫に刺されたという記憶もないままに、三、四日前から右目の瞼の上と目尻に痛みが増し腫れてきたので仕方なく皮膚科に行って診てもらいました。
 医師から即座に「帯状疱疹ですね」と言われました。想定外の診断結果に、思わず「ほんとうですか?」と問い返すほど、かなりのショックでした。
帯状疱疹は最近よく耳にしますが、疲労やストレスが原因し、高齢者に多いと聞きます。他人事と思っていたので愈々高齢者の仲間入りかとショックを受けて、医者帰りに用事を済ませる気力も失せて真っ直ぐ帰宅をしました。
 帰宅してからインターネットで「帯状疱疹」を検索、これまでの症状がすべて当たっており、納得せざるを得ませんでした。
 想定外とは、いつも自分勝手な思いをめぐらして生きていること、こうなるはずだ、ああなるはずだと勝手な思いにふけっているからに他なりません。
 室町期の僧蓮如さんは「行く先向かいばかり見て足元を見ねば、踏み損なうなり。人のうえばかり見て、わが身の上のことを心がけなければ一大事たるべき」とおっしゃっています。
 さて、休息の時間を取るようにして美しい音楽と仏教書をたしなむことにしましょうか。
 でも右目が見えにくくなってしまってちょっぴり無念です。

プラハにて(4)

酒さに続いたセッションは性感染症でした。昼時でしたし、他にもSTI(sexually transmitted infection) はあったので、よく解りませんが、その時は聴衆は少なかったです。別の時間の時もどちらかというとロシア、東欧のしかも女性の皮膚科医の講演が多かったようです。ロシアは確か西欧よりも10倍位梅毒が多いといっていたと思います。(勘違いかもしれませんが、多いのは事実のようです。)近年次第に患者数は少なくなっているものの、なぜか18-19歳の女性の罹患率は突出しているとのことでした。 そして、問題なのは妊婦の梅毒と、それに伴う先天性梅毒とのことでした。全世界では200万人の患者があり、そのうち毎年50万人が先天梅毒で亡くなるとのことです。 そして、ヨーロッパで問題なのはエイズに伴う梅毒の増加とのことでした。エイズは治療薬の進歩に伴って今やすべてが死にいたる病ではなくなったかもしれませんが、MSM(最近はホモセクシュアルとはいわずにmen who have sex with men というようです)の患者でエイズと梅毒に両方罹患する患者が増えていて治療に難渋するようです。 梅毒に罹患すれば、痛んだ粘膜からHIVに罹りやすくなり、HIVに罹れば免疫力の低下によって梅毒にも罹り易くなります。そして一旦罹ると治りにくく、神経梅毒などの重篤な症状を呈しやすくなるとのことでした。 日本でのHIV患者数は確か1000人程度と思いますが、実数はその数倍あるようです。他国と比べると非常に少ないですが、先進国で唯一増加しているのが日本だということは忘れてはなりません。(2012年6月25日のブログを参照して下さい) 東欧の女性の皮膚科医がSTIはnever ending story だといっていましたが、人類が生存している限り必然の疾患です。 故岡本教授のように梅毒、性病を専門とする日本の皮膚科の教授は少なくなったように感じますが重要な皮膚科の部門ですのでこの先若手の先生方に期待したいと思いました。  旅の最後にプラハ城とチェスキー・クロムロフを見て回りました。プラハ城の聖ヴィート大聖堂は立派なものでしたし、城下の古い街はまさに中世のような感を抱かせました。チェスキー・クロムロフのまるで中世の御伽噺の絵本を開けたような美しい町並みやお城は素晴らしいものでした。ただあえて奇を衒うわけではありませんが、心に残ったのはプラハ城の奥まったところに密かに建っていた聖イジー教会でした。これは十世紀前半に建てられたプラハ城最古の建物だといいます。ロマネスク様式の、要するにまだ石組みの技術が未熟だった頃の、周りを石壁を積み上げただけの何もない簡素な教会です。天井は石を支えるだけの強度が保てないのでしょう。木の天井です。祭壇のところだけ石のアーチの天井でした。しかし、人気の少ない聖堂の木製の硬い長椅子に座ってむき出しの石を見ているとなぜか心が落ち着きました。側面のアーチ型の窓から入ってくる光だけです。華美さの全くない空間はむしろキリストの教えに似つかわしいようにも思えました。しばし瞑想ともつかず、静謐なひと時をすごせました。 最後の夜は、ライトアップされたプラハ城とカレル橋を見ながらホテルに帰りました。 明日は帰国の途に着きます。 旅の途中のいろいろな写真は妻が旅行記のブログを作っているので、そのうちアップすると思います。興味のある方はそちらをご覧下さい。 mistral さんの旅行ブログ http://4travel.jp/traveler/mistral/
聖ヴィート大聖堂.JPG大聖堂内部.JPGチェスキー・クロムロフ(1).JPGチェスキー・クロムロフ(2).JPGカレル橋とプラハ城.JPG

プラハにて(3)

にきび、酒さのセッションも結構人が入っていました。
にきびの治療は、日本は使用できる薬剤がかなり限られています。最近になってやっとアダパレン(ディフェリン)が画期的な外用剤として使えるようになりましたが、欧米では大分前より使用可能でした。
その他の薬剤をみても経口レチノイド、外用レチノイド、経口イソトレチノイン、BPO (過酸化ベンゾイル、ベンザダーム)、アゼライン酸と日本で使えない薬剤ばかりです。
勿論、個人的にすでに使っている皮膚科医、患者さんもあるでしょうが、正式には認可されていないものです。
他の分野の薬剤でもそうですが、日本はかなり導入が遅れている感じがします。やみくもに海外のものを導入して後で副作用など起こっては困りものですが、かといって先進国で長年実績があって使用ガイドラインにもなっているものなのでもっと早く使えてもいいのにと思ってしまいます。
特に欧米では長年の抗生剤の使用による耐性菌の出現が問題視されていてそれを防止するのにBPO,アゼライン酸は必ず言及されます。日本でも導入が検討されているようですが早く願いたいものです。
また、経口イソトレチノインは重症の瘢痕を伴ったようなにきびに効果があるようで大切な薬ですが、この内服で自殺率が高くなるような話もされていて確かに何でも欧米のものを導入すればいいというものでもないようです。
職業性のにきびのことも話されていました。普段は忘れがちであまり関係ないようですが戦後いくつかの国で大きく問題になったことがあるそうです。日本の九州の例も取り上げられていましたが、そういえばカネミ油症でのダイオキシンは忘れてはならない事件でした。いつか九州大学の古江教授から油症もアトピーと並んで自分のライフワークとの話を聞いたことがありました。またベラルーシのユシチェンコの人が変ったような使用前・後の写真も見せられましたが改めてダイオキシンの恐ろしさを感じました。
酒さも欧米人でひどい人が多いせいか多くの聴衆を集めていました。日本ではさすがに赤鼻のトナカイのような人はみかけませんが、実は結構中高年で赤ら顔で困っている人は多いようです。昨年の東京支部総会で千葉の田辺先生の酒さのレビューがありましたが、多くの開業の先生の参加がありました。実は皮膚科医も患者さんもなかなか治らなくて困っているようです。
ただ原因に関しては今ひとつ明確ではなく、体質、年齢、日光、細菌、いろんな刺激、薬剤と多岐にわたるようです。
にきび、酒さのセッションが終り、性感染症のセッションになったらさーと人がいなくなりました。昼近くのせいもあるかな、と思いましたが皆梅毒の話など聞いても面白くないのでしょうか。一寸性感染症のセッションを覗いてみました。次回はそれに触れてみたいと思います。(実はそれ以外は大して聞いていないということですが)

プラハにて(2)

EADV ヨーロッパ皮膚科学会の参加初日の朝は、いきなりハプニングでした。前日わざわざ地下鉄で学会場までの下見をしていたのに、朝地下鉄駅に出向いて見るとシャッターが降りていました。チェコ語?で何やら書いてあっても訳がわかりません。どうもA 号線が臨時休業のようです。一寸パニックになりかけましたが、それ程遠い距離ではなかろうとタクシーに飛び乗りました。流しのタクシーは気をつける様に、とガイドブックにも書いてあり、先に運賃を確認する必要があります。1500円位でまずまずかなと思い学会場のコングレス・センターまで乗りました。(案の定次の日は1000円で行けることがわかりましたが。) まず乾癬の会場に向かったのですが、すでに満席で会場の外は黒山の人だかりです。皆モニターを見つめています。ヨーロッパの学会は皆そうなのでしょうが、会場にはきっちり椅子の数の人数しか入れません。日本なら立ち見席でもOKなのに何とかして欲しいものです。会場によっては外にモニターがない所もあり、さすがに入れなかった女性が文句をいっていましたが、会場から次の会場に移動するためどうしても入れないケースがでてきます。しかも会場の出入りではしっかり登録済みかどうかタグをスキャンしてチェックします。自由に移動しもぐり込める日本の学会は便利だと思いました。 セッションが10箇所以上に分かれていると混雑の度合いが異なるのは仕方ないのかもしれませんが。 乾癬のセッションはいつも一杯です。欧米人に多いせいかもしれません。(ちなみに夜クルーズで会ったカナダ人の皮膚科医は人口100人に対し3人の患者がいるといっていました。) 当地でも話題は生物学的製剤が中心で、レミケード、ヒューミラ、ステラーラと日本とほぼ変らない様子でした。しかしMTX(メソトレキセート)が普通に使えているのに日本で適応にならないのは一寸釈然としません。(しかも日本でも関節リウマチではMTXを併用するのが当たり前なのに) 乾癬で注意を引いたのは、最近乾癬は皮膚のみではなく、メタボリック症候群を伴い易く、心血管系の病気にもなり易い全身病として捕らえるべきだ、との考えです。確かに関節リウマチにも似て、TNF-aが全身の組織に悪影響を及ぼしてるとの考えもできます。 もうひとつは、カナダからの報告でbrodalumub(AMG827) という抗IL-17 作用のある薬剤を乾癬患者に使用したところPASI 100 (ということは治癒を意味します)を含め非常に効果の高い成績を示したとのことです。まだ48週でオープントライアルとのことですが、これが本当ならばすごいことです。 乾癬は以前はあまり免疫疾患とは縁のない病気と考えられてきましたが、シクロスポリンの登場以来、にわかにT細胞系の免疫異常が原因とされるようになってきました。そして、TNF-alpha, IL-23と来て、さらにIL-17です。ステロイド、シクロスポリンと免疫系に大きく網を掛けるのではなく、次第にピンポイントで疾患の本質に近づいてきているようにも思われます。この薬剤の今後を期待したいところです。 夜のリバークルーズはなかなか楽しいものでした。たまたま隣合わせたカナダ人、トルコ人の皮膚科医と食事を共にしました。皮膚科の話では盛り上がったのですが、ご婦人からホリデーなのだからもっと他の話をと軽く釘を刺されました。しかし、唯一コミュニケートできるのが皮膚科の話題と、平身低頭でした。他のことになるとからきし中身がなく、語彙不足で天気位の話題になってしまいます。 しばらくして、甲板に上ってみました。夜風は事の他冷たかったですが、モルダウ川から見るプラハの夜景は素敵でした。 また後で、カレル橋から眺めたモルダウ川も綺麗でした。
カレル橋1.JPGカレル橋2.JPGカレル橋から1.JPGカレル橋から2.JPG