月別アーカイブ: 2012年12月

中原寺メール12/30

【住職閑話】~余裕のない歳末~
いやはや今年もカウントダウンが始まりましたね。
少しはゆとりをもって、行く年を噛みしめたいと願ってはいましたが、ここに来て風邪は引くし連日法務に忙しく、昨日今日は仙台に出かけてきました。
 それにしても、年末年始にかけてはお寺や神社の初詣のコマーシャルがテレビやラジオで流される都度、不愉快さを覚えます。
『新年のご祈願は、厄除け、方位除けに00神社へ、00寺へ』
このような言葉に違和感を感じない日本人の考え方は、まさに精神の貧困さの表れだと思います。
幸福は自分で見いだすもの、不幸は外から舞い込むものではないことを分かって欲しいですね。
 「鬼は吾が内にあり、福は吾が心が感ずるもの」これが仏教です。
だから元日は修正会(しゅしょうえ)を勤めます。一年の始まりは、仏さまの前に頭をたれて吾が身、吾が心を正すことからのスタートです。
 本年も「住職メール」をお読みいただきありがとうございました。

笹倉鉄平・・・光の河

かつて妻の知り合いの画商から笹倉鉄平氏の絵の事を知らされました。妻も鉄平さんの絵を気に入っているようでした。
カタログなどでみる彼の絵は実景をスケッチしたものなのでしょうが、どこかしらファンタジックで夢見心地にさせてくれます。黄色や青の色調の中、光の表現がとても素晴らしく心惹かれる画家だと思いました。
ある時、千葉のお店に気に入ったシルクスクリーンがあったので購入しました。
それが、HPに掲げた「光の河」という題名の絵です。
そのお店に笹倉鉄平氏が来店するとの知らせを受けました。その機会に、その絵に作者自らのサインを戴きました。
時々医院の待合室に掲げていますが、自分の中ではクリスマスのシーズンの絵だと勝手に思っています。作者に確認したわけではないのですが、妻もクリスマスマーケットの光の光景なんじゃない、との意見です。
それで毎年クリスマスの時期になるとこの絵を待合室の壁に吊るします。
たまに時期がずれて掛っていると何か違和感があります。
この絵をみていると、ああもう一年が終わるのだなーといった感慨があります。
そして年々飛ぶように過ぎていくスピードが加速されていくように感じます。
年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず 
少年老い易く学成り難し
といったような詩句が思い起こされます。
体も頭も大分くたびれてきましたが、おかげさまでどうにかこの一年を息災に過すことができました。
来年もまたそが皮膚科とこのブログをよろしくお願いします。

東京光ビジョン中止

22日の土曜日に東京駅前の光のイベントに行き、綺麗な映像に感嘆したのですが、人の多いのにはびっくりして暗い中での移動に将棋倒しにでもなると怖いな、と一寸心配したのですが、皆さんとても整然と動き解散したのでした。 ところが、一夜明けて23日は大変なことになったようです。クリスマスの連休とあって大混雑、身動きも取れないような危険な状態で、ついに開催も中止になったと聞きました。 確かに趣旨は素晴らしいものでも制御が取れなくなり事故でも起こってしまっては元も子もありません。 残念ながら、イベントとしては仕切り直し、練り直しするしかないかもしれません。 新しい試みも難しいものです。ウーン、残念。

東京光ビジョン

東京駅前で映像投影イベントがあるというので、行ってみました。昨日は前日からの冷たい雨が降り続いていてどうかと思っていましたが午後からはなんとか雨も上がり、気温も思いのほか下がりませんでした。東京駅の丸の内出口附近に近づくと人の波で一杯です。まるで夏の花火会場のようでした。係り員に誘導されるままに、人波に従って丸の内の東京駅前の広場に進みました。暗い広場の中には人があふれていました。 「東京ミチテラス」という光をテーマにしたイベントの一環だそうです。コンピューターグラフィックスを駆使して凸凹のある駅舎の壁面に映像を投影して重ねる「プロジェクターマッピング」という手法で音楽に合わせて色とりどりの映像が映し出されました。 大型投影機を17台も使っているそうです。 わずか10分程でしたが、クリスマス前の洒落たイベントは素敵なものでした。 皆感嘆の声をあげて見とれたり、写真を撮ったりしていました。 いくつか映像をアップしてみました。
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日焼け止め

今朝の新聞を見ていたら、「紫外線の防止効果に新表示」という記事が目に止まりました。日焼け止め化粧品の紫外線A波の防止効果を表す「PA」表示に、来年1月から「++++」という表示が加わる事になった、というものです。
 そもそも、日焼け止めというのは太陽光線の中の紫外線をカットして、日焼けを防止するという目的の外用剤ですが、サンバーン(いわゆる日焼け)、サンタン(日焼け後の色素沈着)を起こすのがUVB(中波長紫外線290-320nm)です。但し、地球はオゾン層で守られていますので、地表に届く紫外線は300nm(ナノメーター)より長波長の光線です。この狭い意味での日焼け(急性炎症)を起こすのがUVBで、その日焼け防止効果はSPF(Sun Protection Factor)で表されます。
 その検査方法は背中にサンスクリーンを塗った部分と、塗らない部分に疑似太陽光を当て、かすかに日焼けする量MED(最少紅斑量)を算定します。それらを割り算して、何倍の光量で紅斑が出たかを調べます。その倍数がSPFとなります。
すなわち、SPF値が高い程、紫外線防止効果が高いことになります。一般的に日常用では~20程度、レジャー用では~40程度、光線過敏症では40以上が指標になります。

今回話題の「PA」表示ですが、これはUVA(長波長紫外線320~400nm)に対する防御効果を表すものです。UVAは単独では大量に照射しなければ急性の日焼けは起こしませんが、光老化(皮膚癌、シミ、シワ)などに関係します。UVAは波長が長い分、曇り空でも同様に太陽から降り注ぐ、UVBと異なり、ガラス越しにも透過する、皮膚の真皮深くまで到達し、真皮コラーゲンの減少、日光性弾力線維変性を引き起こすことなどの特徴があります。また、薬剤性に光線過敏症を起こす事がありますが、この場合UVAが作用波長になっていることが多いので注意を要する紫外線でもあります。
そして太陽光線の中でUVAはその95%をも占める紫外線なのです。まだその働きが充分に解明されているとはいえませんが、その重要性は納得できると思います。
これまでUVAに対する紫外線防止効果が、PA(protection grade of UVA)「++」で4、8以上のものは全てPA「+++」で表示されていたものが、これからは16以上はPA++++で表示されることになるということです。
ただ、この表示は日本化粧品工業連合会独自の自主基準で、UVA防御効果に対する世界的な標準評価測定法は決定していないそうです。粧工連では即時型黒化を指標とし最少持続型即時黒化量(minimal persistent pigment darkening dose:MPPD)を算定しているそうです。ただ即時型黒化は白色人種では認めにくく、UVAによる皮膚障害の指標かどうか不明であり、PUVA紅斑を指標にするなどの他の方法もあるそうです。
いずれにせよ数字のみにとらわれず大まかなSPF、PA値を参考にして、日常生活、スポーツ、マリンスポーツなどの紫外線の強さの状況に応じてサンスクリーンの強さを選択すれば良いかと思います。また帽子、衣服などによる遮光も取り入れることが効果的でしょう。

SPFもPAも検査の際は実際の塗布量よりもかなり多く塗られている事、汗によりサンスクリーンはかなり落ちてしまうこと、(発汗時には2-3時間ごとに塗りなおすこと)、値が高くなって特に紫外線吸収剤が含まれたタイプでは光かぶれ(光接触皮膚炎)を起こす可能性があることなどを知っておくことは必要かと思います。
以前HPに載せた「日焼け」についても参考にして下さい。

新聞を読んで一寸調べてみました。
光に関する事、光線過敏症などそのうちまとめてみたいと思っています。

中原寺メール12/16

【住職閑話】~先人が遺した尊厳~
 臘月9日、冬枯れの上野公園界隈を歩きました。
目的は東京藝術大学美術館で開かれていた「尊厳の芸術展」を見るためです。
ここで紹介された作品は、太平洋戦争中のアメリカ合衆国でおよそ12万人の日系アメリカ人が、砂漠等に建てられた粗末な強制収容所の中で、限られた材料(廃材)と道具をもとに作られた美術工芸品や日用品の数々です。
作品には、手作りの仏壇、木製の刀、茶道具、着物姿の人形、硯、置物、装身具など。
朽木や廃材を使って道具が粗末でも、想像力を豊かに不屈の精神で厳しい環境の中での生活を少しでも豊かにしようとする日系アメリカ人達の尊厳でした。
 それらは、豊かな時代の中で、便利な道具機器に恵まれた現代の私たちが忘れかけている人間の心意気というものを伝えていました。
 そして、収容所で過ごした両親からの遺産として二人の女性が語る次の言葉に深く胸うたれました。
「すべてを失いそれでも諦めずに生き抜くことを誓った彼らが残したものは、怒りや涙ではなく、豊かな発想と想像力あふれる精巧な芸術品だったのです。」
「両親が収容所のことを話すときは、悪いことは言わず、よいことばかり話していました。私は、収容所の中が幸せなところだと信じ込み、自分も入りたかったと思ったほどです。両親が私たちに教えたかったのは、過去にとらわれず未来を見て生きなさいということだったのです。」
 「尊厳の芸術展」を見た前日12月8日は「太平洋戦争開戦の日」、また「成道会(釈尊がお悟りになった日)」でしたが、釈尊の残された真理のことば、「怨みは怨みによって果たされず、忍を行じてのみ、よく怨みを解くことを得る。これ不変の真理なり。」が頭をよぎりました。

東京地方会

昨日は寒く小雨の降る中を、日本皮膚科学会東京地方会に出向きました。
ここ1,2回真面目に出ていますが(半分は皮膚科専門医資格の更新のための点数稼ぎという面もありますが)土曜日の午後2時から始まるというのは開業医にとっては辛いところです。診療を終わってからなので開始時間には間に合いません。大体腫瘍のセッションから始まるのでその方面はパスです。
ずっとさぼっていて、一寸気が向いた時にだけの出席ですが、なかなか長続きしません。継続は力なり、なのでしょうがそれができる人も一つの能力かもと思ってしまいます。本音をいうと、この地方会は若い先生方が専門医を取得する資格を得るための発表の場という側面も大のために凡そ一般的でない疾患の演題が多いのです。それであまり開業医向きではなくつい足が遠のいてしまいがちです。ただ、学会に出されるような稀な疾患でも開業医の目の前に現れないとも限りません。
長年皮膚科をやっていれば大体の疾患にお目にかかろうかというものですが、見たことも聞いたこともないような病気が結構目につきます。不勉強かもしれないけれど、皮膚科って奥深いというか、どれだけ疾患があるのだろう、と呆然としながら聞いていました。(多分数百では足らず千以上はあるでしょう。)新しい検査方法、ツールが開発されれば今までの疾患も再分類されたり、新たな項目に編入されることすらあります。
なかなか面白かったのは、疱疹状天疱瘡の話題でした。演題名に対して、長老格の先生が、「本質は落葉状天疱瘡と同じなのだから敢えてこのような病名を新たに付けなくても良いのじゃないか、新しい病名は予後や治療方法など分類して意味があるものに限るべき、」というような趣旨の発言をされました。葢し、慧眼の士かと思いました。ただ、反論もあって、かつてのジューリング疱疹状皮膚炎との鑑別にも残しておいた方が良い、見た目の違いは診断の手がかりになる、僅かな違いが未だ未知の病態に繋がっていくかも、などなどの意見も沸騰しました。
忘年会の時期ですから程々に、との茶茶も入る中で議論が尽くされるのは面白いことでした。
久しぶりにアカデミックな雰囲気を味わいました。

エピペン

先日、患者さんが来院した折に、エピペンの事について質問を受けました。
聞くと、かつてエビかカニかの甲殻類を食べて気を失い、気が付いたら病院に運ばれていたとのこと、・・・こういった方はごく稀ですがいらっしゃいます。
説明ついでに一寸エピペンについて調べてみました。

エピペンは、アナフィラキシー補助治療剤として開発された自己注射製剤です。エピペン注射液0.15㎎(緑色の製剤、体重15㎏~30㎏の方)とエピペン注射液0.3㎎(黄色の製剤、体重30㎏以上の方)の2種類があります。One shotでそれぞれアドレナリン0.15㎎、0.3㎎を注入できるように設計してあります。
 エピペンは元々は米国で蜂刺されなどによるアナフィラキシーに対処するために自己注射用緊急処置キットとして開発されたものです。日本では蜂毒によるアナフィラキシーのために年間約30人の死亡例があったため、1995年以降林野庁がこれを米国から輸入し蜂に刺されアレルギーの危険性がある職員に使用し始めました。その結果有効性が示されました。
それを踏まえて2003年からは蜂毒に対するアナフィラキシーの補助治療剤としての使用が始まり、さらに2005年からは食物、薬物によるアナフィラキシーに対しても使用が開始されました。但し、保険適用ではなかったために実費で購入する状態が続きました。
2011年に薬価基準収載となり、専門医療機関から製剤の処方を受けることができるようになりました。
そうはいってもアドレナリンという劇薬の自己注射液ということで、使用方法、時期、副作用、禁忌(使用してはいけないケース)など熟知していないと危険な薬剤です。
エピペンの使い方ガイドのDVDやテープなどもあり、処方の際は専門のエピペン登録医師が事細かに指導する事になっているようですが、インターネットで調べたらYou Tubeでエピペン使用方法という動画がありました。エピペンとはどういったものか知っておくのに参考になると思いました。

エピペンはアナフィラキシーの緊急治療薬として登場しましたが、あくまで補助治療剤です。緊急の場合には専門医療機関に早急に駆けつけることは当然ですが、アナフィラキシーの患者さん、その周辺の人は普段からこういった動画などを繰り返し見てエピペンというものに馴染んでおくのも大切かと感じました。

輸入感染症

最近、トコジラミ、チクングニア熱の事の記事を書く機会があり、以前当ブログでまとめていたものを見直し、書きなおしました。基本的には書いた事は変わりませんので以前の当ブログの記事を参照して下さい。
トコジラミ(南京虫) 2012.07.17     デング熱・チクングニア熱 2011.07.24

トコジラミは虫で、デング熱、チクングニア熱はウイルスによる疾患ですが、この両者に共通するものがあります。それは両方とも外国から輸入されてきたもの、そして最近遺伝子変異を起こし、やっかいな代物に変わってきたことがあげられます。
南京虫は様々な殺虫剤に耐性を獲得し何を使っても死なないものも出てきています。また、現代の我々の生活がIT化し、携帯、電化製品に囲まれて温かい環境が一年中持続するために南京虫にとっては生存し易い環境になっている事もその蔓延を許している原因となっています。
そういったトコジラミをスーパー南京虫とよんですでに国内にも持ち込まれているようです。薬剤で殺せないものは高温で駆除するしかないかもしれません。
そういえば、最近頭虱も、薬剤耐性の虫がでてきて(海外から持ち込まれて)いるそうです。スミスリンが効かないそうです。こういった虱に対しては昔ながらの梳き櫛や鋏でこまめに卵を取り除くしか駆除方法はありません。若いお母さん達には梳き櫛といっても見たことも聞いたこともない、という人もいます。もし、見つからなかったら浅草の仲見世にも梳き櫛のお店がありますので、ご参考までに。

チクングニア熱は今東南アジアで蔓延していて蚊によって伝播します。デング熱、ウエストナイル熱にも似ています。これも最近遺伝子変異によってヒトスジシマカの体内で爆発的に増殖する能力を獲得してしまったようです。熱帯シマカは、日本国内にはいないのですが、ヒトスジシマカは広く国内に生存しています。近い将来には国内での流行が危惧されています。

最近ウイルス、細菌、真菌、原虫を問わず遺伝子変異等を起こして薬剤に耐性の種が増えてきています。敵も生き延びるのに必死なのでしょうが、ウイルス等何億年もの長い月日を生き延びてきた者からみれば人間の方がよほど新参者で、人間の浅知恵を嘲笑っているのかもしれません。
この先、これらの耐性をもった病原菌が外国から輸入されてくる機会はますます増えていくことでしょう。
これらを輸入感染症と呼びますが、多くは蚊、鳥、ペット、野生動物など動物が伝播役を担っていることが多いようです。
海外旅行ではこれらに気をつける必要がありそうです。

しいたけ皮膚炎

再び、(三度?)しいたけ皮膚炎 最近、しいたけ皮膚炎と思われる患者さんが、来院しました。年間に2~3人はあるように思います。今回は、初めの問診では「シイタケなんか食べてません。」とのことです。しつこいようですが、「ここ数日の間に食べていませんか?」と再度聞きますと、「そういえば昨日食べた春雨に一寸混じっていたようですが、でもほんの少しです。」とのことでした。多分量は少しでもシイタケから出たエキス、汁の成分がかなり影響していたのではないかと思いました。 しいたけ皮膚炎は線状、鞭打ち状に赤みや丘疹が出来るのが特徴です。掻いた痕に一致して浮腫性の紅斑が線状に配列して見られます。これをケブネル現象といって、刺激によって元の皮疹がでるものをこう呼びます。乾癬でのケブネル現象が有名です。 このような発疹を生じるのは他には抗がん剤のブレオマイシンの薬疹ぐらいですので、知っていればまず診断は簡単です。  さて、なぜしいたけ皮膚炎がでるのだろう、という原因については今ひとつ正確には判っていません。生しいたけを食べた場合が多いので生しいたけに含まれる成分で加熱によって破壊される成分によるものだろうといわれています。しかし茹でたもの、調理をしたもので出たという報告もあります。 現在の所、生しいたけに含まれるレンチナンという多糖類成分によるものやアガリスクにも含まれるチロシン、チロシナーゼなどが原因だろうといわれています。しかしその機序もはっきりしません。アレルギー説、中毒説などありますが確定していません。 ある物質に対して一旦アレルギーになれば次回もその反応がでるのが普通です。しかしこのしいたけ皮膚炎では再現性は乏しいといわれています。すなわち一旦皮膚炎になったら次回も必ず出るとはいえないのです。普段食べていて問題ない人も発症します。また同時に多く食べた人が何ともないことが普通です。生しいたけを焼いて食べた例が最も多いですが、アガリスク、しいたけ戻し汁、しいたけエキス、しいたけチップ菓子での発症報告もあります。明確な発症機序は未だ明らかではないと言えます。 しかし、やはり生しいたけは注意したほうが良いようです。
 余計なことかもしれませんが、このしいたけ皮膚炎で一言思い出したことがあります。 皮膚科の疾患は、知っていれば(見たことがあれば)この’しいたけ皮膚炎のように’一瞬で診断がつくものもあります。それで昔から皮膚科ではこれをドイツ語でBlick Diagnose、英語でsnap diagnosis(一瞬の診断)と呼んでいて、それができるのは名医の条件でもあります。かつてあるベテランの皮膚科の先生が、内科の医師が色々な検査をしてしかも診断がつかなかった膠原病を一瞬の間に診断して驚嘆された、という事を聞きました。(そして、その内科医師は苦虫を噛み潰していたとか)。こういった話はよく耳にします。 名医はその頭の中に千以上もの病気を記憶していて、一瞬のうちに鑑別診断することができ(ることもあり)ます。いってみればスーパーコンピューターが備わっているようなものです。そして、目で見て診断ができれば色々な機器や血液検査などが省けるのですから患者さんの負担にならずにしかも安上がりなのです。 しかし、この目の値段が一般には判らないのが現実です。ちらっとみて話を聞かなくても的確な診断がつくことがあります。ですからそれが時には患者さんの不満になる事もありえます。あの医者はちらっとしかみてくれなかった(名医に対して)、あのお医者さんはじっくりみてくれて検査までしてくれた(実は疾患をよく判っていなくて色々スクリーニング的な検査をやった)ということもありえます。 皮膚科は見て触ってmm単位で判断することができます。その気になれば毎日でもその皮膚病変の変化を追うことも可能です。CTもMRIも内視鏡もmm単位でみてはいませんし頻繁に見ることはできません。 なまじよく見えるために目の値段の評価が低いのが実態かもしれません。しかも患者さんも目で見えるのでちっとも治らない、と不満も多いようです。 最近はダーモスコピーが導入されて皮膚科医も少しは易者から医者らしくみられるようになってきたかもしれません。一瞬で判ってもその診断に至った手順を時間をかけて説明すること、一般にわかるような言葉で説明する努力も患者満足度につながるのかと思いました。しいたけ皮膚炎1.jpgしいたけ皮膚炎2.jpg