月別アーカイブ: 2016年11月

メラノーマの手術療法 (2)

【センチネルリンパ節生検とリンパ節廓清】

センチネルリンパ節(sentinel lymph node (SLN))とは最初に腫瘍の転移が始まる可能性のあるリンパ節のことをいいます。
SLNを同定して、SLNへの転移を発見することは、悪性黒色腫の予後を改善する重要な因子です。
◆適応
皮膚悪性腫瘍ガイドラインによれば、腫瘍厚が1~4mmとされています。しかし実際にはダーモスコピーなどで明らかなin situ病変でない場合や臨床的に明らかなリンパ節転移がない場合に実施されているようです。
◆種類
その方法は使われるトレーサーによって数種類があります。トレーサーを原発腫瘍の約1cm外側に数か所皮内注射します。
1)色素法
生体染色色素を用いる方法で、ラジオアイソトープなど特殊な器械を用いないで施行できますが、手技に熟練が必要なこと、同定率が低いこと、検索が予測領域で皮膚切開を加えた部分に限られることなどの欠点もあります。
色素としてはパテントブルー、インジゴカルミン、インドシアニングリーン(ICG)などがあります。特に最近はICG蛍光法などにより同定率を高める方法がとられつつあります。超音波診断や造影CTリンパ管撮影を併用して同定率を高める方向にあるようです。
2)リンパシンチグラフィー
放射性同位元素(RI)をトレーサーとして、シンチカメラで撮影してSLNを同定する方法です。99mTc標識 ヒト血清アルブミン、フチン酸、スズコロイドなどが使用されます。dynamic lymphoscintigraphyにより観察されます。前者は投与後30分以内で、後者は3-6時間後に描出されるそうです。RI設備のある施設限定となりますが、腫瘍が体幹や頚部など複雑なリンパ流でSLNが分かりにくい場合や途中のinteraval nodeの検出も可能となります。
3)ガンマプローブ法
色素法と併用して手術中のトレーサーとして使用されます。体表にγプローブを当ててカウントのある部位にマーキングを行い、さらに皮膚切開を加えた後に、カウントの多い方向に剥離を進めてSLNを摘出します。
◆摘出標本
術中迅速診断での信頼度は低いとされ、通常のHE染色以外に免疫染色(S-100, HMB-45, MART-1, Melan-A)なども併用が推奨されています。
◆リンパ節廓清
SLN生検(biopsy)(SLNB)で病理組織検査の結果転移が陰性であれば経過観察となります。
陽性であれば治療的リンパ節廓清を施行します。しかしその先のnonSLNに転移を認める確率は10~20%とされています。すなわちSLN転移陽性であっても約80%はリンパ節廓清を必要としない可能性もあります。
一方臨床的(肉眼的)にリンパ節転移がある場合は遠隔転移がなければ根治的リンパ節廓清が施行されます。予後は年齢、部位、リンパ節転移の数などによって異なってきます。従って至適な廓清範囲は個々に異なってくるそうです。

SLN生検は有用な方法で、メラノーマの予後改善に役立ちますが、薬物療法の進歩も相俟って陽性の場合のその後の手術、廓清範囲などの取り扱いにはさらなる検討、臨床研究が求められています。
Multicenter Selective Lymphadenectomy Trial(MSLT)-Iでは腫瘍厚が1.2~3.5mmの中間群でSLNB施行群の10年疾患特異的生存率が高くでましたが、腫瘍厚が3.5mm以上の群では経過観察群との差はでず、SLNBの意義に否定的な結果でした。
現在はMSLT-IIで追加のリンパ節廓清の有用性の検討がなされています。
また、生体色素薬は臨床医薬品ではなく、放射線同位元素は保険適応外(色素法とRI法を併用した場合は保険適用)であるなどの問題点もあり、倫理委員会の承認が必要などの注意点もあります。

参考文献

堤田 新.センチネルリンパ節生検と根治的リンパ節廓清の最新情報 ◆特集/メラノーマ最新情報 ◆編集企画◆宇原 久 MB Derma. 230: 31-36,2015.

加茂 理英.センチネルリンパ節生検 皮膚外科学 日本皮膚外科学会【監修】秀潤社、東京 pp258-267 2010

林 宏一 宇原 久. 悪性黒色腫のセンチネルリンパ節生検の意義 MSLT-Iの最終結果:臨床皮膚科 70(5増);170-172,2016

メラノーマの手術療法(1)

メラノーマの治療において重要なのは早期発見と早期の手術による切除であることはいうまでもありません。
手術に関する最近のコンセンサスについてまとめてみます。
【原発巣の切除マージン】
腫瘍(Tumor)の厚さによって決められています。
Tis 表皮内 : 0.5cm
T1 1mm 以下 : 1cm
T2 1~ 2mm : 1~2cm
T3 2~4mm : 1~2cm
T4 4mm以上 : 2cm
但し、本邦で多い末端黒子型は腫瘍のマージンが明確でないこともあり、上記の対象外になっています。
【所属リンパ節の取り扱い】
センチネルリンパ節とは見張りリンパ節のことを指しますが、悪性腫瘍病巣の局所から流れ出たリンパ液が最初に流れ込むリンパ節のことです。この部分が最初に癌が転移すると想定されるリンパ節です。リンパ液はリンパ管を通ってリンパ節から枝分かれしていくためにセンチネルリンパ節に転移が無ければその先への転移の可能性は少ないと想定されます。逆にそこに転移があればその先にも転移している可能性が高いために根治的なリンパ節郭清を行うことになります。
センチネルリンパ節の同定は肉眼ではできないので、ICGなどの色素法やラジオアイソトープ法を取ります。すでに触診や画像診断でリンパ節転移が確認されているケースでは適応になりません。
どのようなケースにセンチネルリンパ節生検を行うかは、国によって若干異なっています。

悪性黒色腫は、小型でも急速に転移死亡に至るケースもあれば、逆に大きな局面を呈しながらも腫瘍を形成せず、長期間経過するケースもあり、診断、治療を難解なものにしています。
しかし、例外的なケースを除いては上記の腫瘍の厚さ、リンパ節など遠隔への転移の状況によって予後が決まってきます。

腫瘍の切除範囲は、以前と比べてマージンを少なくして、センチネルリンパ節生検を行う方向にシフトしています。
それは、早期のまだ転移していない低リスクの患者さんには、不必要な大きな切除をしなくても完全治癒が可能であり、一方リンパ節転移などのある患者さんには局所は良いコントロール状態を保ちつつ、最近飛躍的に進歩した薬物療法などでケアしていこうというものです。

個別の事項について少しずつ書いてみたいと思います。

参考文献

竹之内 辰也.◆特集/メラノーマの最新情報 世界のガイドラインの最新情報 ◆編集企画◆宇原 久 MB Derma, 220: 17-23,2015

村田 洋三.悪性黒色腫 412-433 皮膚外科学 日本皮膚外科学会【監修】 秀潤社 東京、2010

メラノーマの薬物療法 (6) 免疫療法4.

免疫チェックポイント阻害薬の有害事象

免疫チェックポイント阻害薬の優れた効果について書いてきましたが、残念ながら重篤な有害事象もあります。
それについて書いてみます。

この薬剤は体内の腫瘍免疫抑制反応を解除することによって腫瘍免疫反応を回復させ効果を発揮します。それは一方では生体に備わった免疫反応を制御しているシステムをストップさせるために免疫反応の暴走をおこし、予期せぬ様々な免疫関連有害事象(immune-related adverse events: irAE)を引き起こします。
その原因、発症機序は完全には解明されていませんが、その多くはTregの機能不全で説明可能だそうです。
その根拠の一つとして、IPEX症候群というTregのマスター転写因子であるFOXP3遺伝子に変異のある遺伝性疾患の患者ではTregが著しく減少、または欠損しており、自己免疫性腸炎、I型糖尿病、甲状腺炎、紅皮症、肝障害、自己免疫性溶血性貧血、血小板減少症、関節炎などが認められ、これはまさにirAEにみられる症状と一致しているいうことがあげられます。
しかしながら、実臨床への使用が始まったばかりの薬剤であり、まだ不明な点が多く今後の研究、解明が必要とのことです。
それぞれについて、ごく大略を調べてみました。
(A):抗CTLA-4抗体(イピリムマブ;ヤーボイ) (B):抗PD-1抗体(ニボルマブ;オプジーボなど)
【皮膚障害】
投与開始から比較的早期にみられます。躯幹四肢の紅斑や乾皮症例が多いようです。
(B)投与で効果がない場合にベムラフェニブに切りかえた場合に高度の皮膚炎を生じる可能性があります。また(A)(B)剤を併用すると高率に皮疹を生じます。
白斑を生じる例がたまにあり、白斑発生例では免疫療法が奏功する率が高いと言われていますが、全てそうではないようです。
血小板減少性紫斑病は数は少ないものの、重篤例があり注意を要します。
【下痢・大腸炎】
治療開始6週間前後からみられます。比較的重症例は(A)に多いとされます。さらに併用、(B)後(A)使用例ではより早期で重篤化する傾向にあります。症状は不定なものもあるために日頃から患者に周知、教育しておき、すぐに連絡できるようにしておくことが必要です。
下痢などの症状でirAEが疑われた場合は早急にCT検査を行い重症度を判定すべきとされます。その他のウイルス性、細菌性腸炎などの鑑別も重要となります。治療はステロイド剤、抗TNFα製剤などによります。
【甲状腺機能異常・1型糖尿病】
T細胞機能の活性化によって、自己免疫性疾患を発症・増悪させる可能性があります。代謝内分泌の分野では甲状腺機能低下症、逆に甲状腺中毒症、下垂体機能異常、副腎機能異常、1型糖尿病の発症が懸念されます。
1型糖尿病では緩徐進行型の他に劇症型があり、処置が遅れるとケトアシドーシスから致死的となります。また甲状腺機能低下症と副腎機能低下症を合併している場合に、先に甲状腺機能低下症の治療を始めると副腎クリーゼを引き起こし致死的となる可能性があるとされます。いずれにしても自覚症状、検査などを密にチェックしながら疑わしければ専門科にコンサルトすることが重要です。
【間質性肺炎】
(A)による呼吸困難は10数%、(B)では5%程度ですが、併用では30%程度に上昇しています。しかしirAEとしての肺病変は下痢・大腸炎と比較して頻度が低く、発熱、咳嗽などを伴って生じるために他の感染性肺疾患や炎症性疾患などとの鑑別が難しいそうです。呼吸器専門医による診断、治療が必要です。Grade4などの重篤は例では大量ステロイドや免疫抑制剤、抗TNFα製剤などが使用されます。ただしインフリキシマブは保険適用がありませんし、それ自体間質性肺炎を誘発することもあり十分な注意を払い周知のうえ使用することが求められます。
【肝機能障害】
(A)(B)ともにgrade3,4の肝機能障害は1%内外とそれ程高頻度ではありませんが、併用により10%近くまで上昇しています。また治験段階でBRAF阻害剤のベムラフェニブとイピリムマブの併用療法により肝障害が80%に出現し、臨床試験が中止されました。安易な併用療法には注意が必要とされます。
【重症筋無力症・横紋筋融解症】
重症筋無力症には自己免疫性甲状腺疾患が合併しやすいとされます。それ以外にも他の自己免疫疾患の合併がし易く呼吸苦、息切れなどの症状がでた場合は間質性肺炎のみではなく、本疾患も念頭に置く必要があります。
初発症状は眼瞼下垂や複視などの眼症状が多く、四肢近位筋の筋力低下、歩行時の息切れ、嚥下障害などもきたします。
抗アセチルコリン受容体(AChR)抗体が80~85%の患者で陽性となります。

その他に稀なものとして、膵炎、腎炎、ぶどう膜炎、脱髄疾患などの報告があります。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用は自己免疫反応の不調、暴走によるものと考えられ、従来の抗がん剤の副作用とは全く異なった様相を呈するために新たな対応が必要とされています。

免疫チェックポイント阻害薬の有害事象について述べてきましたが、この薬剤は非常に高価で、また全員に効くわけでなく、有効かどうかを判定する明確な指標はまだありません。最近これらの薬剤による医療費の高騰、医療財政の悪化も懸念され、いわゆる「経済的有害事象(financial toxicity)」という言葉さえ使われるようになってきました。
特にオポジーボは欧米に比べて薬価が高く、患者1人への投与で年間3500万円かかるとされます。そしてメラノーマだけではなく、非小細胞肺癌やその他の癌にも適応が拡大承認され、このままでは日本の医療保険財政に悪影響を及ぼすまでになってきました。
そこで政府は最近本年度中にも薬価をおもいきって50%減らす方向で調整に入っているとの報道がありました。日本発の優れた薬剤ですので、適正な価格で長く使い続ける仕組みを作ってもらいたいと思います。

参考文献

特集 免疫チェックポイント阻害薬のirAE  責任編集 吉野 公二 Yisual Dermatology Vol.15 No.6 2016

山﨑 直也 免疫チェックポイント療法とその副作用対策 臨床皮膚科 70巻5号pp 131-136(2016年4月)

宇原 久 メラノーマに対する免疫チェックポイント阻害薬 
第46回日本皮膚科学会生涯教育シンポジウム 新規に登場した薬剤の使い方 より 2016.8.21

千葉県医師会医学会

11月3日、文化の日に千葉県医師会医学会第17回学術大会が開催されました。今年のメインテーマは「医療の進歩と人の尊厳」でした。運営委員の末席をけがしている身でもあり、午後の公開シンポジウム、県民公開講座を聴講しました。
ただ、普段は皮膚科のことしかかかわらないので新鮮な驚きとともに、これからの日本はどうなっていくのだろう、と深く考えさせられる意義深い講演でした。

前半のシンポジウムは最新の医療の進歩。
「最先端医療支援ロボットの現状」 九州大学 橋爪 誠 先生 
いまやコンピューター外科手術の技術革新は目覚ましいというか、凄まじい進歩があります。手術支援ロボット「ダヴィンチ」のシステムは年々進歩を続けているそうです。
スーパーコンピューターが自動で切開、自動縫合し経験の少ない外科医でもベテラン並みの高度な手術ができるようにもなるそうです。びっくりしたのは、日本からの操作で、韓国や東南アジアの機器を遠隔操作、手術もできるということでした。また皮膚を傷つけない外科手術も進歩しつつあることも驚きでした。ヒトの本来の穴、口、肛門などから内視鏡を入れて手術をする方法です。口から管を入れて、腹腔を通り虫垂の切除手術をするビデオは驚きでした。皮膚には全く手術痕はできません。
究極的には外科医は人工頭脳を持ったロボットが手術をするのをそばで見ているだけで、手術が完了するのも可能とのことでした。
「ゲノム情報・ゲノム修飾情報とがん医療」 千葉大学 金田 篤志 先生
いまや素人でもヒトゲノムDNA情報が解析されたり、その異常によって癌が起こることは知っています。その研究の進歩も日進月歩で、遺伝子レベルで個人の癌になり易さ、予防、その人に合ったオーダーメイドの分子標的薬などの作成が可能になってくる時代がすぐそこまでやってきているそうです。
「ビッグデータと医療」 千葉県病院局長 矢島 鉄也 先生
レセプト情報・特定健診等情報データベース(ナショナルデータベース)を元にしたビッグデータを活用することによって、疾患のリスクを早期に発見して、成人病などの発症を予防して脳卒中や認知症や寝たきりを減らすことが期待されています。ビッグデータと個人の健診データとを照らし合わせることによって、個人の健康維持、疾病の重症化を予防することも期待されています。

後半は上記のようにいかに医療が進歩してもヒトには寿命があること、いずれは人生の終末を迎えることを避けることはできない、という厳粛な事実を終末医療の現場に携わっている医師による講演によって再認識させられました。

「癌と共に穏やかに生きる」 五味クリニック 五味 博子 先生
癌は身内からでたもので、全くのよそ者ではない、いわばたちの悪い親戚といったもの、との説は成程と思いました。完全に縁を切れればそれで良し、どうしても縁を切れないときは何とかうまく付き合っていくしかない、と。
癌の末期や老衰などの終末期に胃瘻や経鼻チューブから人工栄養をすることは延命にはなっても誤嚥性肺炎や褥瘡を作りむしろ非倫理的であるとの認識は欧米から20年も遅れているとのことです。
在宅医療の長年の経験から穏やかな旅立ちは病院よりも家族とともにある自宅での方がより満足度は高いこと、在宅で安らかな穏やかな看取りを多くみてきたことなどを話されました。
「「超超」高齢社会時代の医療 最期まで自分らしく生きる」 三和病院 高林 克日己 先生
日本の人口は江戸時代までは2,3千万人とほぼ横ばいで、明治以降爆発的な増加をきたしました。そして近年そのピークは過ぎ、減少に向かっています。このことは誰でも知っていますが、そのカーブはいわば我々はジェットコースターのピークの直下にあるのだと例えられました。我々日本人が頑張って長寿世界一を果たしたことが、皮肉にも超超高齢社会の状況を作り出しました。この状況は欧米先進諸国ですら経験しない日本が唯一の国とのことです。誰も経験したことがない未来に対処していかなければならないのです。増え続ける高齢者に常に三次救急の高度医療が求められているわけではありませんし、高齢者自身も本当にそれを望むわけではありません。しかし、現実には家族が救急車を要請すれば、三次救急病院へ搬送され、救急延命措置を受ける、というルートが確立しています。これからは高齢者自身が事前指示書を書き、それが適切に生かされて無理・不要の救急措置を受けることのないような法令化が必要とのことです。ただ、逆に高齢者の切り捨てに安易につながるのは避ける必要があります。医療は無理な延命治療ではなく健康寿命を伸ばすことを努力すべきとのことでした。
「平穏死を受け入れる」 芦花ホーム 石飛 幸三 先生
人生の前半は消化器外科医、そして血管外科医として多くの業績をあげ、頸動脈内膜剥離術、野球ピッチャーの血管損傷の手術法の発展に寄与してきた人の言葉だけに重みがあります。
多くの人は人生の最期には、病院で管だらけになって死ぬのは嫌だといいます。しかし、身内の最期が来ると救急車を呼んで病院に送ります。最愛の人に1分1秒でも長く生きていて欲しいと思う心はよく分かります。しかし、人は人生の最期になると衰えて必要な水分や栄養の量はどんどん減っていくのです。入れない方がむしろ穏やかに逝けるのに無理に入れるのです。点滴でじゃぶじゃぶにして、胃瘻から無理やりに栄養補給をすれば、命は永らえられます。しかし、誤嚥性肺炎を起こし、褥瘡を作り、手足を縛られて延命治療をすることは意味をなさない、むしろ苦しめているだけなのです。
そうであれば、無意味な延命治療をしなくても責任を問われるべきではないという社会の通念を広げるべきであるということを主張されています。そして穏やかに看取ることを「平穏死」という言葉で表しています。
ちなみに明治の古い時代にできた刑法268条、269条ではいまだに生きていて「生存に必要な保護をしなかった時は3月~5年以下の懲役に処す」となっているそうです。

医療の目覚ましい進歩にも目を丸くしましたが、むしろ深く心にしみ込んだのは後半の部でした。
医者としてよりも、一人の老いていく者として待ったなしの対応を迫られているのを実感しました。
日本はこれからどこの国も経験したことのない海原に個人も、国全体も漕ぎ出していくのだ、それを全世界の人々が注視していることを痛感しました。
数十年前は病院での看取りが2割、在宅が8割だったそうです。それが今や逆転しています。これから先の人口動態や医療財政、施設数などを考えると在宅へのシフトが必然となってきます。認知症への対応や老老介護の問題など高齢者社会への問題は山積です。