月別アーカイブ: 2013年3月

にきびQ&A(7)光線治療

ニキビの光・レーザー治療に対する、日本皮膚科学会のガイドラインでの評価はC2となっています。すなわち行ってもよいが、設備の問題、本邦での検討が不十分であり、保険適応がないことから推奨はしない、ということです。これはまだ検討が不十分ということで効果がない、ということではありません。ただ、日本人での十分な検討がなされていないということで、予期せぬ副作用もありうるということですので、自己責任の上で施術を受けるということになります。 当院ではレーザー療法は行っていませんので、やはり専門書の受け売りということになりますが、できる限り客観的、ニュートラルな記述に努めて書いてみたいと思います。
Q: ニキビの光線治療にはどんなものがあるのですか。またどのようにニキビに効くのですか。 A: 青色光、赤色光、ALA-PDT療法、レーザー療法(V beamなどの色素レーザー)などがあります。またニキビ痕(瘢痕)に対してはフラクショナルレーザー療法があります。 どのような光線がニキビに有効なのか、どのような機序で効くのかについては、明確な解答はまだありません。 ただ、明確な解答の一つはニキビ菌(Propionibacterium acnes)がその代謝サイクルでポルフィリン体(主にコプロポルフィリンⅢ)を産生するので、それをターゲットにして光を当て、殺菌するという機序です。 その他の可能性としては、面皰形成、皮脂の産生、炎症・免疫に対する調節、改善効果です。最近は自然免疫としてToll-like receptorの関与が考えられ、実際にそれらを介して効果を現わすことを示唆する基礎データも集積されてきています。
A: 光線治療の機械にはどのようなものがあるのですか。 Q: 《青色光》   ポルフィリンは400~410nm(Soret帯)に強い吸収波長を持ちます。皮膚科診療現場でも、407~420nmに波長のピークを持つハロゲンランプを光源とする高出力ナローバンド青色光やLED(発光ダイオード)などが使用されるようになっています。LEDはIPL( intense pulsed light)やレーザー光線のように熱作用を利用したものではなく、光そのものの効果を利用したものといえます。青色光は最もポルフィリン体に良く吸収されるので、理論上最も有効ではありますが、皮膚への透過性が低い(波長が短い程透過性が低い、約1mm程度)という欠点があります。それで、青色光は軽症から中等症の浅在性の紅色丘疹や膿疱に効果があり、深在性ののう腫や結節を持つ重症例にはあまり効果はないようです。 《赤色光》 理論的には赤色光単独では、効果が少ないと思われますが、青色光より皮膚の深部にまで届きます。青色光単独より、青色光・赤色光の混合照射の方が効果が高いとのことなので、赤色光の何らかの効果もあるということです。最近はハンディタイプのLED照射器も開発されているようです。 《IPL》 ニキビに対するIPL( Intense Pulsed Light )の治療効果は十分ではないようです。ただ、炎症が鎮静化した後の赤色ニキビ痕(瘢痕)に対しては効果が高いそうです。早期からIPLを併用しているとニキビ痕(瘢痕)を残しにくいそうです。またIPLによる色調の均一化や美白効果で、ダウンタイムの少ないのは本邦の女性に好まれ利点でもあります。 注)IPLという名称はルミナス社の商標登録したもので、他社は様々な名称を用いた機器を販売しています。ただ、一般に専門書などでも「IPL」という語句が汎用されているようです。IPLは機器ごとにスペックが非常に異なり、また治療効果も術者によって非常に差があるとのことです。
Q: PDT療法とはどんなものですか。 A: 光線力学療法( photodynamic therapy :PDT)は光感受性のある物質を組織に取り込ませ、その後に光を照射することによって、光化学反応を引き起こし、活性酸素を発生させてその組織を選択的に破壊して治療するものです。 元々は、肺癌、胃癌、食道癌、子宮頚癌などの早期病変の治療として行われ、PDT療法は保険適用を受けています。皮膚科分野でも日光角化症、基底細胞癌などに応用はされています。ニキビにも有効性のあることが報告されていますが、残念ながら保険適用は受けていません。 ポルフィリン前駆体の5-アミノレブリン酸( aminolevulinic acid : ALA )は正常組織では毛包脂腺に集積します。これを応用してニキビを治療するのが、ALA-PDTです。 ALAは赤血球の成分である、ヘモグロビンの一部であるヘムの合成経路の前駆物質です。ちなみにヘモグロビンはヘムとグロビンから構成されます。 ALAは種々のポルフィリン体を経て、最終的にプロトポルフィリンⅨがフェロケタラーゼによって鉄と結合してヘムになります。 (これらの合成経路の中で酵素異常があると、種々のポルフィリン症を発症し、多くのものは光線過敏症を起こします。・・・これらについてはいずれ書いてみたいと思いますが) ALAそのものは、光感受性を持ちませんが、これが過剰に投与されると、プロトポルフィリンからヘムへと転換するフェロケラターゼという酵素が枯渇し、この生合成経路が滞り、プロトポルフィリンⅨ( PpⅨ)という物質が蓄積してきます。 このPpⅨは光感受性物質です。これをターゲットにして可視光線を照射します。理論上はPpⅨの最大ピークの励起波長の410nmの青色光が最も有効なのですが、これは深さ1mmまでしか到達しません。それ以上の深さでは630~635nmの赤色光を利用するのが効果的です。 光源機器は可視光線のうち、広域波長を出す光源の方が、単一波長を出すレーザー光源よりも照射野が広く、また安価でもあるので有利だということです。 実際の方法にはALA外用法と、内服法があります。 《外用法》 ・患部にALA軟膏を塗布する ・プラスチックフィルムで密封する ・アルミホイルで遮光する ・3~6時間後に軟膏を拭きとり、光線を照射する ・終了後にクーリングする ・48時間遮光管理する 術中、術後には刺激感、赤み、腫れ、水疱、一過性のかさぶた、ニキビの悪化、色素沈着なども起こりうるそうです。通常1週間以内には軽快、消失。 上記の方法は悪性腫瘍に対する方法に準じており、かなり手技が煩雑で長時間かかり、大変そうです。下田らも述べていますが、外用ALA-PDT療法は有効ではありますが、発赤、腫脹、水疱、膿疱、「反応性のニキビ」などの強い副反応が問題です。また長い待ち時間も欠点だと述べています。これよりALAの濃度を低くして、塗布時間を短くしたマイルドな変法も試みられているようで、至適条件の検討はまだこれからというところのようです。 《内服法》 内服法は外用法に比べて皮膚表面の障害が軽度で広範囲に施行できる有利さがあるそうです。 ・ALAを水・ジュースなどで内服 ・遮光された環境で4時間待機 ・光線照射 ・終了後適宜クーリング ・48時間遮光管理 ALA内服によるPDTは

中原寺メール3/25

【住職閑話】~垂れ桜に憶う~
 春のお彼岸は一気に五月ごろの陽気になって、桜が満開となりました。
例年より半月も早いとのことです。
寺の境内の二本ある垂れ桜はここ一週間が見頃を迎えます。道往く人の目にも映るようで、下から見上げる風情が素敵だそうです。
本堂前の桜木は、私たち夫婦が結婚記念にと妻の実家の古木の苗木を貰い、植えたものです。もう40年以上になりますが、数年前には枯れ木寸前のピンチに陥りました。庭師に土壌改良してもらってからはとてもよく咲いてくれるようになり、毎年感謝の気持ちが涌き出てきます。
 夫婦の間柄を見ているようでとはいえませんが、夫婦とは異な物、長い年月を惰性に過ごしてはいけないのですね。時々の土壌改良が必要です。
 儒教の経書「大学」に、「日に新たに、日日に、新たに、また、日に新たなり」という有名な言葉があります。他人のいやがるようなこと、他人に迷惑になるようなことをしないように心がけて毎日を過ごしたら、気分一新して一日一日を過ごすことができます。毎日毎日を、向上進歩の人生を歩むことが大切です。
難しいことですが、時折夫婦の間に緊張感を持つことが大事ではないでしょうか。
少しも偉そうなことはいえませんが、ただ共通に思うことは「仏さまの教えに出会えてよかったね!」ということだけは確かです。

にきびQ&A(6)ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは日本皮膚科学会策定の「尋常性痤瘡治療ガイドライン」でC1 に推奨されています。比較的に低い評価になっているのは、ケミカルピーリングの臨床試験の画一的なデザインが難しく、統計的に高い評価のエビデンスを得にくいこと、保険適応がなく、自由診療になることなどがその理由になっているようです。しかしながらその有用性は確立された手技といっていいでしょう。  当院はケミカルピーリングは行っていませんので、ここにあげるのはあくまで皮膚科学会ガイドライン、教本などから写しとった内容です。個々の問題については実際に施術を行っている美容皮膚科あるいは主治医にお問い合わせ下さい。  専門家でないものが書くものおこがましいですが、ただ、未だ施術を受けていない患者さんの、素朴な疑問への参考程度にはなるかと思い調べて書いてみました。

Q: ケミカルピーリングって何ですか。
A: 酸などの化学物質を皮膚に塗布することによって、角質、表皮などを化学的に融かしながら古い角質、面皰などの角化物質などを剥がし取り、その後の炎症によって新たに表皮や角質を再生、再構築するものです。すなわち創傷治癒の機序を応用した手技といえます。

Q: ケミカルピーリングにはどんな種類があるのですか。
A: 大きく以下の4種類に分けられます。
1. 最浅層ピール(very superficial peeling) 表皮角質層まで
2. 浅層ピール(superficial peeling) 表皮顆粒層から基底層まで
3. 中間深層ピール(medium-depth peeling) 表皮全層と真皮乳頭層まで
4. 深層ピール(deep peeling) 表皮と真皮乳頭層および網状層まで (下図参照)
剥離深度と使用薬剤 剥離深度レベル
1,2 20~35%αヒドロキシ酸(グリコール酸・乳酸) 20~35%サリチル酸(エタノール基剤・マクロゴール基剤) 10~20%トリクロロ酢酸(TCA)
剥離深度レベル1,2,3 50~70%グリコール酸 35~50%TCA
剥離深度レベル3,4 ベーカーゴードン液 フェノール(濃度88%以上)

Q: ニキビにはどのような種類が使われるのですか。
A: 一般にはグリコール酸とマクロゴール基剤サリチル酸を用いた剥離深達レベル1,2のケミカルピーリングが有効で特に面皰に対して効果がみられます。 欧米ではエタノール基剤サリチル酸が有効との報告がありますが、強い刺激感があり、落屑が長期に及ぶことがあります。 また痤瘡瘢痕の治療には高濃度グリコール酸やTCA が用いられ有効との報告もありますが、色素沈着や新たな瘢痕などの副作用もあることから推奨はされていません。ただ、術者の技量によるところが大です。

Q: グリコール酸はダウンタイムが少なく、安全と聞きましたが。
A: グリコール酸は濃度やpHの違い、また中和するタイミングなどにより、その深達度が大きく異なります。普通20~30%であれば、それ程のダウンタイム(施術後に回復を要する時間)は要しないとされます。ただ、肌質、施術方法にもよりますので、主治医の先生によく相談されるのが良いかと思います。

Q: サリチル酸はどうですか。
A: サリチル酸マクロゴールによるケミカルピーリングはグリコール酸と比べて、濃度やpHの調整、中和のエンドポイントの見極めなど煩雑な手技を用いることなく、簡単で効果的とのことです。サリチル酸マクロゴールはサリチル酸の皮膚からの吸収がほとんどないために表皮、角層までに作用し炎症も少ないとのことです。(上田設子、大日輝記) 欧米ではサリチル酸エタノールが広く使用されていますし、簡単に自家調整できますが、脂腺から血中に吸収され、サリチル酸中毒の危険性があります。 日本では20%濃度のサリチル酸エタノールでの臨床試験で効果が認められましたが、強い刺激と長期の落屑が認められたとのことです。ただし、効果はマクロゴールより大のようです。

Q: ケミカルピーリングをやってはいけない場合があるのですか。
A: ・遮光が十分にできない人   ・妊娠中、授乳中の人   ・免疫不全など重篤な病気のある人   ・ケロイド体質の人   ・顔にウイルス、真菌、細菌などの感染症のある人   ・アダパレン(ディフェリン)などレチノイド剤を使用中の人   ・アトピー性皮膚炎の人も注意を要します。
Q: 施術をした後は、かさぶたなどできるのですか。
A: 方式によって異なると思います。ごく浅めのものであれば、ちょっとしたヒリヒリ感、一時的な赤み、乾燥などの刺激感だけでしょうが、方式によってはしばらくかさぶたが続いたり、元々あるニキビが一時的に炎症で悪化するようにみえることもあるようです。 したがって術後の遮光、スキンケアなどのアフターケアが非常に重要になってきます。

Q: ケミカルピーリングの後に注意することはどんなことですか。
A: 大なり小なり皮膚が赤むけになった状態ですから、施術後にぴりぴり感や赤み、ほてりなどの刺激が数日は続くこともあります。また乾燥もします。それで、十分な保湿が必要です。また紫外線によって炎症後の色素沈着が起こりやすい状態になっていますので、遮光は必須です。スキンケアも大切ですし、UVカットのお化粧も必要ですが、過度にならないこと、擦らないことが大切です

Q: 施術は1回で済むのですか。
A: 方式、医師によって異なりますが、一般に5,6回など複数回の施術が必要と思われます。
Q:  しみ、しわもとれるのですか。
A: 角層を剥離し、表皮のターンオーバーを促進し、表皮に蓄積したメラニンの排出効果もあります。真皮では血管内皮細胞や繊維芽細胞の活性化が誘導され、真皮コラーゲンが増えるので、色素沈着、浅い痤瘡瘢痕の改善効果は期待できそうです。(山本有紀)。皮膚のくすみがとれ、「黄褐色の皮膚」は「ピンク」になり、「ごわごわして厚い肌」が「ポチャポチャした柔らかい薄い肌」になるそうです。(上田説子) 小ジワへの改善効果もあるようです。 ただ、術式、術者によってはかえってシミ、肌荒れなどの苦情もあるようなので、施術前によく医師に相談し納得したうえで施行してもらうようにし、また過度な効果の期待は避けるべきでしょう。

参考文献
皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント 総編集◎古江増隆 専門編集◎林 伸和 中山書店 2011
古川福実、松永佳世子、秋田浩孝、ほか 日本皮膚科学会ケミカルピーリングガイドライン(改定第3版). 日皮会誌 2008;118: 347-55.剥離深達度.PNG

にきびQ&A(5)漢方薬

Q: にきびに漢方薬は効くのですか。
A: ガイドラインでは、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、清上防風湯、十味敗毒湯が推奨度C1となっています。すなわち、他の治療が無効、または実施出来ない時には選択肢の一つとして推奨しています。
清上防風湯、十味敗毒湯は、化膿性炎症の急性期に効果があるとされます。これらには抗炎症作用と共に、ある程度の抗菌作用もあるそうです。
いずれも胃腸の弱い虚弱体質の人では胃部不快感や下痢などを起こす事があるようです。また甘草を含んでいるために偽アルドステロン症を起こし、低カリウム血症を起こしたり、むくみを生じることもあります。荊芥連翹湯もニキビ菌に対する抗菌作用が認められていますが、やや慢性期の化膿性炎症に対して用いられます。
皮膚が浅黒く色素沈着し易い傾向にある人向きとのことです。特に浅黒い色調の集簇型痤瘡には良い適応だそうです。
ニキビを瘀血、血熱といった血の異常と捉えて駆瘀血剤が使われ有効な場合もあるようです。(桂枝茯苓丸、当帰芍薬散、加味逍遥散など)

漢方薬は西洋薬と異なり、成分も薬効も多彩で科学的な証明がなされていないものが多いです。また虚実、陰陽などの概念により使用薬剤、薬効も異なるなど評価も解りにくいのは否めません。しかし、抗菌作用や、抗炎症作用も徐々に明らかにされてきています。長期にわたる抗生剤の使用によって耐性菌が出現してくることを勘案すれば、長期にわたる場合は漢方薬の使用はもっと考慮されてもよいかもしれません。

参考文献 
皮膚科臨床アセット8 変貌する座瘡マネージメント
総編集◎古江増隆 専門編集◎林 伸和 中山書店 2011

寺澤捷年 絵で見る和漢診療学  医学書院  1993

秋葉哲生 洋漢統合処方からみた漢方製剤保険診療マニュアル
ライフサイエンス・メディカ 1997

にきびQ&A(4)抗菌薬

Q: ニキビの抗菌薬の使い方について教えて下さい。 A: 抗菌薬には外用剤と内服剤がありますが、まず外用剤から説明します。 抗菌薬使用の主な目的は、ニキビの悪化因子の一つであるニキビ菌 (Propionibacterium acnes) を減らすこと、また皮膚で二次的に増えた細菌を殺菌することです。ただ、抗生剤の種類によっては、抗炎症作用や免疫調整作用を持っていて、単なる殺菌作用だけではなく、それによるニキビの改善を期待した使い方もされています。 日本ではクリンダマイシン(ダラシン)ゲル・ローションとナジフロキサシン(アクアチム)クリーム・ローションが主に使用されていますが、海外では他にエリスロマイシン、テトラサイクリンも広く使用されています。むしろ海外でのナジフロキサシンの使用は少ないようです。ナジフロキサシンはニューキノロン系の抗菌薬ですが、DNAジャイレースを阻害したり、トポイソメラーゼⅣ阻害作用を持ち細菌のDNA複製を抑制したり、複数経路で抗菌作用を発揮するために薬剤耐性ができにくいとされています。 外用抗菌薬の作用、効果は比較的マイルドで遅く、細菌の薬剤耐性を誘導する可能性があるために、単独での使用は勧められません。先に述べたようにアダパレン(ディフェリン)との併用がニキビの第一選択肢として勧められています。 過酸化ベンゾイル(BPO)やアゼライン酸も抗菌作用があり、耐性菌を誘導しないので海外では併用されたり混合した外用剤が使用されていますが、残念ながら日本ではまだ使用が認可されていません。 では具体的に抗菌外用剤とディフェリンをどのように使い分けるかを説明します。 ディフェリンは夜洗顔後に1回顔全体に塗布します。抗菌薬は1日2回炎症部位(丘疹、膿疱など)に部分的に塗布します。つける順番は剤形にもよります。ローションなど水溶性のものを先に、クリームなどを後から付けますが、厳密な決まりはないので個人個人で塗り易い、塗り心地の良い方法を選択すれば良いようです。 一般に油症の人はゲル、ローションなどがお勧めで、乾燥肌の人や冬場はクリームや軟膏剤を選べばよいでしょう。
Q: 内服抗菌剤にはどんなものがあるのですか。 A: 日本で保険適用のある抗菌薬は次のものです。 ロキシスロマイシン(ルリッド)、ファロペネム(ファロム)、セフロキシム・アキセチル(オラセフ)、レボフロキサシン(クラビット)、トスフロキサシン(オゼックス)、スパルフロキサシン(スパラ)。このうち抗菌作用以外に抗炎症作用を持っているのはルリッドのみです。 しかし、長年の使用実績より抗炎症作用を併せ持つ、テトラサイクリン系のミノサイクリン、ドキシサイクリンが最も有用なために実はこの2剤が推奨度Aとなっており、推奨度Bがルリッドです。他の保険適応のある薬剤は推奨度Cとなっています。 内服抗菌薬は薬剤耐性菌の問題のためにできるだけ短期間に留めるのが良いとされています。一般に効果が期待できるのには最低6~8週間といわれます。 ファロムは重症例にも効果がありますが、2週間以内に留めるのが原則とされます。 ミノマイシン、ルリッド等の少量投与の期間について明確な記述はないようです。6~8カ月継続するといったガイドラインもあるようですが、いずれにしても短期間の方が耐性菌の出現、副作用の出現は避けられます。 特にミノマイシンの長期投与では皮膚・歯牙への色素沈着や肝機能障害などに注意が必要です。 本邦での耐性化は欧米ほどには進んでいないとのことですし、これとにきびの難治化とはまた別問題のようですが、やはり不必要な長期の抗菌剤の内服は避ける必要があります。
参考文献 皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント 総編集◎古江増隆  専門編集◎林 伸和  中山書店 2011

にきびQ&A(3)アダパレン(ディフェリン)

アダパレン(ディフェリン)について

Q:  アダパレン(ディフェリン)とは何ですか。
A: 本邦初のレチノイド様作用をもつ外用薬として2008年に保険適用になりました。
アメリカでは1996年にFDAで承認され諸外国でも使われ始めたので、日本は約10年おくれの認可となります。外国ではトレチノイン、タザロタンなどのレチノイドが1970年代より使われてきましたが、アダパレンが効果は同等でも最も副作用の少ないレチノイドとされています。アダパレンはRAR(retinoic acid receptor)-gammaのみに結合し、alpha,betaとは結合しないために副作用は少ないとされます。
アダパレンは表皮角化細胞の分化を抑制することで微小面ぽう(コメド、白ニキビ、黒ニキビ)を抑制する作用を有します。面ぽうが発展して、炎症性皮疹(赤ニキビ)になっていくことがわかっています。それで面ぽうをなくすることが、ニキビ治療の根幹となります。
さらに、アメリカ皮膚科学会のガイドラインでも「ほとんどすべてのニキビ患者にとって、外用レチノイドと抗菌薬の併用が第一選択の併用療法になる」とされます。
それ程にニキビ治療にとっては欠かせない薬剤となっています。

Q: アダパレンは具体的どのように使うのですか。
A: 1日1回寝る前に顔全体につけます。つける量は1FTU(finger tip unit):(人指し指の第1関節に沿ってチューブからゲルを出した量で約0.5gになります。)です。それで1カ月約15g、ディフェリンゲル1本の使用量が目安になります。体のニキビにも効果はありますが、適応は一応顔面となっています。
 使い始めてから2週間は刺激したり(赤くなる、痒くなる、ひりひりするなど)乾燥したりすることが多いので、減量したり、部分的に使用することは構いません。
刺激、乾燥が強い場合は保湿剤、乳液などを先に塗布した後でアダパレンを塗布します。1ヶ月も使用すると刺激感は少なくなり、面ぽう(白ニキビ、黒ニキビ)も減少してきます。ただ、炎症性の皮疹(赤ニキビ)は効果が出てくるのに2~3ヶ月かかりますので、継続維持していくことが重要です。

Q: アダパレンを使ってはいけない場合がありますか。
A: ラットなどの動物実験で催奇形性が証明されているので、妊婦、授乳者には使用が禁止されています。ただ、ヒトに換算して150倍もの量を塗布しても催奇形性は認められないとのことです。
臨床試験がなされたのが12~36歳でした。しかし説明で納得してもらえば10歳頃から40歳以上のニキビの患者さんに使用してもさしつかえないことになっています。
2週間以内の刺激症状で脱落するケースがままありますが、臨床試験で本当に合わない人は1%程とごくわずかだったそうです。(450人中5人)

インターネットでディフェリン患者さま向け情報サイトで使い方のビデオがガルデルマ株式会社のサイトで見ることができます

参考文献

皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント
総編集◎古江増隆 専門編集◎林 伸和 中山書店 2011

にきびQ&A(2)–治療ガイドライン

「ニキビ」治療ガイドライン

Q: ニキビの治療にはどんなものがあるんですか。
A: 日本のニキビの治療は欧米と比較して残念ながら遅れています。
従って、皮膚科だけではなく、他の診療科や美容医療の業者、エステなどの対象として扱われる傾向があるようです。中には安全性や有効性が確立されていないものも混在しているようです。
それで、2008年に日本皮膚科学会が標準的で安全な効果的な治療法を「尋常性痤瘡治療ガイドライン」としてまとめ発表しました。現時点での臨床的エビデンス(証拠、根拠)に基づいて推奨度を決めています。
    A:行うよう強く推奨する
    B:行うよう推奨する
    C1:良質な根拠は少ないが、選択肢の一つとして推奨する
    C2:十分な根拠がないので推奨できない
    D:行わないよう推奨する
これらに沿って推奨度Aを中心に説明していきたいと思います。

Q: ではどんな治療が推奨度Aなのですか。
A:1、毛穴の角化異常、面ぽうに対するアダパレン(ディフェリン)を外用する。
2、アクネ桿菌 (P. acnes)を抑えることと、それに伴って起こる炎症を抑えるために抗生剤を外用、あるいは内服する。
この両者が治療の根幹になります。
軽症であれば、ディフェリンのみ、中等症ならば更に抗生剤の外用を追加、重症であれば更に抗生剤の内服を追加します。

Q: 推奨度Bの治療は何ですか?
A: ステロイドの局所注射がニキビ瘢痕やのう腫に対して選択肢の一つとして推奨されていますが、効果の高い治療方法はないので、できる限りこのような状態を作らないように早めに治療することが重要です。
なお、ステロイドの外用剤、内服剤はかえってニキビを悪化、誘発しますので、注意が必要です。

Q: 推奨度Cの治療にはどんなものがありますか
A: ケミカルピーリング、漢方薬、硫黄製剤外用剤、非ステロイド系消炎剤外用などが該当します。

Q: 今はやりのレーザーなどは推奨しないのですか。
A: 特殊な光線療法、レーザー治療は国内での検討が十分にされていないこと、また設備が高額で保険適応がないことなどから推奨されていません。ただ、十分に検討がなされ明確なエビデンスが蓄積されていけば、正しく理解した医師が適切な機器を使用する条件でレーザー治療が推奨されていく可能性は高いとされています。

Q: 外国で使われるアゼライン酸、過酸化ベンゾイルなどは推奨されていないのですか。
A: 日本はdrug lagがあり、諸外国で使用されていて日本で使えない薬剤は上記のものの他にもいくつかあります。ただ、徐々にこれらの薬剤も認可されていく方向にあるようです。

これらの推奨度の高いものから順に説明してみようと思います。

参考文献 

皮膚科臨床アセット8 変貌する痤瘡マネージメント
総編集◎古江増隆 専門編集◎林 伸和 中山書店 2011

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キーウエストへ

学会の後はキーウエストへのドライブを予定していました。 空港のホテルに泊まったし、前日にレンタカーセンターの下見もしたので、安心して寝過ごしてしまいました。 適当でいいよ、と言われていたので9時の所を9時半にセンターに行きました。すぐに車を貰えると思っていたのに、30分以上も待たされました。手続きを済ませた後も何か順番がどうだこうだと言われて待てといいます。仕方ないかと思っていましたが、所々のカウンターではおしゃべりをしながら’遊んでいる’女の子もいましたしそんなに人も並んでいません。何か釈然としないながら郷に入っては郷に従え、かと諦めました。さらに30分以上たってやっと順番が来て下の階に行けといわれて何かまた手続きがあるのかと思っていたらずらっと並んだ車にただ鍵が付けて置いてあるだけでした。勝手に乗っていけという感じです。それなら何も1時間も待たせることなんかないんじゃないか、と憮然とした思いでした。 ただ、下の階にいたおじさんは親切でした。英語よりもスペイン語が母国語の感じの人で、車の使い方を念のために聞いたら、よく解りにくいながらもP,N,D,Sの説明から始まったので逆に閉口しました。お礼にと1ドル札を出すと頑として受け取りませんでした。アメリカにも色々な人がいるなー。 道路は南へ一本道で簡単だというので、カーナビも要らないくらいかと思ったものの着けて置いて良かったです。出だしそうそう、曲がる道を一本間違えてしまいました。そうすると止まってみる訳にもいかないし、ナビがcalculationといっている間にもどんどん予定外の道へ進んでいってしまいますので、一寸パニックになりそうでした。やっと南への道に入った時はほっとしました。 道はUS1号線で、キーウエストのsouthern most pointまで続いています。US1はほとんどが片側1車線なので追い越しもままなりません。そして制限速度45か55マイルなので皆ゆっくり走っていました。 途中、キー・ラーゴや7mile bridgeの手前で休憩しながらゆっくり走って行きました。残念ながら7mile bridgeそのものは走りながら途中で止めることもできませんので写真にできませんでした。でも広い海の中で空中に向かって伸びている橋を登るときはまるで滑走路が空に続いているような変な感覚にとらわれました。 途中何度か道端に車を止めて、写真を撮ったり遠くの船を眺めながら時を過ごしました。 ユーミンの「中央フリーウェイ」や「海をみていた午後」を思い浮かべたりしながらボーとしていました。そのせいもあってか、キーウエストの空港に着いた時は午後4時をまわっていました。島は小さくて駐車場も少なく、自転車の方が便利と書いてあったのでレンタルしましたが、後でこれが大変なことになってしまう原因となりました。 島は長方形で空港は右下(東南)にあります。1周2時間コースといわれたので7時半の帰りの飛行機には十分だと踏みました。どっちからまわってもいい、といわれましたが、夕焼けを見たいと言うと時計回りなら帰りに夕焼けを見ながら帰って来れるとのことでした。 最初はゆっくりとビーチで楽しむ若者等を撮りながら進んで行きました。左下(南西)にSouthernmost pointという所があって一応US1の終点になっている所だそうですが道の曲がり角の一角に赤色の碑が立っているだけで何の変哲もない所でした。しかも地図でみると最南端でもなさそうです。しかし記念に(証拠に)写真を撮って来ました。確かにガイドブックにがっかり名所ランキングに入りそうと書いてあるのが頷けます。 そこからヘミングウェイの家を目指したのですが、ここら辺りからがケチのつき始めでした。地図を生飲み込みにして走り出しましたが、行けども行けどもたどり着きません。おかしいなと思って見直しみると、なんと90度違う方向に走っていました。仕方ないのでまたSouthernmost pointに戻り走りなおしました。家についてみると開館は5時までとなっており、すでに時間は6時前です。 さあ、ここが思案のしどころだなと思いました。6時半に帰る予定なので安全策をとれば元来た道を引き返すのがいいのですが、空港でのおじさんの話では手荷物がなければ6時45分でもOKと言っていました。夕日の沈むのを見たいなら北周りです。 何とかなるだろうと、北西に向かいました。マロリースクエアと呼ばれる一帯は夕日見物で混雑するので有名らしいです。ただ、今はのんびり夕日を見ている暇はないので沈む夕日を写真に収めた後は、サルサなど陽気なダンスをやったり音楽をやったりしているのをしり目に急ぎ空港へと向かいました。時計を見るともう6時20分を過ぎています。北周りながら夕日を眺める余裕などありません。当然ながら初めての道なので地図のパンフレットを左手に持ちながらひた走りました。それでも結構遠いこと、なかなか北東の角にもたどり着きません。そのうちにDO  NOT  PASSの表示が出てきて自転車道路が通れなくなりました。道の反対側に渡ればいいのでしょうが、(本当はそちら側が右側で正当な道、やはり日本人はつい左側を走ってしまいます。WRONG WAYの表示もかまう余裕はなくなっていました。)とにかく道の外側に出てしまったのです。しばらく行くとガタガタ道がぬかるみになって大変な状況です。工事中だから仕方無いのでしょうが、もう戻ることもできません。泥を跳ね上げながら、転倒しないように必死でペダルを漕ぎました。やっとの思いでまともな道にでましたが、とうに40分も過ぎています。そこに二股が現れました。北と南の分かれ目です。海沿いに廻れといっていたな、と思い北に向かいました。しかしどうも不安です。先を行くおじさんを見つけて必死に追いすがりました。空港への道はこっちか、と聞くと違う、南だといいます。取って返してペダルを漕ぎに漕ぎました。やっと見覚えのある島影が見えてきた時は本当にほっとしました。一時は飛行機は諦めて真夜中のUS1をマイアミまで戻らなければと覚悟したほどでした。 あの時、あのおじさんに会ってなければ多分そうなっていたかと思うとぞっとします。 何とかたどり着いた飛行機はたったの20分程でマイアミに戻り着きました。 キーウエストはかつてミシガン大学に留学していた時に無性に行ってみたい所でした。多分冬の寒く、薄暗い北国では陽射しが恋しくなるのでしょう。そういえば、たしかヘミングウェイもミシガン出身の人でした。以前学会場で会ったカナダ人の医者も引退したらマイアミに行きたいといっていました。 念願のキーウエストでしたが、必死の思いで自転車を漕いだだけの思い出になってしまいました。でも途中のUS1で十分リラックスできましたし、キーウエストなど住んでたら1か月も持たない
だろうと思いました。できれば数日は滞在したい所ですが、まだ引退はしたくないのでまあいいか・・・。 マイアミからニューヨーク、成田と帰って今は自宅で書いています。 世の中近くて便利になったものだと思いますが、時差ぼけと気持ちのリカバリーにしばらく時間がかかりそうです。 US 1.JPGUS-1..JPGUS-1...jpg途中の島、.jpg入り口7mile.jpg7miles bridge.JPGキーウエスト.JPGキーウエスト3.JPGキーウエスト4.JPGキーウエスト5.JPGキーウエスト6.JPGsunset.JPGsunset..JPGsunset,.jpgヘミングウェイの家.jpg
途中の島.jpg

マイアミにて4

4日目になって、やっと南国らしい陽気になってきました。 お昼になって、晴れたビーチに行ってみました。今までは夕方で天気が芳しくなかったこともあり、何か寂しげなビーチでしたが、天気が回復してみると今までと打って変わった南国のビーチが目の前にありました。タクシーの運転手さんは肌寒い雨模様の天気は普通じゃないといっていました。この光景が本来のマイアミなのでしょう。 浜辺にはビキニの娘さんも繰り出して、カラフルで華やいでいました。日射しも強く、今までの感覚で日焼け止めもつけずほんの小一時間浜辺にいたらすっかり日焼けしてしまいました。 あまりに暖かく皆が水着でいるので、靴を脱いで海水に足を浸してみました。砂の感覚、ひんやりとした足の感覚、潮の香りがとてもいい気持ちでした。できれば一日中ぼけーと浜辺に寝そべってみたい程、のどかなビーチでした。 午後からはFillmore Theaterで乾癬のセッションがありました。治療については日本とそれ程変わらない印象でしたが生物学的製剤は一歩進んだ感がありました。特にTh-17に直接働く阻害剤の効果は目覚ましいものがあり、ほとんど病変が消えるまで効くケースもいままでの製剤より多く報告されていました。それでも生物学的製剤もいろいろ問題があり、もっとも大きな副作用は“poverty“(貧乏)といっていました。これはアメリカ人特有のジョークでしょうが、高額な薬品だけにあながち冗談だともいいきれません。それにこれから高齢社会になっていき、患者さんも高齢化すると、それだけでも免疫力が低下します。またいろいろな病気をおこしてきます。肝臓・腎臓・心臓など重要な臓器の機能が低下すると生物学的製剤の副作用が起こりやすくなり、ひいては使用できなくなるおそれもあります。このことにも注意を払う必要性があることを強調されていました。 そういった面で新しい乾癬の外用剤のJAK阻害剤の外用剤が有効なことが報告されていたのは明るい話題でした。外用剤ならばそれ程の副作用もないだろうし、高齢者にも使えそうです。 夕方コンベンションセンターに戻ってみるともう企業展示は終わっていて、すでに後片付けが始まっていました。学会はもう一日ありますが小生はマイアミ国際空港へと向かいました。明日はレンタカーを借りてキーウエストに向かいます。 マイアミビーチ4.JPGマイアミビーチ5.JPGマイアミビーチ6.JPGFillmore Theater.JPG

マイアミにて3

昨日は、お昼にビスケーン湾のクルーズに行ってきました。ベイサイドマーケットプレイスから出る湾内クルーズがいくつもあるようでした。マイアミはスペイン語が日常的に話されていて船の案内もスペイン語が先で、その後が英語でした。何かアメリカなのか、中南米のどこかの国なのか分からないような感じでした。
湾内の島々には億万長者たちの別荘が立ち並び、壮観でした。いろいろと説明していましたが、よくわからない中に、ジャッキー・チェンやビル・クリントン、タイガー・ウッズ、エリザベス・テイラー、マイケル・ジャクソン、はてはアル・カポネの名前が出てきました。
日射しが少しあり、ウインド・サーフィンなどもやっていましたが、風も強く一寸肌寒いクルーズでした。
湾内クルーズ1.JPG湾内クルーズ2.JPG湾内クルーズ3.JPG湾内クルーズ4.JPG湾内クルーズ5.JPG

午前中は総会がありました。Fillmore Theaterという別の建物で大きな会場でした。普通総会などというと、年次会計報告、事業報告などがあって、表彰なども淡々と進むイメージがありますが表彰者にはスタンディングオベーションです。会長もペットボトルの水を飲みながら大きな身振り手振りで壇上を歩きまわり、世界をリードするアメリカの皮膚科のミッション、将来の夢を熱く語っていました。
最初の講演はEBM(evidence based medicine)の話でした。Tame the Dragonと題してEBMを本来の姿に見直そうというものでした。最近は日本でもEBMばやりで、治療方針はEBMに基づかないものはダメです。確かに標準治療は大切で一定のレベルを保つのに必要ですが、そのEBMがドラゴンのように巨大になり一人歩きをしているというのです。人間の作ったものですから結構バイアスがかかっているものもあるようです。ドラゴンを手懐けて本来の姿に持っていく必要があるという警鐘はEBM先進国の米国だけに説得力がありました。
続くメラノーマの講演は中国系のアメリカ人でメラノーマの遺伝子の変異の話を車のエンジンの配線に例えて、そのどこが異常かを見ていけば全貌の解明に近づくような話をしていました。遺伝子のブレーキもアクセルも基本は車の設計図と同じだとの話のようでした。実にシャープな話をする人でした。実際にそれらのポイントを押さえた遺伝子の治療も始まっているようでした。ただ、車の部品が壊れて動かなくなった例え話を自分の買ったトヨタの話で説明していたのはやや複雑な思いでした。
次の講演もメラノーマの初期病変を見つけていかに死亡率をさげていくかの講演でした。メラノーマがこれ程注目されるのはそれが一番多くの人を殺す皮膚疾患だからだといっていましたが、特に欧米人にとっては大問題なのでしょう。
その後Uitto教授の講演がありました。表皮水疱症の大家で、日本からも幾人かの先生が学びに行っていて多くの業績をあげています。日本でも有名な教授です。直にその講演に接する事ができ、それだけでも来た甲斐があったかな、と思いました。
これらも講演が終わるとスタンディングオベーションです。まるで皮膚科の大リーグのようだなと感嘆しました。