月別アーカイブ: 2013年6月

中原寺メール6/25

【住職閑話】~富士山
 このたび、富士山が正式に世界文化遺産に登録されてよかったですね。
それに美保松原も含まれることになったとのことで、関係者はことのほか喜びが大きいようです。そして名称は、文化遺産としての性格がよりわかるよう、「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」となったと聞きます。
 多くの日本人は何処にいてもそこから富士山が見えると、「あ、富士山だ!」と目をやりますし、指を指します。何度見ても特別のようです。
 「美人は三日で飽きる‥」とことわざにありますが、富士山の美しさは見飽きることがありません。その美しさは人間が作ったものでなく大自然が生み出した「美」であるから、人間の手垢のつけようのない「霊峰」とか「神秘」としかいいようのない山の心(魂)みたいなものを感じるからなのでしょう。
 日本には古来から山岳信仰といって高く険しい山に対して畏怖するという感情があり厳しい自然環境に圧倒され、人間を超えた何か(神や霊魂)が山に宿るという意識が生まれました。噴火をしたり、土石流や森林火災を発したりする自然界の驚異がそこに生活する人々に絶えず不安とおそれを与えてまいりました。
 そうした感情は恐怖からくる畏敬(おそれ敬う)の念いとなって山岳信仰を生み出したのです。
 近頃、三浦雄一郎さんが最高齢でエベレスト登頂に成功しましたが、きっと自らの願いを達成するには心の中でのさまざまな葛藤があったと思います。
 人間はもともと自然を征服するなどありえません。富士山も長い間の地殻変動を経ているからこそ、今誰からも美しいと思われる姿を私たちに見せてくれているのです。
 「ふるさとは遠きにありて思うもの‥」(啄木)の句ではありませんが、美しいものは遠くから眺めてこそ真に美しいと考えます。
 富士山の頂上に登ったことがない私の思いです。

蕁麻疹(6)治療

いままで述べてきましたように、蕁麻疹の治療はその経過や病型、さらに重症度に応じて対応、処置、薬剤が異なってきます。また長期化した慢性蕁麻疹の場合は、その予後に関する説明も必要になってきます。

まず、大きく原因を特定できる蕁麻疹と、原因の特定できない蕁麻疹について述べます。

【原因を特定できる蕁麻疹】

皆が知りたがるアレルギー性の蕁麻疹は、抗原特異的IgE検査(IgE RAST)や皮膚試験(プリックテスト、スクラッチテスト)などで原因検索を行います。スクラッチテスト、使用テストになるとアナフィラキシーの危険性もあるために、専門施設で点滴などの安全を確保して行う必要性があります。

また、やみくもに盲滅法に行うのではなく、問診などで見当をつけてから行います。また多くの食品に含まれる非アレルギー性の仮性アレルゲン―――鶏肉、サバ、マグロの古いもの、鶏肉、タケノコ、餅、香辛料、防腐剤―――、アスピリン蕁麻疹などの可能性も考慮の上検査を進める必要があります。

物理的蕁麻疹では擦過試験(ペンなどの鈍な先端で擦るとその部分にミミズバレ様の蕁麻疹ができること)を行います。

コリン性蕁麻疹では発汗試験、日光蕁麻疹では人工光線や太陽光などによる誘発試験を行います。

これらの試験によって、誘発因子が特定できた場合はそれを除去したり、回避することが治療の基本になります。また抗ヒスタミン剤の治療を行います。

なお、これらの蕁麻疹のうちで、血圧低下や呼吸困難などのアナフィラキシーを起こす緊急性の高いものはアドレナリン0.2~0.5mg筋注、必要に応じて5分ごとに追加投与、などを主体とした救急治療となり、一般の蕁麻疹治療とは別になります。

2相性の反応を呈することがありますので、急性期の症状が回復した後でも6時間は医療機関で経過をみるのが良いとされます。

ただ、最近問題になっている食物アレルギーの事故は日常生活の場で突然起こり得ます。

近年はアナフィラキシーの既往のある人にはアドレナリン自己注射キット(エピペン)が処方出来るようになりました。また学校、保育施設などでは教師、養護教諭などがそれを代理使用することができるようになりました。

成人用キット0.3mg、小児用キット0.15mgを服の上からでも大腿部の外45度の位置に皮膚に垂直に押し当てて自動的に注射液が注入できるキットです。インターネット動画サイトで模範手技が見ることができますのでいざという時のためにご覧になられると良いと思います。

エピペン注射は発作後、できるだけ早く行うことが重要ですが、まだ日本では現場での活用が遅れる傾向があるようです。

食物アルルギーに対して、近年は減感作療法が試みられ効果も上がっているようですが、確立された療法ではなく危険性も伴いますので、専門医療機関に相談の上、対処されることが必要かと思います。蜂アレルギーやスギ花粉症では確立された方法といえます。

食物アレルギーの場合、食べないことが基本ですが、症状は抗原量に依存するとされていますので、例えば小麦が原因でも含有量の少ないクッキーならば大丈夫な場合もあります。

食べ物では交叉過敏性がありますので、小麦が原因ならばライ麦にも反応することがありますし、エビが原因であればカニや貝類にも反応することがあります。

食物アレルギーではアスピリン内服や運動によって腸管上皮の透過性が亢進して、未消化蛋白質の吸収を促進させ症状が顕在化、悪化することがあるので注意が必要です。

 

【原因を特定できない蕁麻疹】

《急性蕁麻疹》

原因を特定できないことも多いのですが、原因となる直近の食物・薬剤摂取がないかどうか確認します。また特に小児では上気道感染症(ウイルス性、細菌性)に伴って発症することが多いですのでそれらの誘発因子の有無を確認します。それらの原因が疑われれば、その除去に努めながら、抗ヒスタミン剤内服治療を行います。食べ物・薬などでも1日以内のもの、特に数時間前のものが対象になります。

発症後1か月以内のものを急性蕁麻疹と呼びますが、原因は確定されなくても適切な抗ヒスタミン剤などの治療でほとんどのものが治癒します。

抗ヒスタミン剤には眠気の強い第1世代のものと眠気の少ない第2世代の抗ヒスタミン剤(日本では抗アレルギー剤とも呼ばれます)がありますが、第2世代のものがファーストチョイスになります。

通常量で治らない場合は他剤を追加したり、補助薬を使ったりする方法もありますが、増量してみることが有効だということです。ただし、眠気などの副作用には注意を払う必要があります。

それでも効かない場合は短期間のステロイド剤の内服が効果的なことが多いですが、感染性の原因が疑われる場合はなるべく避けたほうがよさそうです。

《慢性蕁麻疹》

大部分の慢性蕁麻疹が誘発原因の特定できない特発性の蕁麻疹です。この場合には抗ヒスタミン剤の薬物治療が基本になります。効果不十分の場合は増量あるいは他の抗ヒスタミン剤に変更、ないし追加します。

それでも、効果がない、あるいは不十分な場合は以下の手順でステップアップしていきます。

1)抗ヒスタミン剤

2)補助的治療薬

3)ステロイド内服

4)試行的治療・・・シクロスポリン

 

個別にみていきます。

1)抗ヒスタミン剤

中枢組織移行性の少なく鎮静性の少ない第2世代の抗ヒスタミン剤を第1選択に使います。

構造式は大きく三環系の薬剤と、ピペリジン系・ピペラジン系の二通りに分けられます。効果がなくて変更する場合は他の構造式のものを選んだほうが良いともいわれますが個人差が大きいです。

第2世代間でもオロパタジン(アレロック)のような「効果重視型」とフェキソフェナジン(アレグラ)のような「眠気軽減型」の2種類に大別されます。

患者さんの症状を勘案しながら日常診療では使い分けています。

欧米などでは、効果が不十分な場合は抗ヒスタミン剤を4倍まで増量するというガイドラインがあるそうですが、日本では2倍までの増量は試みられているようです。

2)補助的治療

医師の経験と好みによるところが多いようです。

H2ブロッカー・・・胃潰瘍などに用いられる薬剤が時として有効です。

抗ロイコトリエン薬

ジアフェニルスルホン(DDS)・・・難治例に限り使用

グリチルリチン製剤

ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液の注射

トラネキサム酸

漢方薬

抗不安薬

これらは有効性のエビデンスは少ないですが、効果的な場合もあり、併用は主治医の好みもあるようです。先の講演会当日も座長の高森先生の質問に対して、各先生方は様々な薬剤を使っておられました。シングレア、キプロス、オノン、ノイロトロピン、タチオン、アポプロン、ハイチオールなどなど。それぞれに使いなれた良いという薬剤は多々あれどこれが一番というものはないような印象でした。

3)ステロイド内服

上記でも改善しない場合はプレドニン換算で15mg/日までなら使用されます。ただ長期内服を漫然と続けるのは好ましくありません。特に小児ではセレスタミンなどの低用量のステロイドでも副腎機能抑制が起きますので原則使用は好ましくありません。

4)シクロスポリン

上記の薬剤でも抑えられない時、副作用などで使用できない時は免疫抑制剤のシクロスポリンが使われます。特にIgE自己抗体などの見られる特発性の蕁麻疹には有効とのことです。ただし、この薬剤も乾癬、アトピー性皮膚炎にも用いられますが腎障害、高血圧などの副作用のために1年以上の長期使用は注意が必要となります。

講演会の後、秀先生に直接伺った話では低用量のシクロスポリンでコントロールされている患者さんは結構ありますよ、ということでした。

結構効くのだ、という印象と共に、専門医でもここまで使わないとコントロールできない重症蕁麻疹もあるのだ、という思いもありました。なかなか開業レベルではここまでは使えません。

 

近年、外国では抗IgEモノクローナル抗体のオマリズマブが血清IgE濃度に関係なく有効との報告も出てきていますので、将来は特に自己IgE抗体を有する患者さんには良い治療手段になってくることが期待されます。

 

抗ヒスタミン剤の内服は単に症状を抑えるだけの薬剤と思われがちですが、継続的な内服治療を行うことで、蕁麻疹の病勢を沈静化する意義があることが解ってきています。

―――インバース・アゴニスト作用といって、抗ヒスタミン剤がマスト細胞上の不活性型受容体と結合し、平衡を逆方向の不活性型受容体優位へとシフトさせ、その結果不活性型受容体が多くなり、全体としてシグナルが抑制される―――

難しい理論でよく解りませんが、「抗ヒスタミン剤は単に抑えるだけの薬でしょう、」

という疑問に対するそうではないという回答になると思います。

 

参考文献

皮膚科臨床アセット 16 蕁麻疹・血管性浮腫 パーフェクトマスター

総編集◎古江増隆  専門編集◎秀 道広 中山書店 2011

ブログのリニューアル

1週間前に突然、そが皮膚科のブログに異常が起こりました。

Trackback spamが大量に入り、それとの関係はわからないそうですが、サーバーのプログラムが壊れてしまったそうです。

自分でどうすることもできず、ホームページ立ち上げと、ブログの立ち上げをやっていただいた、伊波さんに泣きつきました。

詳細はわかりませんが、彼は記事のバックアップをとり、一つずつ手作業で新しいサーバーに移し替えてくれました。

Word Pressというものだそうで、機能も充実して、spam排除機能も向上しているとのことです。

インターネットは便利ですが素人には一寸恐いところもあります。

閲覧された皆様には不自由と不快感を与えてしまったことをお詫びします。

今日、新たに設定し直してもらったばかりなので、スムーズな稼働にはしばらく時間がかかると思いますが、リニューアルしたブログをまた書き足していきたいと思います。

またよろしくお願いします。

 

なお閲覧者からのコメント欄が新たに設けられていますが、個別に返答することは考えていませんのでご返事は致しません。ご了承下さい。(要らないと言ったのですが、削除できないそうです。)

蕁麻疹(5)血管性浮腫

蕁麻疹と同様に血管透過性の亢進によって皮膚や粘膜が一過性に腫れることがあります。多くの場合は眼や口や喉など顔面が多いのですが、体のどこにでもできます。
ただ、蕁麻疹は赤みや痒みが強く、普通は数時間で消えますが、血管性浮腫は蕁麻疹を伴うことも、伴わないこともあり、赤みや痒みは概して少なく、むくみ(浮腫)だけの場合が多いとされます。
表面は淡紅色を呈することもあり、普通のむくみと違って、指で圧してもへこみ(指圧痕)が残りません。
また、持続時間が1~3日位と長いのも特徴です。
血管性浮腫で注意すべきは喉頭浮腫などが起こると窒息する恐れがあるなど、非常に危険で緊急を要する場合があることです。めったにない疾患ですが顔などのむくみがでて、息苦しいような場合はほっておかないで直ちに救急病院、大病院などにいくことです。
 分類方法はいろいろありますが、実地医療現場での大まかな分類は蕁麻疹を伴うか、伴わないかにあります。
痒みのある蕁麻疹を伴う場合は、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーを初めとする食物アレルギーや薬物アレルギーの場合と、アスピリンなどの解熱消炎鎮痛剤などの非アレルギー性の血管性の浮腫が多いそうです。
蕁麻疹を合併しない血管浮腫では遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE)やアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬などの高血圧治療薬をはじめとする薬剤性の場合があります。このタイプでは皮膚以外の喉、消化管などを侵し、喉頭浮腫などの危険性も高いそうです。
家族、近縁者に同様な症状を経験した人がいる場合やACE阻害薬などの高血圧治療薬を飲んでいて、顔がむくみ、喉がつまりそうな場合は即救急車ということです。
 ただ、実際は原因不明の特発性の血管性浮腫であるQuincke浮腫が最も多いそうです。
一応の分類をあげておきます。(原因による)
《遺伝性》
遺伝性血管性浮腫  Ⅰ型 (C1-INH欠損)
          Ⅱ型 (C1-INH機能低下)
          Ⅲ型(凝固第Ⅻ因子の遺伝子異常など)
振動性
《後天性》
特発性
薬剤誘発性 アレルギー性:ペニシリン、サルファ剤
      非アレルギー性:アスピリンなどのNSAIDS、ACE阻害薬
アレルギー 食物、ラテックス、昆虫など
物理的刺激 温熱、寒冷、ストレス、運動など
後天性C1-INH欠損症  Ⅰ型(B細胞リンパ腫などに合併)
                Ⅱ型(抗C1-INH抗体)
好酸球性血管性浮腫   本邦では若い女性に好発、一過性
その他         壊死性血管炎、血清病様症候群

大きく、蕁麻疹と同様にマスト細胞を介した機序によるものと、ACE阻害薬や補体系の異常によって過剰生成されたブラジキニンによるものがあります。
遺伝性に補体第1成分エステラーゼ阻害因子(C1-esterase inhibitor:C1-INH) が欠損、機能低下することによってブラジキニンが過剰産生され、血管透過性が高まる人が稀にあるそうです。

治療は病型と、喉頭浮腫など重篤さの程度によって大きく異なってきますので、症状が軽度でなければ、専門病院で検査、診断の上治療をしてもらう必要があります。
例えば、遺伝性の血管性浮腫(HAE)の急性発作時では、C1-INH製剤のベリナートPの点滴のみが唯一効果のある薬剤だそうです。
軽度の場合は、抗ヒスタミン剤やトラネキサム酸(トランサミン)などが奏功するそうです。

酒さの外用グッズ

酒皶に使われる外用剤は保険適応のないものが多いのですが、残念ながら保険適応のあるもので効果のある外用剤があまりないという現状があります。 むしろ全くないといっても過言ではないかもしれません。アトピー性皮膚炎に用いられるプロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)が酒皶の紅斑に有効との報告もありますが、逆に酒皶様皮膚炎を誘導する危険性もありますので、極力少量、短期間に留める必要があります。イオウカンフルローションも効果があるとのことですが、刺激が強く乾燥し使えないことも多いようです。 欧米諸外国ではメトロニダゾール、アゼライン酸が標準治療ですが、本邦では前者は自家製剤あるいは個人輸入、後者は医家用化粧品を使用するしかありません。  当院で取り扱っている(いた)ものを写真に載せてみました。 ベンザダームゲル、メトロニダゾール(ROZEX),アゼライン酸、アウリダーム、NOVベースコントロールカラーなどです。  個人的な印象ではそれぞれの外用剤で好み、相性があるようです。痒み、刺激のために合わない、という患者さんも多いですがそれなりに良いという患者さんもあります。 5%のベンザダームは日本人の肌には刺激が強い印象ですが、ニキビの紅色丘疹や膿疱にポイントで使い良いケースもあります。2.5%過酸化ベンゾイル配合製剤はグラファラボラトリーズ(株)から発売されていましたが、厚労省の治験の開始を受けて、製造を中止したようです。ただし、現在の在庫についての販売は制限しなくても良いようです。5%よりマイルドで使いいいかもしれません。 メトロニダゾールは0.75%gelがインターネットなどで輸入できますが、個人の責任の上で使用するしかないようです。ただ、刺激が少なく良いとする方もあるようです。 アゼライン酸配合クリームはクリニック限定化粧品としてロート製薬から供給されています。やや刺激があり、やはり痒くて合わない方もあるようです。 アウリダームはビタミンK製剤ですが、レーザー治療後の皮下出血、紅斑、毛細血管拡張に有効とのことです。赤ら顔の患者さんに使用した印象では良い人もありますが、刺激、痒みのある人もあります。 化粧品メーカーから、赤み、くすみを隠してサンスクリーン効果のある化粧品が発売されていますが、NOVのベースコントロールカラーも黄色タイプでは赤みを隠し、日焼け止め効果があり良いという人もあります。ただ、やはり刺激、痒みを訴える方もあります。 0.025%トレチノイン酸は置いてはあるのですが、刺激が怖くて酒さの患者さんにはまだトライしていません。 それぞれの患者さんにトライしてみるしかないのですが、当院では少量使っていただいて、良かったら本格的に使っていただくようにしています。5%ベンザダームゲル.jpg0.75%メトロニダゾール.jpgアゼライン酸配合クリーム.jpgアウリダーム.jpgベースコントロールカラー.jpg

蕁麻疹(4)病型別特徴

蕁麻疹の分類についてまとめましたので全体像はつかめたかと思います。
それで、今回はそれぞれ細かく分類された病型の臨床的な特徴について、調べてみたいと思います。

*特発性蕁麻疹・・・特別な誘因がなく、毎日のように出没して、特に夕方から夜間にかけて悪化することが多いです。蕁麻疹の形状は円形、楕円形、地図状など多彩なことが特徴といえば特徴です。
急性蕁麻疹では風邪などの感染症症状が(特に小児で)、慢性蕁麻疹では疲労・ストレスが関連することが多いようです。
また成人女性では月経との関連を訴えるケースもあります。
膠原病との関連では全身性エリテマトーデス(SLE)との関連が多く、SLEの7%に蕁麻疹様症状が合併するといわれています。特に蕁麻疹様血管炎はSLEの初期症状となることがあります。
また内臓悪性腫瘍、胃潰瘍でのピロリ菌感染も関連があるとされますが、どのような機序で結びついているのかは明確ではありません。
慢性蕁麻疹ではまた、B型肝炎、C型肝炎との関連もあるとされ、甲状腺疾患を合併するケースもあります。特に女性の場合は甲状腺機能をチェックしておくこと良いかもしれません。
慢性蕁麻疹の30~60%で抗IgE抗体、抗FcεRI抗体などの自己抗体が認められますが、時々蕁麻疹がでる理由がよく説明できず、自己抗体が直接の原因かどうかは未だ不明です。
また、近年特発性の蕁麻疹ではDダイマーやFDPなどの凝固因子の血中濃度に異常が見出されています。凝固反応の過程で形成される凝固因子が蕁麻疹の誘発の原因になっている可能性もあり、抗凝固剤が抗ヒスタミン剤の効かない蕁麻疹に有効だったという報告もあるそうです。
 ただ、これらさまざまな検査異常や、関連の因子は直接の原因というよりも蕁麻疹を誘発する背景因子として捉えたほうが良さそうです。
また、このタイプではステロイド剤の全身投与が効果があることも特徴です。ただし、治療の原則は抗ヒスタミン剤ですので安易なステロイド剤の内服などはお勧めできません。

*刺激誘発型の蕁麻疹
特定の刺激ないし負荷をかけることによって蕁麻疹が誘発できるタイプのものです。
1) アレルギー性の蕁麻疹・・・食物、薬品、植物(天然ゴム、ラテックスを含む)などの摂取、曝されることによって生じます。特異的IgEを介したⅠ型(即時型)アレルギー反応でもっとも典型的な蕁麻疹のアレルギー反応といえます。このタイプではアナフィラキシー反応といってショックなどの生命に危険な状態も起こす可能性もあり得ることを知っておくことが必要です。
最も典型的な即時型アレルギーですが、ヨーロッパアレルギー臨床免疫学会のガイドラインではこれは蕁麻疹の分類には入っていないそうです。その理由は「症候の一つとして蕁麻疹が生じる医学的状態、例えばプリックテストや、日常的には症状が出ない急性のアナフィラキシーは蕁麻疹とは区別する」からだそうです。
食物を摂取して口腔粘膜の痒み、浮腫などを主症状として発症するⅠ型アレルギーを口腔粘膜症候群と呼びます。大きく3群に分けられています。、
1. 食物による消化管感作(クラス1食物アレルギー)・・・乳幼児などに多いタイプで学童期には耐性を獲得するケースが多いですが、ナッツ類ではアナフィラキシーに発展するケースが多いとされます。
2. 環境抗原との交叉反応(クラス2食物アレルギー)・・・花粉―食物アレルギー症候群、ラテックス―フルーツ症候群があります。特に後者はアナフィラキシーを発症し易いといわれていますので注意が必要です。天然ゴム製品を頻繁に使用する職業の人(医療従事者、美容師、ゴム製造業、患者など)に多いといいます。
3. 食物による経皮・経粘膜感作・・・調理師、主婦、美容・趣味などで頻繁に食品に触る機会のある人、特にアトピー性皮膚炎などで皮膚バリアのある人にリスクが高いとされます。チコリ、レタス、小麦、魚など。

2)食物依存性運動誘発アナフィラキシー・・・食物摂取だけではなく、それに加えて運動すること、あるいはアスピリンなどのNSAIDs(消炎鎮痛剤)を内服することで症状を誘発するものです。食品蛋白質は腸管から吸収されますが、運動や薬剤によって腸管上皮の吸収が亢進され、アレルギー反応を誘発します。
小麦によるものが有名です。(ω-5グリアジン、高分子量グルテニンが主要抗原)また魚介類、特にエビによるものも有名です。

3)非アレルギー性の蕁麻疹・・・食物で生じる蕁麻疹でも非アレルギー性のものがあります。食品中に含まれるヒスタミンやヒスタミンン類似物質を含むもの、不耐症(イントレランス)によるものがあります。サバやマグロなどはヒスチジンを多く含み長時間放置すると酵素によってヒスタミンを生じます。これによって非アレルギー性の食中毒様の蕁麻疹を生じることがあります。これを仮性アレルゲンと呼びます。非アレルギー性なので通常のアレルギー検査では検出できません。
豚肉やタケノコもヒスタミンを含みます。なるべく新鮮なものを食することが大切です。

4)不耐症(イントレランス)
アスピリン不耐症・・・アレルギー機序ではない薬理作用によって蕁麻疹や喘息を生じることがあります。食品中の防腐剤、保存料、着色料などとの交叉過敏性があります。
タートラジン(黄色4号)、黄色5号、赤色2号、赤色102号など
亜硝酸過敏症・・・酸化防止剤として食品に広く含まれます。保存剤、漂白剤としても使われています。
グルタミン酸ナトリウムも仮性アレルゲンとして蕁麻疹を生じさせることがあります。
造影剤によるものもこのタイプに含まれます。

5)コリン性蕁麻疹・・・粟粒大から小豆大の癒合傾向のない小さな蕁麻疹ができ、周りを紅斑に囲まれることもあります。痒みよりもピリピリした痛みを感じることも特徴です。体温が上昇するようなこと、運動、入浴、熱い食物、辛い食物、精神的な緊張で誘発されるのが特徴です。
それで、通常は夏季の暑い時期に症状が悪化します。
原因は明確ではありませんが、ヒスタミン、アセチルコリン、汗アレルギー、血清因子があげられています。

6)物理的蕁麻疹は蕁麻疹全体の約10%を占めますが、物理的な刺激によって蕁麻疹が誘発されることを問診すれば比較的簡単に原因が推定されます。
それぞれに、誘発刺激試験が用意されています。

多くの蕁麻疹は自発的に皮疹が現れて特別なエピソードはないのですが、(むしろストレス、寝不足、お風呂、お酒などの非特異的なことが多いのですが)
、中には特定の刺激に反応して皮疹が誘発できる場合があります。
誘因は上にあげた様に多彩ですが、「蕁麻疹の原因は何ですか?」の解答の一助になればと長々と書きました。
「これがあなたの蕁麻疹のアレルギーの原因です。」という答えを期待していた方にはすっきりしない結果かもしれませんが、逆に意味のない検査をむやみに繰り返すことの不必要なことは少しは分かっていただけたかと思います。
 学術的には意味のある検査でも、日常の生活、対応にはあまり関係のないものもあります。
秀先生の講演の際に紹介されたクリーグランド・クリニックの検査報告は一つの示唆になります。
300数十例の蕁麻疹の患者さんに各種のアレルギーを含めた血液検査、一般検査などを行い、187例の追跡調査ができました。そして、検査によって治療方法、蕁麻疹への対処方法が変わったかどうが調べたところほとんどの例で変わらず無関係だったとのことです。
秀先生は蕁麻疹の出現を「ダイアルロック理論」と銘打って説明されていました。
蕁麻疹の症状は皮膚マスト細胞の急激な脱顆粒で出現します。それには直接因子や背景因子(主として内因性、持続性)などさまざまな因子が関与していますが、その積算が一定の閾値を超えたときに誘発されるというものです。あるいはいくつかのダイアルロックが揃ったときに鍵穴が開く、と言っても良いかもしれません。
 逆にいずれかの因子が除去されて積算量が反応閾値を下回れば症状は消失する、といった理論です。
 これは、蕁麻疹の患者さんが実際に生活していく上で現実的で役に立つ考え方だと思いました。あまり一人の犯人探しに躍起になる愚は避けたいものだと思いました。

参考文献

秀 道広 ほか:蕁麻疹診療ガイドライン.日皮会誌:121(7),1339-1388,2011

皮膚科臨床アセット 16 蕁麻疹・血管性浮腫 パーフェクトマスター
総編集◎古江増隆 専門編集◎秀 道広  中山書店 2013

蕁麻疹(3)–分類

日本皮膚科学会では2005年に「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」を作成しましたが、2011年に国内外の新たな知見を加えて、改訂版とでもいうべき、現時点での最新版のガイドラインが作成されました。
それに基づいて分類、病型などについてまとめてみます。

前回述べましたように、マスト細胞活性化によって脱顆粒し、ヒスタミンを始めとする化学伝達物質(ケミカルメディエイター)が放出されて蕁麻疹が起きます。
この機序としてⅠ型アレルギーは広く知られていますが、実際に原因として特定の抗原を同定できることは非常に少なく(全体の数%以下)、非アレルギー性の種々の機械的、物理的刺激が複合的に関係し、ある種の過敏性の亢進状態に一過性の誘因が加わって生じることが多いとされます。従って一つのアレルギー抗原に原因を求めようとすると却って隘路にはまり込む危険性があります。このことを前提にして原因・分類を見ていくことが必要かと思います。

このガイドラインでの分類の主眼目は蕁麻疹を何らかの明確な刺激で誘発できるものと、できないものに分けたことだと思います。
Ⅰ. 特発性の蕁麻疹 Ⅱ.刺激誘発型の蕁麻疹
日常診療でもこのことが最も重要になります。
その他にⅢ.血管性浮腫 Ⅳ.蕁麻疹関連疾患 が分けられていますが、これは重要ながらもごく数の限られた病態で、開業医などの実地医療ではめったにお目にかかりません。
それで、日常診療現場ではⅠ.とⅡ.の鑑別を行う作業が必要かと思います。
下にガイドラインの病型分類を列記してみます。

Ⅰ.特発性の蕁麻疹
1. 急性蕁麻疹(1か月以内)
2. 慢性蕁麻疹(1か月以上)
*諸外国では6週間で急性と慢性を分けていますので、日本でも早晩そうなると思います。
 
Ⅱ.刺激誘発型の蕁麻疹
3. アレルギー性の蕁麻疹
4. 食物依存性運動誘発アナフィラキシー
5. 非アレルギー性の蕁麻疹
6. アスピリン蕁麻疹(不耐症による蕁麻疹)
7. 物理的蕁麻疹
(1) 機械性蕁麻疹
(2) 寒冷蕁麻疹
(3) 日光蕁麻疹
(4) 温熱蕁麻疹
(5) 遅延性圧蕁麻疹
(6) 水蕁麻疹
(7) 振動蕁麻疹(振動血管性浮腫)
8. コリン性蕁麻疹
9. 接触蕁麻疹

Ⅲ.血管性浮腫
 10.特発性の血管性浮腫
 11.外来物質起因性の血管性浮腫
 12.C1-INHの低下による血管性浮腫
 
Ⅳ.蕁麻疹関連疾患
 13.蕁麻疹様血管炎
 14.色素性蕁麻疹
 15.Schnitzler症候群
 16.クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)

このように16種類あるいは18種類もの多くに分類されますが、実際の臨床現場で重要なことはアナフィラキシーなど緊急性の有るタイプか否かを見極めることと、問診により大まかな病型、特にⅠ型とⅡ型を見極めることになります。
 ただ、個々の例での発症機序、誘因はかならずしも一つではなく、多岐にわたることも多くクリアカットに分類できないことも多いようです。
本邦の過去の集計でも特発性の蕁麻疹が72.7%(うち急性19.2%、慢性53.5%)、機械性蕁麻疹が7.3%、コリン性蕁麻疹が6.5%、アレルギー性の蕁麻疹がわずかに5.4%という結果だったということです。

蕁麻疹の患者さんが、まず口にされるのが、「アレルギーの検査をして下さい。」という言葉です。それに対する答えは一番最初のブログに書いたように、「むやみに検査するのはお金の無駄ですよ。」という結論になるのですが、いきなりこれだけでは患者さんは納得されないですし、身も蓋もないことになってしまいます。
舌足らずな回答をするよりもきちっとした解答が良いと思いますのでガイドラインでの解説文を引用しておきます。

《蕁麻疹にⅠ型アレルギーの検査は必要ですか。》
《推薦文》:詳細な病歴からⅠ型アレルギーが疑われる場合を除き、すべての蕁麻疹にⅠ型アレルギーの検査を実施する意義は認められない。また検査を行う場合には臨床的に関与が疑われる抗原の種類を絞り、個々の事例に適した検査の方法と内容を選択することが大切である。

毎日のように出没し、特に夕方から夜、明け方にかけて悪化するような特発性の蕁麻疹では、まず外来抗原によって蕁麻疹が引き起こされることはありません。このようなケースでのⅠ型アレルギーの検索の意義は認められません。あてどのないスクリーニング的なアレルギー検査は慎まなければならないとされています。
 ただし、逆に一見特発性蕁麻疹と思われる症例でも、Ⅰ型アレルギーや回避されうる誘因が隠れていることもあり得ます。それを見逃さない詳細な問診も重要です。
 それはすなわち、Ⅱ型の個別の細分類に該当するような誘発因子がないかどうかを問診していく作業になります。
 仮に検査をするにしても、問診により対象をしぼり必要なアレルギー検査を施行することが大切です。
また食物、薬剤で症状が誘発される場合でも、被疑品目そのものではなく、寄生虫や食品添加物、非アレルギー性の機序で起こることもあることがあります。
例えば、魚中のヒスタミン、防腐剤などの仮性アレルゲンがあります。

《急性蕁麻疹に検査は必要ですか。》
《推薦文》典型的な蕁麻疹以外に身体症状がなく、治療への反応性も良ければ検査の必要はない。ただし発熱などの全身症状を伴い細菌やウイルスの感染が疑われる場合は一般的生化学検査を行っても良い。

《慢性蕁麻疹に検査は必要ですか。》
《推薦文》慢性蕁麻疹に対してルーチンに行う検査はない。ただし、非定形的な症例、難治性の症例などで、背景因子、合併症の存在が疑われる場合はそれらに応じた検査を行っても良い。

多くは原因のはっきりしない特発性の蕁麻疹なのですが、その中でも何らかの誘発因子を探し出す手掛かりにこのガイドラインが役立つと思いました。
実際に蕁麻疹でお悩みの方も病型分類によってどこの部分に当てはまるのかを見極めることによって、治療、対応の仕方もより明確になってくるものと思われます。

参考文献

秀 道広 ほか:蕁麻疹診療ガイドライン.日皮会誌:121(7),1339-1388,2011

皮膚科臨床アセット 16 蕁麻疹・血管性浮腫 パーフェクトマスター
総編集◎古江増隆 専門編集◎秀 道広  中山書店 2013

蕁麻疹(2)蕁麻疹とは?

蕁麻疹とは何か、ということについて述べてみます。

蕁麻疹は皮膚に突然蚊に刺されたような赤い膨らみが生じ、多くは痒みを伴いますが中にはちくちくした痛みを伴ったりもします。数時間で跡形もなく消えてしまうのが特徴です。一般的に24時間以内に消えてしまうものを蕁麻疹といいます。
中には蕁麻疹様血管炎や血管性浮腫のように24時間以上続くものもありますが、こういったものは例外的でめったにありません。
 大きさは1-2mmの小さいものから、手のひら大以上の巨大蕁麻疹もあります。
 皮膚の浅いところの血管が拡張し、血管の透過性が高まって血液中の水分(血漿成分)が血管外に染み出るために皮膚はみみず腫れ状態になります。血管性浮腫も同様な機序で起こりますが、これは皮膚の深いところ(真皮下層や皮下脂肪織)で起こるために腫れが主症状で赤みがないこともあります。かゆみは少なくむしろ痛みや灼熱感が主症状になります。
 これらの症状を起こさせるものの主役は皮膚の中にあるマスト(肥満)細胞というものです。特定の抗原(アレルゲン・・・ソバ、卵、カニなどの食物、薬、蜂など)が皮膚から直接、あるいは血流を通してマスト細胞に到達すると、細胞表面で抗原抗体反応を起こし細胞が活性化され、細胞内顆粒に蓄えられていたヒスタミンなどをはじめとしたさまざまな化学伝達物質を放出します(マスト細胞の脱顆粒)。ヒスタミンは神経に働き、痒みを生じさせ、血管を拡張させ、血漿成分を血管外に漏れ出させます。
 この抗原抗体反応はアレルゲンを摂取後すぐに起きるためにⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)反応と呼ばれ、IgEといわれる免疫グロブリンが抗体となりますので血液検査で調べることができます。IgE -RAST(Radio Allergo Sorbent Test) , アレルゲン特異IgE。
これは放射性アレルゲン吸着法といい、元々は微量物質の検出のためにラジオアイソトープ(RI)を用いた微量測定法を行っていたのでこのように呼びますが、現在ではほとんど酵素免疫測定法を使っているために本当はラジオイムノアッセイではありません。しかし慣用的にIgE-RIST(Radio Immuno Sorbent Test)(総IgE、非特異的IgE)、IgE-RASTという名称で呼ばれています。
 これらのアレルギー検査が正に皆さんが言うところの蕁麻疹の「アレルギー検査」に該当するのですが、いろいろと問題もあります。
スクリーニング的に調べたIgE-RASTで陽性になった抗原が必ずしも蕁麻疹の原因になっているとは限りません。例えば健常人でもダニ、ハウスダストなどいくらでも陽性の人はいます。またアトピー性皮膚炎の人などでこれらのスコアが高いと食物抗原など軒並み引きずられるように高値を示してくる人も見受けられます。
 それに調べる抗原が的外れな場合もあります。魚介類の蕁麻疹では魚そのものではなく、アニサキス抗原によるものが多く見られます。また小麦アレルギーでは小麦そのものを検査しても陽性にでません。ω-5グリアジン、グルテニンなどの検査が必要になってくることもありますし、お茶石鹸などによる加水分解小麦アレルギーであればグルパール19Sが抗原になっています。
 最終的には食物負荷試験、除去試験などで確かめるのですが負荷でアナフィラキシーショックなど起こす危険性もありますので専門施設での検査が必要になります。
 また食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病態があり、小麦、エビなどに多いのですが,食べてその後運動をしたりアスピリンを飲んだりすることでのみ症状が誘発できる場合もあります。
これらについては過去のブログに書きました。
*食物アレルギーの臨床症状 2012.8.26
*食物による口腔アレルギー 2012.9.7
*茶のしずく石鹸 2012.10.7
*食物アレルギー・アナフィラキシー 2013.1.24

 それでアレルギー検査もなかなか一筋縄でいかないことも少し理解していただけたかと思います。
 ただし、実はこのタイプの蕁麻疹の占める割合は全蕁麻疹のうちのほんの数%といわれていて、それ程多いものではありませんし、発作のエピソードが比較的明確です。
 ではその他の多くの蕁麻疹はアレルギーではないのでしょうか。少なくともIgE依存性の特定抗原によるⅠ型アレルギー反応ではないそうです。
 Ⅰ型アレルギーでない場合にどのようなしくみでマスト細胞が活性化、脱顆粒するかについての仕組みはまだ十分に解明されていないそうです。

次回はいろいろな病型の蕁麻疹についてその特徴を述べてみたいと思います。

参考文献

秀 道広 ほか、: 蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン.  日皮会誌, 115, 703-715,2005

Allen P. Kaplan  Urticaria and Angioedema  pp330-343
Fitzpatrick`s  Dermatology in General Medicine 7th Edi. Vol. 1
Wolff  Goldsmith  Katz  Gilchrest  Paller  Leffell   McGrawHill  2008

蕁麻疹(1)

浦安皮膚臨床懇話会でじんましんの話がありました。この方面では日本で第1人者といってもよい広島大学の秀教授の講演でした。(当HPでもリンク先に広島大学のHPをあげてありますし、日本皮膚科学会HPの皮膚科Q&Aでも秀先生の解説に行き着きますが)

 じんましんの診断は簡単です。個疹(一つ一つの発疹)は数㎜の小さいものから、手のひら大以上の大きいものもありますが、それぞれはいずれも24時間以内(普通は数時間)で跡形もなく消えてしまいます(一部じんましん様血管炎、血管性浮腫を除く)。ただ、また他の場所に出てこれを繰り返すものです。ですから虫刺され様、みみず腫れ、赤みが出没していても短時間で消えるのであれば、診察時に何もなくても話だけで診断がつきます。ものの10秒もかかりません。
 治療も抗ヒスタミン剤(抗アレルギー剤)の適当なものを適当量使用するだけですから簡単なものです。

 しかしながら、「蕁麻疹」は日常診療で患者さんとの話が噛み合わないというか、納得の得られない疾患の最たるものの一つかもしれません。
「アレルギーの原因はなんですか。血液検査をして下さい。」
「飲んでる時は出ないけど、止めるとまた出る、ちっとも治らない」
「抑えるだけの薬で治す薬ではないんでしょう、いったいいつ治るんですか」
「毎日のように夕方から夜に出やすいような蕁麻疹は特発性の蕁麻疹といい特定の外来抗原によるものではないからスクリーニング的なⅠ型アレルギー検査(IgE RAST, RIST)を調べてもほとんど何もでてきません。だからむやみに血液検査をしても無駄なお金ばかりかかってあまり意味がありませんよ、」というと「折角アレルギーの検査をしてもらえると思ったのに原因の検査もせず薬だけですか、」
などなど・・・
 説明もどうもうまくいかず、納得が得られず、噛み合わず、忙しい診察時間のなかでお互いのイライラだけが募り、中には薬はいりません、と怒って帰る人もあります。
 秀先生の講義の力を得ていくらかでも上記の誤解を解いて問題を解決できるでしょうか。それともやはり説明不足だったり、分かりにくくて空回りに終わるでしょうか。口で言うより書いたほうが好きなタイプですので少し長くなりますが、その日の講演の内容を元に蕁麻疹とはなんぞや、どう付き合えば良いかなどについて書いてみることにしました。
以下次回。

中原寺メール6/1

【住職閑話】~一つの言葉で‥~
 電話による声からメールによる言葉への時代になりました。
だから会話するのが苦手だという人が増えているのだそうです。
ご多分に洩れず私も子どもたちとの会話がうまくなりたたず苦労しています。
特に外で暮らす娘と電話も繋がらない、メールも返事がないという有様では、何をしているのやら半分は「まあ元気にしているのだろう」と思いつつ、半分は「大丈夫だろうか?」と気にはなりつつ、こちらから電話をかけるのもメールを打つのも遠のいています。
 そんなある夜、車の免許更新のことでメールがあり、久しぶりに電話が繋がったら「お父さんもお母さんも健康診断してる?しなければ駄目だよ。二人とも空いた日があったら知らせて!こっちで予約取るからさ。」との声。
相変わらずぶっきらぼうな声だけれど、ぱあっと前途が明るくなりました。
 そして翌日今度はメールで同じ言葉、その上「長生きしてほしいから‥」の文字。泣かせる言葉には思わず夫婦でぐっときてしまいました。
 信じていてよかった!と思いながら次の詩の正確な言葉を調べてみました。
   一つの言葉でけんかして、
   一つの言葉で仲直り。
一つの言葉で頭が下がり、 
一つの言葉で笑い合い、
一つの言葉で泣かされる。
一つの言葉はそれぞれに、一つの心をもっている。
きれいな言葉はきれいな心、優しい言葉は優しい心。
一つの言葉を大切に、一つの言葉を美しく。
           (作者不明)
 ほんとうにいい詩ですねぇ