月別アーカイブ: 2016年9月

メラノーマの薬物療法(1)

先日、といってもしばらく前にメラノーマの免疫チェックポイント阻害薬の話、講習会がありました。
ここのところ、免疫だの、阻害薬だの一般にはなじみの薄い話題ばかり取り上げてきましたが、またしてもこ難しそうな話題で恐縮です。
ただ、ここ最近、オプジーボ(ニボルマブ)のことはメディアにも取り上げられて話題になっています。「メラノーマの新薬だが、その後肺がん(非小細胞肺癌)にも適用された。画期的な薬だがものすごく高価な薬で、肺がんの患者1人につき、1年で3500万円かかる。日本人の適用肺がん患者全体に使えば、1年で2兆円近くかかる。」「ニボルマブ(抗PD-1抗体)の先がけとなったPD-1を発見した本庶祐京都大学教授は本年度のノーベル医学賞候補に挙げられている。」などなどこの薬剤を取り巻く話題はメラノーマそのものの話題よりもホットな様相を示しています。
ここでは、それはさておいて、講習会の内容を元にしたレポートです。講師は信州大学の宇原久先生でした。

メラノーマの治療については、数年前に米国の学会を覗いて、門外漢ながら分子標的薬などの進歩に驚いたものでした。実際に日本の皮膚癌の専門の先生も内外のドラッグラグがあり、日本の現状をトラックを周回遅れで走っていると表現されていました。それが、オプジーボの登場で一躍トップランナーの一群に加わったような状況となってきました。
ここ数年で、大きく変わってきたメラノーマの薬物療法ですが、驚くべきことにその前の数十年間は、ほとんどみるべき進歩が(延命率の改善が)無かったということです。

【歴史的な流れ】
◇1970年代から術後補助療法として、DTIC(ダカルバジン)を中心とする数多くの多剤併用化学療法が考案され、試みられてきましたが、DTIC単剤と比較してsurvival benefitの認められた方法は一つもないままに21世紀を迎えました。本邦ではDAV Feron療法が多く試みられ、一部では良好な成績も見られたようです。
ダカルバジン 80-140mg/m2 点滴 5日連続、
ニムスチン塩酸塩(ニドラン) 50-80mg/m2 点滴 初日のみ
ビンクリスチン(オンコビン) 0.5-0.8mg/m2 点滴 初日のみ
インターフェロンβ(フェロン) 300万単位 局注 連日10日 1か月に1回維持注射
ただ、DTICの奏功率は20%程度で、完全奏功率は5%未満という低いものでした。
◇2011年・・・とうとうやってきた新時代
米国FDAで新しい免疫療法薬ipilimumabと分子標的治療薬vemurafenibがメラノーマの新規治療薬として承認されました。
◇2014年・・・日本におけるメラノーマ治療のブレークスルー
nivolumab(オプジーボ)、抗PD-1モノクローナル抗体が世界に先駆けて日本においてメラノーマ新規治療薬として承認されました。また同年vemurafenibも承認され、日本におけるブレークスルーの年となりました。
これらの新規薬剤の登場によって、メラノーマの生存期間の延長が明確となり、メラノーマ治療の新たな時代の幕開けとなりました。

メラノーマは腫瘍抗原を発現し免疫原性が高いことから以前から免疫療法は試みられてきました。BCGなどの免疫賦活療法、癌ワクチン療法、サイトカイン療法、樹状細胞療法などです。古くは癌免疫療法は1890年代の米国の外科医William Coleyの実験的な免疫療法に遡るそうです。その詳細は宇原先生自らのブログ――うはら皮膚科(仮想クリニック)――に続き物の物語として連載されています。専門医によって解り易く興味深く書いてありますので、一読をお勧めします。
しかしながら、これまでは幾多の癌免疫療法も癌細胞自身が免疫の攻撃を弱め回避する能力を持っていて、免疫療法を無力化し、なかなか目立った成果をもたらすところまではいきませんでした。しかし最近その無力化する仕組みも次第にわかってきました。このことが、従来と異なる「新しい癌免疫療法」として登場してきたわけです。

次回から新規療法について少しずつ、纏めてみます。

参考文献

宇原 久   メラノーマに対する免疫チェックポイント阻害薬 
第46回日本皮膚科学会生涯教育シンポジウム 新規に登場した薬剤の使い方 より 2016.8.21

山﨑直也  特集 メラノーマの薬物療法 オーバービュー 皮膚科の臨床 57(11);1639~1644,2015

為政 大幾 特集 メラノーマの薬物療法 ニボルマブ――効果と安全性について―― 皮膚科の臨床 57(11);1647~1653,2015

乾癬の治療薬ーJAK阻害薬、PDE4阻害薬

今回の乾癬学会では生物学的製剤の他に、新たな乾癬治療薬も紹介されていました。その中で注目すべき2剤についてレポートしてみたいと思います。
◆JAK(Janus kinase)阻害薬
JAKは造血系細胞を中心に発現するチロシンキナーゼの一種です。Jak1, Jak2, Jak3, Tyk2があります。細胞増殖、生存、発達、分化などに関与します。STATを介してシグナル伝達を行い、上記の調節を行っています。JAK-STAT系のシグナル伝達は約40種類のサイトカイン受容体と関連しているとされます。
それでこの経路は関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病などの自己免疫性疾患の創薬のターゲットとなっています。乾癬も近年はTIP-DC, Th17系細胞を中心とした全身性炎症性疾患、あるいは免疫性疾患ととらえられるようになってきています。また乾癬病巣でSTAT3が高発現しているとの報告もみられます。
JAKはサイトカイン受容体の細胞内に130kDaのチロシンキナーゼ型の2つのドメインを持ちます。Janusという名称はギリシャ神話の双頭神ヤヌスにちなんだものとされます。但し、片方は不活性型です。JAKによってリン酸化され、活性化される主な基質がSTAT(signal transducer and activator of transcription)です。これが活性化され、サイトカインの増産をもたらします。
JAK阻害薬はJAKのATP結合部位に先回りして結合し、JAKがリン酸化して次のシグナル伝達物質である転写因子のSTATがリン酸化して活性化することを妨げます。各JAK阻害薬は標的とするJAK分子が異なりますが、主にJAk1,JAK3を阻害するtofacitinib(ゼルヤンツ 5mg 1日2回内服)はリンパ球機能や免疫反応を抑制します。2013年にはトファシチニブクエン酸塩として関節リウマチに対して適応承認されています。ファイザー(株)製造、武田薬品から販売されています。
国内外の臨床治験で、乾癬、関節性乾癬炎に対しても高用量でエンブレム以上の効果が認められています。
但し、発癌リスク、敗血症、結核などの重篤な感染症、消化管穿孔、血球減少、間質性肺炎、肝機能障害、帯状疱疹などの副作用、死亡例もみられるために、現在は関節リウマチに対してはこれらの副作用に対応可能な医療機関、及び医師のみが使用するように制限されています。
このように内服薬については乾癬に使用するには敷居が高いように思われますが、JAK阻害薬の外用薬の開発も進行中とのことで、こちらの方は期待がもてそうです。
◆PDE4阻害薬
PDE-4阻害薬であるapremmilastは中等症及び重症の局面型乾癬、関節症性乾癬に有効であることが臨床試験により実証され、2014年に米国および欧州で適応承認されて、実臨床の場でも使用されています。
セルジーン・コーポレーション OTEZLA
Phosphodiestarase(PDE)は細胞内のcAMPやcGMPを分解する酵素ですが、11種類のサブファミリーに分かれています。PDE-4は特異的にcAMPに作用するとされます。PDE-4阻害薬は細胞内のcAMPの濃度を上昇させNF-κBやNFATの活性化を抑制し、T細胞や単球系細胞からのIL-23,IL-17,TNF-αなどの炎症性サイトカインの産生を減少させ、一方でIL-10などの抗炎症性サイトカイン産生は増加させます。これらの機序によって乾癬に対しても抗炎症効果を発揮すると考えられています。
海外の臨床試験ではアプレミラスト30mgを1日2回経口投与し、16週目でPASI75達成率は33.1%で、この効果は32週目まで持続、関節症性乾癬に対しても一定の改善効果がみられ52週まで持続したそうです。
このように、その効果は生物学的製剤に比べるとやや劣るようですが、重篤な副作用はみられていません。また経口薬であるためにクリニックでの使用も可能なようで簡便性に優れているようです。
主だった副作用は胃腸障害であるために、1週間かけて、10,20,30mgと徐々に増量していくのがコツだそうです。また下痢、吐き気、咽頭炎、頭痛などの副作用も報告されています。また原因は不明ながら1-2Kgの体重減少もみられています。さらに、この薬剤ではうつ病や抑うつ気分の報告があり、発症、悪化については本人のみならず、医師、家族ともに注意して使用することが注記されています。
アプレミラストは内服薬であり、生物学的製剤のような重篤な副作用報告もないので、本邦で治療可能になれば、開業医などでも使用可能な薬剤となることが期待できます。あとは薬剤費がどの程度に設定されるか、という点が気がかりではあります。

乾癬の生物学的製剤については、主要なターゲットはかなり出尽くしてきた感がありますが、低分子の分子標的薬は細胞内シグナル伝達の解明、乾癬の病態やGWASなどによる遺伝子解析の蓄積に伴って、よりターゲットをしぼったピンポイントの薬剤の創薬の中心となってきそうな感があります。

参考資料
第31回日本乾癬学会学術大会 プログラム・抄録集より
会長 大槻マミ太郎 2016年9月2日・3日 宇都宮

シンポジウム3-7   朝比奈明彦 JAK(Janus kinase)阻害薬

シンポジウム3-6 大久保ゆかり PDE4阻害薬~クリニックから使うpre-bioとしての位置づけ~

乾癬の治療薬ー生物学的製剤2016

先日の日本乾癬学会で紹介された乾癬の新規治療薬についてレポートしたいと思います。まずは生物学的製剤から。
現在までに生物学的製剤はレミケード、ヒュミラ、ステラーラ、コセンティクスと4剤が発売されました。
佐伯先生による乾癬病態に関係のある細胞とサイトカインの図は薬剤がどこに効くかがわかり易いと思います。
さらに、最近になってトルツとルミセフというIL-17に作用する生物学的製剤が承認の運びとなりました。
それぞれの薬剤の作用点と特徴、注意点について簡単に述べてみます。

◆レミケード(インフリキシマブ)・・・田辺三菱製薬から2010年発売。キメラ型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤。
1990年に米国セントコア社(現Janssen Biotech. Inc.)が創製。マウス型モノクローナル抗体由来の可変領域とヒトIgG1の定常領域を有する。2010年に尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に承認、2016年5月には用量変更(増量、投与間隔の短縮)が追加承認された。体重1Kg当たり5mgを2時間以上をかけて緩徐に点滴静注する。初回後、2週、6週、以後8週間隔で投与する。効果不十分の場合は10mgまで増量可。投与間隔を短縮した場合は6mgまで増量可。
2015年7月にはバイオ後発品(バイオシミラー、インフリキシマブBS)が適応承認された。
医療費が軽減されることは朗報であるが、先発品と同等の効能、副作用であるかの市販後調査が必要な事、薬剤費が軽減するために高額療養費制度が使用できなくなり、かえって患者負担が増える可能性があることなどの問題も指摘されている。
投与時反応(infusion reaction)、二次無効などの問題が指摘されていたが、MTX(メトトレキサート)の併用で軽減された。但し、MTXは乾癬には適用外使用であるために現在皮膚科学会から公知申請にむけ陳情中とのことである。
乾癬の病態に中心的な役割を果たしているとされるIL-17の上流の炎症性サイトカインであるTNFαの作用を抑えて、乾癬の炎症性細胞の活性化、細胞増殖を抑え、乾癬の病状を寛解させる。点滴静注なので血中濃度の速やかな上昇とともに即効性が期待できる。関節症性乾癬には第一選択。一方、マウスとのキメラ抗体製剤であるために二次無効、再投与時の投与時反応に注意を要する。

◆ヒュミラ(アダリムマブ)・・・アッヴィ合同会社が製造、エーザイ(株)販売。完全ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤。2010年1月に尋常性乾癬、関節症性乾癬に承認された。
初回に80mgを皮下注射し、以後2週に1回、40mgを皮下注射する。効果不十分な場合は80mgまで増量可。関節症状にも効果がある。体重による用量調節の必要がなく増量、減量が容易。自己注射が可能。注射部位の紅斑、腫脹反応がみられることがある。重篤な副作用の報告は少ないがアナフィラキシー反応、De novo肝炎の報告がある。レミケードと比較すると効果発現は遅いが、ヒト型抗体製剤であるために二次無効が少ない。休薬後の再投与でも効果は期待でき、増量も可能。

近年乾癬は皮膚のみではなく糖尿病や心血管系疾患などのメタボリック症候群の合併が多いことから乾癬は単なる皮膚疾患ではなく、全身性炎症性疾患と捉えられつつある。上記の抗TNFα製剤は心血管系疾患を軽減することが明らかになってきており、その面からも抗TNFα療法は理に叶った療法であるとされている。
一方、抗TNFα製剤にはパラドックス的副作用が時としてみられ、乾癬や掌蹠膿疱症類似の皮疹を惹起することもある。また、ループス様症状を生じることも報告され注意が必要である。

◆ステラーラ(ウステキヌマブ)・・・ヤンセンファーマ(株)が製造、販売。完全ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤。2011年3月に尋常性乾癬、関節症性乾癬に対して承認された。1回45mgを皮下投与する。初回、その4週後、以降12週間隔で投与する。効果不十分な場合は1回90mgを投与できる。IL-12,23の両方を抑制する。当初IL-12に対する効果が期待されたが、むしろIL-23を抑制することによって効果を発現することが明らかになってきた。効果発現は抗TNFα製剤と比較すると立ち上がりは遅いが、長期投与でも安定した効果が持続する、また抗体出現率も少なく二次無効が少ないことで、最も脱落率が少ない。但し、関節症性乾癬に対する効果は弱く、第二選択剤である。米国では12週という通院間隔の長さ、感染症のリスクが比較的少ないことなどから、ステラーラの使用頻度が増加傾向にあるという。

◆コセンティクス(セクキヌマブ)・・・ノバルティスファーマ(株)が製造、マルホ(株)が販売。完全ヒト型IgG1抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤。2014年12月尋常性乾癬、関節症性乾癬に対して適応承認された。2015年12月には膿疱性乾癬にも追加承認された。初回300mgを皮下投与する。その後1週、2週、3週、4週後の合計5回皮下投与する。以降は4週間の間隔で皮下投与する。12週後のPASI75 ,PASI100の達成率は体重60Kg以下では150mg,300mgいずれの投与群でも差がなかったために60Kg以下の人は150mg投与でも構わない。2つの大規模臨床試験がなされ、いままで発売されたどの生物学的製剤よりも、PASIクリアー率が高い。300mg12週後の成績ではPASI75,90,100達成率がそれぞれ81%,59%,28%であった。すなわち3割近くはほぼ完治の状態に到達したということである。全体的には300mg投与の群の方が、150mg投与群より成績が良い。またステラーラとの直接比較によると、効果発現はコセンティクスの方が早い。52週でのPASI100達成率は41%であった。関節症状に対してもかなり良好な成績を示した。IL-17は好中球数の維持、好中球活性化、カンジダ感染を含む真菌と黄色ブドウ球菌に対する宿主防御免疫において重要であることが知られている。しかし、現在のところ、重篤な感染症の副作用の報告はないが、今後の検討事項となっている。またクローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患を増悪させることなど注意を要する。
またこの製剤は抗薬剤抗体の発現頻度が他剤に比べて極めて低いのも特徴である。まだ、発売から日が浅いために今後の動向が注目されている。

◆トルツ(イキセキズマブ)・・・イーライリリー(株)が製造、日本イーライリリー、鳥居薬品(株)が販売。ヒト化IgG4抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体製剤。2016年7月尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対して適応承認された。初回に160mgを皮下投与する。2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下投与し、以降は1回80mgを4週間隔で投与する。8月31日薬価収載予定だったが、類似薬コセンティクスに比べ、高薬価であったため使用について、類似薬優先の方針が示されたため、会社は薬価収載を取り下げた。現在薬価再申請に向けて当局と協議中とのことである。投与12週時のPASI 75,90,100の達成率は89.1%,70.9%,35.3%と高い。投与52週時のPASI 75,90,100の達成率は92.3%,80.8%,48.7%と極めて高い。

◆ルミセフ(ブロダルマブ)・・・協和発酵キリン(株)が製造販売。ヒト型抗ヒトIL-17受容体Aモノクローナル抗体製剤。2016年7月尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に対し適応承認された。初回に1回210mgを皮下投与する。次いで1週後、2週後に同量を皮下投与、以降2週間隔で皮下投与する。投与12週時のPASI 75,90,100の達成率は94.6%,91.9%,59.5%と極めて高い。52週時のPASI 75,90,100の達成率も97.2%,88.9%,63.9%と極めて高い。

上記の2剤は国内ではまだ実臨床で使用されていないので、これから効果、副作用などの情報が集積されていくものと思われる。ただ、治験段階において抗IL-17抗体製剤は数字の上では従来の生物学的製剤よりも高い有効率のデータを示している。
安全性においては、粘膜カンジダ症、好中球減少、クローン病など炎症性腸疾患の悪化、新生に注意を要する。

◆IL-23p19阻害薬・・・乾癬がTh1系疾患と考えられていた時期(ちなみにアトピー性皮膚炎はTh2系)、Th1を分化誘導する樹状細胞が産生するIL-12p40を阻害すれば乾癬に有効であろうとして開発されたのが、ステラーラである。しかし、その効果を示すターゲットはIL-12ではなく、IL-23ではないかということが明らかになってきた。
ちなみに、IL-23はジスルフィド結合でp40とp19が結合したヘテロダイマーで、IL-12はp35とp40の2つのサブユニットを持つ。ステラーラは抗p40抗体である。
最近、IL23のもう一つのサブユニットであるp19をターゲットにした薬剤の開発が進み3剤(Tildrakizumab, Guselkumab, Risankizumab)の臨床試験がphaseⅢに入ってきた。それぞれに若干の違いはあるものの、ステラーラと比べて、より速い効果発現が得られ、有効性も高い。投与間隔も長いなどの利点があるとのことだ。IL12が防御・腫瘍免疫に関与していることを考慮するとp19のみを抑制できるこちらの製剤はより理に叶っているかもしれない。

以上、最近の乾癬に対する生物学的製剤の開発状況をまとめてみました。すでに販売されているもの、開発中のものを含めると9剤、さらにもっと後に控えているそうです。バイオシミラーも巻き込んで、まさに戦国時代の状況だと形容する先生もいました。ますます効果の高い薬剤がでてきて、乾癬治療は格段に進んでいる感がありますが、適切な使い方、副作用の点、薬剤費の問題など注視すべき問題もありそうです。

参考文献

多田弥生 抗IL-17抗体による乾癬治療 臨床皮膚科 70(5増) :113-116,2016

多田弥生 生物学的製剤の今後 日皮会誌:124(13),2774-2776,2014

佐伯秀久 生物学的製剤による乾癬治療の工夫と注意点 J Visual Dermatol 13:230-234,2014

乾癬図 佐伯 原図

尾瀬へ

先週、宇都宮で乾癬学会がありました。金、土曜日の開催でしたので、久しぶりに尾瀬に立ち寄ってみる気になりました。
土曜日の午後学会場をそそくさと後にして、日光宇都宮道路へと車を走らせました。
走っているうちに懐かしさが自然と沸き起こってきました。若い頃日光に、足尾方面へ、尾瀬へと通った道です。西の方に台風はあるものの、まだ穏やかな陽ざしでした。ゆっくりと走っていきました。いろは坂を登り中禅寺湖畔へとでました。外国人でランニング、サイクリングを楽しんでいる人々もちらほらみられました。欧米人にとっては日光は故郷に近いような気候、風光なのでしょう。
戦場ヶ原を過ぎて、金精トンネルを抜ければもう尾瀬は間近です。菅沼、丸沼の脇を通って今日の宿泊地の尾瀬戸倉へと向かいました。
翌日は鳩待峠から尾瀬ヶ原の散策をしました。何回か来た道だけど、熊に注意の看板と、各所に置いてある熊よけの鐘にはちょっとビックリしました。熊の目撃情報もいっぱい書いてありました。以前はそんなに多くなかったのになー。
ここ数年、特に今年の熊の出没は異常です。気象変化が大きな要因なんでしょうが、山間部の過疎化、里山の荒廃も関係しているとの話もききます。
山は好きだけど、あまり熊には会いたくはありません。以前は平日でも、夜間でも割と平気で山歩きをしていましたが、最近はなるべく、人気のないうらさびた山道は避けるようになってきました。
長年山歩きをしていて、熊に会ったことはないか、というと一度だけ見たことがあります。友人と鳥甲山の開拓に道なき道を、沢を歩いていたとき、かなり上の方まで登り、元来た道を眺めていたら、熊が横切っていきました。その時は友人と顔を見合わせてぞっとしたものでした。また北海道の山に登ったときなどは、いつも緊張したものでした。特に知床の山に行った折など、よりによって宿に吉村昭の熊嵐という本がおいてあり、ヒグマで開拓村が全滅した話など知り、びくびくしながら登ったものでした。またカムエクの福岡大学ワンゲル部の悲劇の記事もショックでした。日高の山中で笹薮がガサゴソと音をたてると身構えて緊張したものでした。無駄とはわかっていながら短刀を腰に帯びて登りました。勿論もし出会ったらイチコロでしょう。ヒグマの巨大な剥製と鋭い歯と爪をみたらとても太刀打ちできたものではありません。
尾瀬は雪の至仏岳、秋の燧ケ岳など何回か来たことはありますが、豊かな自然に心なごみます。他の山では見られないような湿原、湖沼です。帰宅して(家人が)写真を整理していたら以前の尾瀬の写真がでてきました。水芭蕉も咲いていました。
山は変わらないけど人はくたびれていくのは世の常ながら、若き日々の山を回想することが多くなってきました。
ともあれ、両者をアップしてみました。
歩きながら、乾癬学会のことを反芻していました。
近年の乾癬治療の進歩は目覚ましいものがあります。1年前の常識が翌年にはもう古いものとなっているといった具合です。今年も生物学的製剤の新規薬剤が2剤紹介されていました。まだまだ後に控えている新薬があるということでした。
もう老兵にはついていくのがいっぱいいっぱいでした。
でも、気をとり直して新規情報についてレポートしてみたいと思います。

%e5%b0%be%e7%80%ac%e8%87%b3%e4%bb%8f%e5%b1%b1 iPhoneでも結構鮮明な画像が撮れるのですね

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%e3%81%bf%e3%81%9a%e8%8a%ad%e8%95%8910数年前の初夏の頃

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