月別アーカイブ: 2014年3月

皮膚筋炎(1)症状

「皮膚筋炎は、皮膚症状と筋症状に代表される膠原病であるが、その臨床症状には多様性がある。年齢からは小児皮膚筋炎と成人皮膚筋炎、筋症状からは典型的(classic)皮膚筋炎と無筋症型筋炎(clinically amyopathic dermatomyositis: CADM)、合併症からは間質性肺炎を合併するもの、悪性腫瘍を合併するもの、および合併症のないもの、に分類できる。間質性肺炎はさらに急性型(急速進行型)と慢性型がある。したがって、皮膚筋炎と単に診断するだけでなく、どのような病型サブセットに属するのかを見極めることが、経過や予後を予測し、治療方針を決定する上できわめて重要である。」(藤本 学:特別講演より)

「主に近位の骨格筋が対称性に障害されるび漫性の炎症性疾患」でさまざまな全身性の炎症を伴う一群の疾患を特発性炎症性ミオパチーというそうで下記のように分類されているそうです。
第1型:多発性筋炎
第2型:皮膚筋炎
第3型:amyopathic dermatomyositis
第4型:小児皮膚筋炎
第5型:悪性腫瘍に伴う筋炎
第6型:他の膠原病に伴う筋炎
第7型:封入体筋炎

皮膚筋炎についてまとめてみます。

【皮膚症状】
《顔の症状》
紅斑(赤み)が主体になりますが、刺激が加わると(Kobner現象といって刺激部分に本来の病気の皮疹が生じること)落屑性や角化性の症状もみられることがあります。
皮膚筋炎で最も有名な皮膚の症状はヘリオトロープ疹という眼の周囲、特に上眼瞼部にみられる淡い紅斑です。ヘリオトロープというのは淡紫紅色をした花(他にもいろいろな色があるそうですが)のことで、それにちなんで名づけられましたが、日本人ではそれよりもっと濃く褐色調が混じります。特異的ではありますが半数程度にしかみられません。
これは化粧品などのかぶれや、その他の疾患(血管浮腫、肉芽腫など)との区別が紛らわしいこともあります。
頬を中心とした紅斑も特徴的ですが、全身性エリテマトーデス(SLE)や接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、酒さなどとの鑑別が必要です。
頭部、頬部に紅斑落屑性の皮疹がみられ、時に脂漏性皮膚炎と紛らわしい場合もあります。
どちらかというと、出っ張った部分(額、頬、耳など)に出やすい傾向があります。
また、SLEと同様に光線過敏症がみられることがあり、顔面だけではなく、Vネックの部位に紅斑がみられることがありますが、検査ではかならずしも最小紅斑量(MED)の低下は認められないようです。
《手の症状》
Gottron徴候・・・手指関節部の背面にみられる紫紅色の角化性紅斑や丘疹のことで、皮膚筋炎に特徴的な皮疹ですが、全てにみられるわけではありません。肘や膝にも同様の角化性の皮疹がみられることがあり、広義のGottron徴候とよばれることもあります。逆に手指の内側に同様の皮疹がみられることがあり、逆Gottron徴候と呼ばれます。また拇指、示指、中指の物をつかむ部位に一致して硬くなった角化性の皮疹がみられることがあり、mechanic’s hand(機械工の手)とよばれます。これらはいずれも擦れるなどの機械的な刺激(Kobner現象)が誘因になっていると考えられます。
爪囲や指先の変化・・・爪囲には紅斑、毛細血管拡張、爪上皮の延長や出血点(Nail fold bleeding: NFB)も高頻度にみられます。NFBは疾患の活動性に伴うことが多いとされます。
ただし、これらは他の膠原病(SLEや強皮症)などでも認められますが皮膚筋炎ではより高頻度にみられるとのことです。
《その他の皮膚症状》
皮膚筋炎ではその他にも多彩な皮膚の症状がみられることが特徴ともいえます。
紅斑、紫斑、水疱、潰瘍、脂肪織炎、石灰沈着(特に小児例で多い)、網状皮斑、多形皮膚萎縮(ポイキロデルマ)などがみられることがあり、上記の特徴的な皮疹と合わせると診断的な価値があります。
体幹部ではび漫性な浮腫性紅斑をみることがあり、首から肩にかけてはショールサインとよばれます。
また、痒みによって引っ掻くことによって、線状の紅斑、掻把痕がみられ鞭打ち様皮膚炎とよばれます。このような皮疹は椎茸皮膚炎やブレオマイシンの薬疹でもみられます。
皮膚の潰瘍は臀部やGottron 部位にみられ、循環障害や血管炎をベースにしたものと考えられています。
経過が慢性のケースでは色素沈着や脱失、皮膚の萎縮、毛細血管拡張などを伴った紅斑面がみられることがあり、多形皮膚萎縮とよび、皮膚筋炎に特徴的に認められることがあります。
【筋症状】
四肢の近位筋(上腕、大腿部)の筋力低下がみられます。数週間から数か月かかって進行して嚥下障害や呼吸筋障害を伴うこともあります。
筋肉の自発痛や把握痛がみられることもあります。
筋力低下が弱い場合は患者本人もそれを自覚していないことがあり、「髪の手入れや洗濯物を干したりする時、腕が上げづらくないか」、「布団の上げ下ろしが難しくないか」、「トイレなどしゃがんだ状態からの立ち上がりが不自由ではないか」、「物が飲みづらくなったり、むせたりしないか」など具体的に問診することが必要です。
心筋では、シンチグラフィーで約半数に障害を認めるものの、症状のでる例は少ないとのことですが、出現すると致死的で十分注意が必要です。
食道嚥下障害、消化管の緊張、蠕動低下によるdistal dysphagiaも高頻度にみられます。
筋症状と皮膚症状の出現時期に関しては、約60%は同時に出現し、約30%は皮膚症状の方が筋症状より先に出現するそうです。中には明らかな筋症状のでない皮膚筋炎もあり、(clinically amyopathic dermatomyositis : CADM)、無筋炎型皮膚筋炎とよばれています。ただし、皮膚症状の発現から2年以上もたってから筋症状が出現したケースもあるそうです。
【その他の全身症状】
時に発熱があったり、関節痛があったり、レイノー症状があったりしますが、特異的ではありません。

注意を要するのは間質性肺炎です。筋炎症状が少ないのに、息切れ、空咳がでて急速に間質性肺炎が進行する場合があり、時に致死的となります。これはCADM症例、特に日本、中国などアジアからの報告が多く、欧米では少ないために人種差があると考えられています。
急速型の他に慢性の肺線維症の形をとるタイプもあります。間質性肺炎は全体の30~40%にみられます。

【悪性腫瘍】
合併率は20~30%程度とされますが、高齢者になるともっと高頻度となります。
本邦では胃癌が多いですが、肺癌、乳癌、卵巣癌、甲状腺癌などの合併も増加傾向とのことです。
【小児皮膚筋炎】
成人では多発性筋炎が多いですが、小児では皮膚筋炎が多いとされます。小児では皮膚症状が筋症状よりも先行して生じ易いとされます。またSLE様の顔面紅斑をとることが多く、石灰沈着も半数以上にみられます。Gottron徴候は比較的早期に高頻度に認められ、早期診断に重要です。一般的に成人型と比べると、予後は良いですが、なかには腸管などの重篤な血管炎を伴う予後の悪いBanker型というタイプもあるそうです。
小児皮膚筋炎は成人の型とはやや異なった症状を示し、病因も成人型とはやや異なっていると考えられています。

参考文献

皮膚科臨床アセット 7
皮膚科 膠原病診療のすべて
総編集◎古江増隆 専門編集◎佐藤伸一 中山書店 2011
55 皮膚筋炎の概念・疫学・病因・診断基準  室 慶直
56 皮膚筋炎の皮膚症状、皮膚病理組織所見  室 慶直
57 皮膚筋炎の全身症状と必要な検査、悪性腫瘍の合併 沢田泰之

顔ヘリオトロープ紅斑(ヘリオトロープ疹)

 

胸前胸部のVネック状の紅斑、一部ポイキロデルマ様でもあります.

ショールサインショールサイン

症例かつて、教室の皮膚筋炎の例を集計したもの.

高齢者での癌が目立っています.

中原寺メール3/23

【前住職閑話】~受け継がれない淋しさ
 今の時代、受け継がれないものが非常に多くなりました。
その中でも一番淋しく感じるのは宗教心です。
「息子たちはどうなるかわかりません。信仰の強要はできないし、仕方ありません。時代は変わってきていますから…。」
こうした言葉をよく耳にするようになりました。一見次世代に引き継ぐことの困難さに苦労しているようですが、どうも言っている本人に納得いかないものがあります。
 なぜならばそういう本人に確固たる「宗教への姿勢」そのものが感じられないからです。「受け継ぐ」とは、まず子や孫に継いでほしいと思う親本人が信心をしっかりと身に受けているかどうかではないでしょうか。そのことが曖昧であったり自信がなければ受け継がれるはずはありません。
 浄土真宗にあっては理屈で伝えるよりも宗教的態度を大切にしてきました。具体的には三つの日々の行動です。その三つとは、身(からだ)と口(ことば)と意(こころ)です。これらを身・口・意の三業(さんごう)といいます。身には仏さまに手を合わす姿です。そして口にお念仏を称えることです。そしてこころに感謝の念を持つことです。
 これらの行為の中で一番大事にしたいのは、「なんまんだぶつ、なんまんだぶつ」とお念仏を申すことです。時をも言わず処をも嫌わず念仏申す声は、人の耳に必ず届きます。この声は仏さまの声だからどなたの耳にも自然に入り心の底にとどまります。
 もしあなたの中でどこかに引き継いだ宗教への感覚があるとしたらきっとお念仏の声ではなかったでしょうか。
 お念仏が受け継がれないのはお念仏の声が聞かれなくなったからです。

デンバーにて

性懲りもなく、今年もAADに来ました。今年はコロラド、デンバーです。
馬鹿でかいコンベンションセンターを巨大なくまさんが覗いています。アメリカは土地が広く、コロラドはまたさらに安いときているので、面積は空港も含めて使い放題という感じです。街のど真ん中にあって一つのフロアーでほぼ全てのセッションを賄えるほどです。広すぎて歩き回るのも大変ですが。(でも企業展示もあり、地下と1,2階も使っていましたが)。
海外の学会は長く休んで患者さんにも家人にも迷惑がかかるし、持ち出しは多く、収入減ときてあまりいいことはありません。それにわざわざ言うことでもありませんが、英語も内容もよくわからない。それでも、その雰囲気に浸ってみるだけでも、少し分かって賢くなったような気になります。長いこと働いているし、自分への慰労を兼ねたリフレッシュメントと思うことにしました。それならば、休暇だけではなく一寸した実益を兼ねているといえなくもありません。
日曜日はレンタカーを借りて、ロッキーマウンテン見学にいくつもりでした。ところが前日から天候が急変し、なんと雪が降り出しました。慣れない山道でスリップでもして、日本に帰れなくなったら大事です。仕方なくキャンセルしました。でも日曜日から晴れてきました。タクシーの運転手が降ってもすぐ溶ける、日ごとに替わるといったのは本当でした。
それで夕方にAVISのオフィスに予約しにいきました。ところが明日は全てsold outとのことでした。他所はないのかと尋ねてもない、とのことです。あなたは皮膚科医かと訊かれましたが、なるほどアメリカの皮膚科医も学会場よりも外を好む人が多いのかと妙に納得しました。
ホテルに帰ってコンシェルジェのおじさんに明日のツアーはないかと尋ねると、半日コースならあると教えてくれましたが、途中でお礼に5ドル差し出すとさらに熱心にいろいろ教えてくれました。ツアーより往復バスで近くの鉱山町までいくと良い、安いし山も炭鉱も見られ、なんといってもギャンブルができると盛んに勧められました。昼飯代が浮くぞ、というので、いや晩飯代も無くなってしまったら困るといいましたが、発着の場所まで教えてくれてしかも帰りのデンバー空港までのタクシーの手配までしてくれました。
お金はやはり使うときにはつかうものだなと思いました。
それで明日は半日バス旅行の予定です。
デンバーの街はこじんまりとしていて、中心部の16番ストリートモールを無料のシャトルバスが頻繁に巡回して各ブロックごとに停車するのでとても便利です。
くまコンベンションセンターを覗く巨大なくまさん
convention
mallride16th Street Mallのシャトルバスは無料で頻繁に走りとても便利です
hata

膠原病懇話会

先日、千葉小児膠原病懇話会に出席しました。開業してから膠原病などほとんど縁のない状態だったので、まともに膠原病の講演など聴いたことがありませんでした。
その中で筑波大学の藤本学先生の皮膚筋炎の講演がありました。
小生の皮膚筋炎の知識は随分前で止まってしまっています。以前内科研修医だった頃、第2内科で膠原病グループの研修を受けていました。あの頃は全身性エリテマトーデス(SLE)や強皮症(PSS)や皮膚筋炎(DM)の患者さんが多く入院していました。治療は主にステロイド剤の全身投与でしたが、いずれも治療に抵抗する例が多く、副作用を気にしつつ指導医に教わりながら右往左往していました。そのうちの何人かは不幸な転帰をとった苦い思い出があります。
特に皮膚筋炎ははっきりとしたバイオマーカーもなく、内臓悪性腫瘍がみつかったり、突然間質性肺炎を起こして、あっという間に肺が真っ白になったりしました。
皮膚科に転じてからも悪性腫瘍の合併の患者さんなどがあり、とても苦労した思い出がありました。
あの頃はやっとJo-1抗体が出てきた頃でした。
今回の講演を聴いて、皮膚筋炎の特異的な自己抗体が近年多く同定されて、臨床病型と密接に相関し、病変の分類や予後すら予測することができて、あのどうしようもなかった間質性肺炎も早期に対応ができるようになったのを知りました。
正に隔世の感がありました。まるで浦島太郎になったような心持で聴きました。
その内容をまとめてみます。

動脈硬化・重症虚血肢(3)

治療のガイドラインとしては、TASC, TASCIIという日本を含む各国の専門家が集まって作られたコンセンサスドキュメントがあるそうです。
TASC: Trans-Atlantic Inter-Society Consensus Document on Management of Peripheral Arterial Disease
TASCII: Inter-Society Consensus for the Management of Peripheral Arterial Disease (TASCII) JOURNAL OF VASCULAR SURGERY Norgren et al January 2007
大動脈腸骨動脈領域、大腿膝窩動脈領域それぞれにA、B、C、D型病変が血管の閉塞、狭窄の部位、程度、長さなどによって分類されています。それによってバイパス手術を行うか、ステントなどによる血管内治療(インターベンション治療)を行うかなどが詳細に決められているそうです。
(門外漢がまとめても意味がありませんので、詳細は専門書にゆずり、概略のみを記してみます。)
治療の大枠は、薬物治療、血管治療、潰瘍局所の治療、下肢切断に大きく分けられます。
◆薬物治療
1.無症候性PADに対して
ABIが0.9以下の場合・・・抗血小板療法
2.症候性PADに対して
抗血小板療法、出血リスクを考慮の上、アスピリン、クロピドグレル(プラビックス)が推奨されます。
3.跛行患者
動脈の閉塞部位に応じて、腓腹部、大腿部、臀部の痛みや、脚のつった感じが一定距離の歩行時に出現し、休息によって消失します。
トレッドミルなどによる運動療法で徐々に歩行距離を伸ばしていくのが原則だそうです。
TASCIIではシロスタゾール(プレタール)が第一選択薬で、これが使用困難な場合はセロトニン受容体拮抗薬(サルポグレラート(アンプラーグ))、ベラプロスト(ドルナー、プロサイリン)などの抗血小板薬が使われます。
4.重症虚血肢(CLI)
症状が進行して安静時にも痛みがあり、さらに足趾の潰瘍、壊死が起こるとCLIとなります。こうなると薬物療法のみでは半年以内に40%が下肢切断に至り、1年以内に20%が死亡するそうです。
運動療法、薬物療法でも間歇性跛行が改善しない場合は血行再建術が考えられます。
それと同時に、創傷管理(デブリードマン、除圧、ドレッシング)や血管拡張薬、抗血小板薬、プロスタグランジン製剤の注射などを行い救肢に努めます。
(古森公浩:末梢動脈疾患の薬物療法 日医雑誌 第142巻第9号2013年12月)
◆血管治療
1)血管内治療(endovascular therapy: EVT)
血管内カテーテルを用いて血栓溶解を行ったり、バルーン、ステントによって血行再建を行う医療を経皮的末梢動脈インターベンション(percutaneous peripheral intervention: PPI)といいます。
透視下に血管の閉塞、狭窄病変部にガイドワイヤーを通過させてバルーンカテーテルを誘導し、バルーン拡張を繰り返しながら血行改善を図ります。ステントを留置する場合もあります。
治療の適応は血管病変の部位によって大きく異なってきます。解剖学的に下肢動脈は腸骨動脈領域、大腿膝窩動脈領域、膝下動脈領域に分けられます。近位部分の病変の場合はPPIの適応は大きく、第一選択となります。膝下などの遠位部ではEVT成績は悪く、動脈も1~3mmと細いために、大伏在静脈を用いたバイパス手術が第一選択となります。
1. 大動脈腸骨領域におけるEVT
この領域では血行再建術によって虚血から回復する筋群の量が多く、運動療法の効果が得にくいこと、治療成績が良いことなどから積極的に勧められています。しかしながら、運動療法+薬物療法の有効性も高く、まずこれで様子をみることが大切とされています。
近年はステント治療成績が飛躍的に上がってきているそうです。1、ステントの材質が良くなり、ニチノール製になったこと、2、固いステントから柔軟性のあるステントに代わってきたこと、薬剤溶出型ステントが登場したことなどによります。
TASCII分類でA型やB型の15cm以下の病変では、治療成績がよいものの、D型病変、関節部にまたがる病変では治療成績は劣るそうです。
2. 大腿膝窩動脈領域におけるEVT
大動脈腸骨領域に比べると、治療成績は悪く、A型、B型ではEVTを第一選択とし、C型やD型病変では再狭窄率も高いためにバイパス手術など他の方法が考えられます。ただ、膝下動脈領域のEVTは高い再狭窄率にもかかわらず再発傾向が少ないと一見矛盾した結果もあるとのことです。再狭窄までの数か月間のうちに創傷処置やフットケアなどで傷を治療すれば下肢切断も回避できる可能性があるとのことです。この部分は血管外科だけではなく、皮膚科も含めいろいろな科が集学的に治療することが要求される独立した分野ともいえます。
南部伸介 飯田修 :末梢動脈疾患の血管内治療 日医雑誌第142巻9号2013年12月

2)外科的治療
TASCIIではA,B型病変についてはEVTを、リスクの高くないC,D型病変には外科的な血行再建術を推奨しています。
間歇性跛行に対しては運動療法と薬物療法の有効性が明らかで第一選択ですが、CLIに対して救肢の第一選択は血行再建術です。
手術方式はいろいろあるそうですが、よくわかりませんので名前だけあげておきます。
・大動脈―大腿(腸骨)動脈バイパス
・大腿―膝窩動脈(膝上)バイパス
・大腿―下腿動脈バイパス
・大腿―大腿動脈交叉バイパス
・腋窩―大腿動脈バイパス
・血栓内膜摘除術・・・EVTが禁忌である総大腿動脈領域
バイパスの代用血管としては膝上までの病変には人工血管が使用され、下腿病変に対しては自家静脈が必須で大伏在静脈が利用できるかどうかが、成否の鍵を握っています。人工血管にはポリエチレン系のePTFE(expanded polytetrafluoroethylene)やポリエステル系のknitted Dacronなどが使用されています。
近年の医療素材、技術の向上に伴ってステントの適用範囲も拡大し、EVTの治療成績も向上しているそうですが、外科手術治療の遠隔成績はどの領域においてもEVTを凌駕しているのが現状だそうです。
(小櫃由樹生:末梢動脈疾患の外科治療 日医雑誌 第142巻第9号2013年12月)
最近は血管内治療とバイパス手術を同時に行うハイブリッド手術も行われているそうです。
◆下肢切断(外科的手術法の限界)
バイパス術は救肢の最後の手段ともいえますが、下記のような場合は下腿、または大腿切断となります。
1) 足部の潰瘍や壊疽が足根骨に及んでいて、しかも感染が著しく踵骨や距骨が残せない場合
2) 以前から寝たきりの場合
3) 高度の認知症の場合
井上芳徳 末梢動脈疾患に対する外科的治療とその適応、限界
Visual Dermatology Vol.9 No.9 2010
◆血管新生療法
CLIで病変がび慢性に末梢まで拡大していて、足趾の潰瘍、壊死が進行した例では上記のEVTやバイパス手術が行えずに肢切断に至ることが多いです。そういった例でも近年は細胞移植や遺伝子治療によって側副血行路を改善する血管再生療法が行われるようになってきました。(ただし、まだ保険適用はなされず)
1)末梢血単核球細胞移植療法(peripheral blood mononuclear cell transplant: PBMNCT)
近年末梢血中に骨髄由来の血管内皮前駆細胞(endothelial progenitor cell: EPC)が存在し、それが、虚血部で血管内皮に分化することが分かってきました。
患者血液からEPCを抽出して、大腿や下腿の虚血部分に注射で戻してやる方法だそうです。
簡略に書くと、
まず前処置としてG-CSFという顆粒球コロニー刺激因子を術前4日前に皮下注射しEPCが集まり、増え易くしておく。
約3時間かけて大腿静脈から静脈血10lを血液成分分離装置で分離し、EPCリッチの20mlの単核球浮遊液を抽出する。
静脈麻酔下で虚血のある大腿や下腿部分に27Gの細い注射針で40箇所に筋肉内注射を行う。
といったものです。
術直後から足が温かい感じ、皮膚温の上昇などがみられるといいます。
2~4週後には側副血行路の改善が見られるといいます。
ただし、悪性腫瘍のある例、糖尿病網膜症、心・脳血管障害の人では却って症状を悪化させうるので禁忌となっているそうです。
2)遺伝子治療
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、線維芽細胞増殖因子(bFGF)、肝細胞増殖因子(HGF)などを産生する遺伝子を虚血部位に投与することで局所に蛋白を発現させ、血管新生をうながす、といった先進医療も試みられています。
◆その他の治療
腰部交感神経ブロック、人工炭酸泉足浴法、高気圧酸素療法なども有効とされています。
◆局所処置
感染コントロール、デブリードマンなどを行いながら種々の外用剤、ドレッシング材などで潰瘍、壊死の治療を行いますが、項を改めて後日書いてみたいと思います。

TASC

座談会:増え続ける脈管疾患とどう向き合うか 磯部光章・重松 宏・松尾 汎・中村正人

日医雑誌第142巻・第9号2013年12月 より転載

動脈硬化・重症虚血肢(2)

脈管疾患では、心疾患と脳血管障害は比較的に一般にも認知されていますが、それに対応して末梢動脈疾患(peripheral arterial disease: PAD)はあまり一般には知れわたってはいません。本来はPADという言葉は慢性動脈閉塞症、急性動脈閉塞症、動脈瘤、血管炎、感染症なども含んだ概念とのことですが、普通は閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans: ASO)の同義語として使われるとのことです。
高齢者が増え、生活パターンが欧米化したことが増加の背景にあるようです。糖尿病、高血圧、脂質異常、腎臓病などもそれに伴って増えてきました。
【PADの症状】
末梢動脈とは、心血管、脳血管を除くすべての血管を指しますが、一般的には四肢の動脈を示しています。PADは大よそASOとバージャー病(Thromboangiitis obliterans: TAO)を含むものとされます。TAOは近年喫煙者の減少、若年者の人口の減少などもあってかなり減少しているとのことです。
これらの症状、重症度分類にはFontaine分類やRutherford分類が用いられています。

Fontaine分類…………………………………Rutherford分類
度………..臨床所見…………………….度・群……臨床所見
I…………無症状…………………………..0・1……無症状
IIa……….軽度の跛行(100m以上)………….I・1……軽度の跛行
IIb……….中等度から重度の跛行…………..I・2……中等度の跛行
…………………..(100m未満)…………….I・3……重度の跛行
III………虚血性安静時疼痛……………….II・4…..虚血性安静時疼痛
IV……….潰瘍・壊疽………………………III・5….小さな組織欠損
………….同上……………………………III・6…大きな組織欠損

これらの分類は主に臨床症状で分類されますが、寝たきり老人など歩かないひとでは跛行の程度は分からない、糖尿病など神経症状もある人や認知症では安静時疼痛が基準にならないなどといった欠点があります。
Rutherford分類ではトレッドミルを使った付加試験やAP(足関節圧)などの客観的な理学的な所見も分類の基準に含んでいます。

重症虚血肢(critical limb ischemia: CLI)という言葉が下肢の血管病変ではよく使われますが、これはFontaine分類ではIII,IV度を指し、Rutherford分類ではII,III度を指し示す状態です。皮膚科で単に足に潰瘍ができた、壊疽になった、あるいは水虫、タコのついでで受診される場合もありますが、すでにこの状態でCLIの最重症という認識を持つことが医師も、患者さんも重要です。
CLI患者さんの生命予後は1年後で25%、CLIで下肢切断にいたった場合は周術期に10%が死亡、2年後には30%が死亡、そして5年生存率は40%を切り、肺癌の生命予後よりも悪いそうです。
ただ、このような患者さんでもなるべく早く専門医の診断を受けて適切な治療方法をとれば生命予後が改善されることがデータ上で示されています。近年この分野の診断方法、治療方法は格段に進歩を遂げていることもあり、一般のCLIに対する認識を高める必要があるといえます。

【潰瘍の特徴・鑑別診断】
下肢の潰瘍にはさまざまな原因がありますが、臨床的に大よその違いがあります。
静脈性の潰瘍と動脈性の潰瘍の特徴は下記の様です。

静脈性潰瘍………………………………………………………動脈性潰瘍
深部静脈血栓症・動静脈奇形…………………………………ASO,TAO,血管炎など
疼痛…………….軽度……………………………………………強度
好発部位……….下腿内側下1/3…………………………….….指尖部、下腿末端部
形状…………….不整型、浅い…………………………….……打ち抜き型、深い
肉芽組織……….良…………………………………………….………不良
周辺……常温から暖かい、色素沈着………………………..….冷たい、チアノーゼ
動脈の拍動…….蝕知……………………………………… ……蝕知不能
合併……………静脈瘤、浮腫……………………………………壊疽

・血管炎・・・多発性で疼痛が強く、紫斑、リベドがあり、壊死を伴った打ち抜き様の深い潰瘍をみることが多いです。各種自己抗体が陽性にでることもあり、仔細に触ると硬いしこりを触れることがあります。その部分を皮膚生検すると血管炎の病理所見を得ることが多いとされます。

・腫瘍、肉芽腫・・・潰瘍の周囲に結節などの盛り上がりがある場合は、ボーエン病、有棘細胞癌、リポイド類壊死症、ムチン沈着症など他の疾患を考える必要があります。

・膠原病、関節リウマチ、糖尿病などに伴う下腿潰瘍もみられますが、それぞれにみられる症状、検査所見から除外していきます。

・感染症・・・痛み、発赤、発熱などがあり、白血球増多、赤沈値亢進、CRP上昇などがあれば、蜂窩織炎、壊死性筋膜炎、ガス壊疽などの重症感染症も考えます。

・その他、外傷、熱傷、化学熱傷、自傷、褥瘡なども鑑別するべき疾患です。

下肢の血管が詰まってくると当然脈が触れにくくなります。足背動脈の蝕知は最初に重要ですが健常人でも約10%は触れにくいそうで、後脛骨動脈、膝窩動脈の蝕知も必要です。
足の変形、筋肉の萎縮がみられることもあり、足の冷感も重要な所見です。

PAD/CLIの診断方法は上記の臨床症状や理学所見の次の段階として、非侵襲的検査や超音波検査を始めとした画像検査などいろいろありますがABI(ankle brachial pressure index)(足関節上腕血圧比)が最も重要だとのことです。日本心・血管病予防会では「TAKE! ABI」、「足の血圧を測りましょう」という活動を行っているそうです。四肢自動血圧測定装置という器械があり、全国で1万台くらい出回っているそうです。

ABI=足関節血圧(mmHg) / 上腕血圧(mmHg)
ABIの正常値は0.9~1.3で0.9未満は下肢動脈の狭窄(閉塞)を1.3以上では動脈壁の石灰化が疑われます。
糖尿病や透析患者さんでは動脈硬化のために足関節血圧が200mmHg以上を示したり、バージャー病などで足関節より末梢の病変がある場合はABIでは重症度が判定できないこともあるそうです。その場合は皮膚組織灌流圧(skin perfusion pressure : SPP)を判断基準とするということです。

SPP
どの程度の圧で皮膚の微小循環が灌流しているかをみる検査法です。
安静、仰臥位で足にレーザーセンサーとカフを装着します。カフ圧を上げていって血流を止めた後、カフ圧を開放しながら皮膚灌流の戻るのを観察していきます。そして、皮膚灌流が急激に増加した時点でのカフ圧をSPPとするというものだそうです。
保存的な治療の目安はSPP 45 mmHg以上で、SPP 30 mmHg以下だと潰瘍の治癒は困難だとのことです。

tcpO2(Transcutaneous Oxygen Tension)経皮的酸素分圧
皮膚に44度に加温した電極を接着させ、反応性に充血をさせた状態での皮膚組織の酸素分圧を測定します。創傷治癒には40mmHg以上が必要とされています。

画像診断では、血管超音波は放射線被爆もなく造影剤による副作用もなく今後画像診断のなかで第一選択となりうる検査です。ただし、検査技師の技量によって精度に大きな差がでうる検査だそうです。各種検査の詳細は専門の解説書を見ていただくことにして、ここでは、項目のみをあげておきます。
*超音波検査
*マルチディテクターコンピュータ断層血管撮影(Multi-Detector Computed Tomography Angiography: MDCTA)
*磁気共鳴血管造影(Magnetic Resonance Angiography: MRA)
*血管造影
*単純X線撮影
*サーモグラフィー

参考文献

Visual Dermatology Vol.9 No.9 2010
下腿潰瘍・足趾壊疽  皮膚科医の関わり方 責任編集 沢田泰之

日本医師会雑誌 第142巻・第9号/平成25(2013)年12月
特集 末梢動脈・静脈・リンパ管の病気update

動脈硬化・重症虚血肢(1)

下肢の脈管系の疾患について書いてきましたが、当初は静脈系のみに絞って、取り上げてきました。しかし、動脈系を述べないのは片手落ちです。頻度はこちらの方が少なくても、重症度はむしろ動脈系のほうが高く、重症虚血肢の行き着く先は下肢切断ともなります。
皮膚科医が治療の主体となるわけではないですが、患者さんの足を最も見て、触っているのは皮膚科医だと思います。従って疾患の初期の段階でみつけて専門医にコンサルト、コーディネイトできるのも皮膚科医かと思います。
生活様式や食生活が欧米化して、高齢化が加速度的に進んでいる現在の日本では脳や心臓の動脈硬化による疾患も急増しているそうですが、下肢の閉塞性動脈硬化もこれと呼応して増加しているそうです。
この分野の医療、治療は近年目覚しい進歩を遂げているとのことで、血管内治療(末梢動脈インターベンション)、自家末梢血幹細胞移植などという耳慣れない言葉もみられます。
下腿の潰瘍の原因はさまざまであり、感染症(壊死性筋膜炎、ガス壊疽)、外傷、熱傷、膠原病、血管炎、悪性腫瘍、糖尿病、リウマチ、代謝異常、先天異常などなどあげたらきりがありません。そこで動脈性の下肢潰瘍、足趾壊疽にしぼって調べてみました。
動脈硬化性の下肢の潰瘍や壊死は重症虚血肢(Critical Limb Ischemia: CLI)を意味します。CLIは下肢のみではなく、全身の動脈硬化が進んでいることの現われでもあります。CLIによる下肢切断に至った場合の生命予後は肺癌患者の生命予後よりも悪いとされています。足先の一寸した傷で片付けられないことの認識はまだ脳、心臓の血管系に比べて薄いように思われます。
以下次回。

掌蹠膿疱症(4)治療

【日常生活での注意】
喫煙が大きく悪化要因となっていることがわかっていますので、喫煙習慣のある人はまず禁煙にむけて努力することが最も大事だと考えられます。

扁桃炎、歯性病巣などの病巣感染アレルギーも悪化要因の大きな要因ですので、日常うがいをしたり、歯磨きに努めたりすることも大切です。

綿の靴下などを使用して刺激を避け、また傷や摩擦などを避けることに留意することが大切です。

また保湿剤などを使い、傷を作らないようにし、深い傷は耐水性のドレッシング剤などを使うようにします。

【病巣感染】
扁桃炎については特に耳鼻科専門医からは扁摘の有効性と安全性が強調されています。中等度以上の症状でなおりにくい人、過去に扁桃炎を繰り返したり、風邪などで悪化する傾向のある人は専門耳鼻科医の診察を受けて扁摘についての可否コンサルトを受けた方が良いでしょう。

歯科金属アレルギーについては、欧米ではそれ程強調されないそうです。しかし本邦ではそれの関与のある人もかなりあります。歯科金属パッチテストも受けた方がよいと思われます。しかしながら金属除去のみで改善するケースはそれ程多くはないともいわれます。同時に歯性病巣の治療も必要でしょうし、コストとの兼ね合いも考えて、歯科金属除去は歯科専門医と相談の上、慎重に進めるべきでしょう。

扁桃炎も、歯性病巣も明らかになり、専門医の治療を受ければPPP,PAOに対する有効率はかなり高率だといわれていますので積極的にこれらの治療を進めるべきでしょう。

【外用療法】
*ステロイド外用剤
やはり、炎症を抑えるのに、一番効く薬剤だと思われます。但し、慢性疾患ですので長期連用すると、特にvery strongクラスの薬剤ですとどうしても皮膚の萎縮などの副作用は出てきますし、薬剤の慣れ現象も生じてきます。休薬、ローテーションなどの方法をとったほうがよいと思われます。
*ビタミンD3外用剤
マキサカルシトール(オキサロール)、タカルシトール(ボンアルファ)などのビタミンD3製剤も効果があります。特に膿疱の抑制効果はあるとされていますので、うまくステロイド剤などと使い分けたり、併用したりされています。ただ、ビタミンD3製剤はカサカサしたり、皮剥けしたりすることがありますので、その際はサリチル酸製剤や角化治療剤などをうまく利用すると良いとされます。
ビタミンD3製剤は好中球の遊走を誘導するIl-6,IL-8などのサイトカインの産生を抑制することによって効果を発揮するとされています。
【内服療法】
外用療法のみでコントロールできない場合は内服療法を行います。
*抗生剤
病巣感染を治療するのに用いられます。
マクロライド系の抗生剤、ミノシクリン等も用いられますが、抗菌作用の他にこれらの薬剤の抗炎症作用が好中球の活性化を抑制したり、好中球ケモカインの産生を抑制したりして、治療効果を発揮するといわれています。
*ビタミンA誘導体
チガソン、アシトレチンなどの薬剤は乾癬にも効果がありますが、角化細胞の分化の過程の異常を調整して効果を発揮します。
*シクロスポリン
免疫抑制剤で、特に膿疱性骨関節炎などに有効との報告があります。一日3mg/kg程度の低用量で有効なようですが、腎機能障害、高血圧などの副作用に注意が必要であり、1-2年以上の長期使用は望ましくないとされます。
*メソトレキセート(MTX)
やはり、乾癬、関節リウマチなどに用いられる薬剤で、葉酸代謝拮抗剤です。この薬剤も間質性肺炎や、肝障害、骨髄障害などに注意をする必要があります。
*非ステロイド系抗炎症剤(NSAIDs)
皮膚の炎症、関節の炎症、痛みをとるのに用いられますが、効果は限定的です。
*その他にもダプソン(DDS)、コルヒチン、ミゾリビン(ブレディニン)なども用いられ効果があるとされています。
*生物学的製剤
乾癬には近年著効することがわかり、特に関節症では有効です。SAPHO症候群に対しても有効であるとの報告もありますが、TNF-α阻害剤によって逆にPPP様の皮疹を生じることもあり(paradoxical adverse reaction)、積極的にこの薬剤を用いるかどうかは今後の検討課題です。
*ビオチン
日本ではビオチンの9mg/day程度の高用量の投与が有効との報告もあるようですが、広く治験検討されたデータはないようです。ミヤBMなどの整腸剤とビタミンCとの併用が有効とのことです。
【光線療法】
PUVA療法、PUVA bath療法、ナローバンドUVB療法、エキシマランプ療法などの光線療法が有効とのことです。特にエキシマランプは単時間で高エネルギー量を照射できますので、かなり効果があるように感じますが、もちろん個人差があり、全てに有効ともいいきれません。

いずれの治療法も特効的とはいいがたく、対症療法になります。
やはり、大切なことは扁桃炎を始めとした病巣感染のチェックと治療と喫煙などの増悪因子の除去、バックグラウンドの疾患をスクリーニングすることかと思います。

但し、この疾患は平均3~7年で軽快するといわれていますので希望をもって根気よく治療を続けていけばいずれ良くなっていくと思われます。

参考文献

掌蹠膿疱症の治療 あの手この手  責任編集 照井 正
Visual Dermatology Vol.11 No.10 2012

中原寺メール3/1

【前住職閑話】~どこかで春が

今日で2月も終わり。

今冬は2度も大雪に見舞われましたが自然界は着実に春を運んでくれています。

♪どこかで春が 生れてる

どこかで水がながれ出す

どこかでひばりが

ないている

どこかで芽の出る

音がする

お寺の境内の蕾いっぱいの梅の木もちらほらと花が咲きだしました。そんな風景を見ると心和んで、なつかしいわらべ歌を口ずさんでしまいます。

私たちの目にする光景は、なんでもそれを作り出している過程は見えないし気にとめません。土の中で根が張っていくすがた、バクテリアや水分や成分が関係しあって土壌を構成し、地上に幹が枝を、やがて蕾が花を咲かせるのです。

わが人生を支えているものはいつも目に見えないものですが、それを感じていく人にはおのずと感謝の念が湧いてきます。

いつも自分中心にしか考えられないのは平面思考の生き方です。常に世間の比較の中で自分の居場所を見つける生き方は、どこまでいっても安らぎを得られません。幸か不幸か、多いか少ないか、損か得か。

仏教は垂直思考の生き方を教えます。私を支えているものは何か、私に喚びかけ、願われているものは何か。自分が思う私ではなく、私の姿を教えてくれる大きな世界に出遇うと生き方が変わります。その大きな世界(仏)が小さな世界を生きる私の殻を砕いてくれます。

仏の慈悲の温もりによって生れ出る光の世界こそ、明るい人生に転じられるたしかな喜びがあります。

春の陽気に浮かれるのではなく、春風に仏の喚び声を聞きましょう。