月別アーカイブ: 2017年8月

ブログの休眠

「そが皮膚科へようこそ!」との名前でブログを綴ってきました。
だいぶくたびれてきましたが、まだブログというべきか、講演会の抄録のような記事を書いています。おかげさまで多くの皆様に訪問していただき、感謝しております。
ただ、最近ややくたびれ感、いっぱい感があります。
当初、一般の方に皮膚科のアップツーデートな情報を届けたいという希望もありました。しかし皮膚科も含め医学の進歩は目覚ましく、そろそろ老化した頭脳ではとてもついていくのはきつくなってきました。講演の要旨を難しいままのテクニカルタームで噛み砕かずにそのまま書き写すことも多くなりました。そもそも自分で書いた過去の記事を全く覚えていないこともままあります。最近大それた思いは程々に、という思いがつのってきました。また、ブログの記事を見て来院されても、いきなり酒さや痒疹が治るわけでもありません。しかもいつまでも当院が続くわけでもありません。
もとより、このブログは集客を目的としたものではありません。

それやこれやで「そが皮膚科へようこそ!」としてのブログは終了とすることにしました。しばらく休眠として、再度そが皮膚科と切り離した別の名称で、あまり学術的一辺倒ではなく気ままな気持ちでこのサイトの続編にしようかと愚考しています。
(しかし同じ人間の書くことで、そんなにリフレッシュも変わり映えもしないだろうとは思いますが。ただ年老いた駄馬とはいえど、40年以上の皮膚科の経験はあります。最新とはいえなくても伝えたい皮膚の話はまだまだ一杯あります。恥ずかしながら多少なりとも皆さまのお役に立てる記事はまだ書ける自負は持っているつもりです。)

さて、どのようなブログになるか分かりませんが。例えば「あるロートル皮膚科医のつぶやき」とでも「皮膚科落穂ひろい、そして山と旅と」とでも・・・?
それでは、またお会いする日まで、ごきげんよう。

薬剤性過敏症症候群

薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome: DIHS)は比較的新しく、日本人皮膚科医によって命名された重症薬疹の概念です。
以前から同様な薬疹は臨床的に知られており、個別にDDS症候群やallopurinol hypersensitivity syndrome, anti-convulsant hypersensitivity syndrome などの名称で報告されてきました。これらの個別的な異なる名称の共通点に気づき1994年にフランスのRoujeauらはDRESS(drug rash with eosinophilia and systemic symptoms)という名称を唱えました。1998年橋本、塩原らは別個にこのような薬疹でHHV-6の再活性化を伴った症例を報告し、薬剤アレルギーとウイルスの再活性化を伴った新たな疾患概念を提唱しました。(しかしながら現在でも欧米諸国ではむしろDRESSの名称が多用され、DIHSは日本で主に用いられています。またDRESSの診断基準にはウイルス再活性化の項目はなく、これらは同一ではなくDRESSはDIHSをも含む包括的な名称と捉えられます。)

🔷DIHSの原因薬剤
抗痙攣剤などの、ある特定の薬剤が原因となり、比較的長期間(数週から1,2か月)内服した後に生じるのが特徴です。カルバマゼピン、フェニトイン、フェノバルビタール、ゾニサミド、最近ではラモトリギンなどの抗痙攣剤やアロプリノール、メキシレチン、サラゾスルファピリジン、ジアフェニルスルフォン、などがあげられています。その他では少数ながらミノサイクリン、バルブロ酸ナトリウム、ST合剤、シアナミドなどが報告されています。
また化学物質(金属加工部品などの脱脂洗浄に使用される有機溶剤)のトリクロロエチレンによるDIHSもあります。
🔷DIHSの臨床症状
原因薬剤投与2-6週後に遅発性に発疹が生じ急速に全身に拡大し、しばしば紅皮症に移行します。発疹の型はさまざまであり、播種状紅斑丘疹型、多形紅斑型、紫斑型をとります。特徴的なのは病初期に顔面の著明な浮腫を伴ったびまん性の紅斑をきたし、眼瞼周囲は正常で、口囲、鼻囲に丘疹、膿疱、痂皮を生じてきます。前腕には緊張性の水疱を伴うこともあります。またリンパ節腫脹、肝脾腫を伴い、肝機能異常、腎機能異常、血液学的異常(白血球増多、好酸球増多、異型リンパ球)を認めます。原因薬剤を中止してもさらに症状は進展することが多いです。
本症の特徴は発症2~3週後にHHV-6をはじめとするヘルペス属のウイルス血症をきたし、2峰性に症状の再増悪を見る点です。
🔷ヘルペスウイルス再活性化
ヒトヘルペスウイルスはヒトに長期間に亘って潜伏感染を起こし、一生体内に留まります。そして宿主の免疫状態や種々の刺激によって増殖を再開します。これをウイルスの再活性化といいます。DIHSの際にこのヘルペスウイルスの再活性化が起こることを日本人の皮膚科医が見出したことはすでに述べました。
ヒトヘルペスウイルスには8種類あります。有名なのは、HHV-1,HHV-2(単純ヘルペスウイルス1型、2型)、HHV-3(水痘・帯状疱疹ウイルス)でしょう。DIHSで再活性化するのは、HHV-4(Epstein-Barr virus:EBウイルス)、HHV-5(ヒトサイトメガロウイルス:CMV)、HHV-6(HHV-6A, HHV-6B)、なかんずくHHV-6Bです。その他のヘルペスウイルス群の再活性化もみられています。HHV-6は突発性発疹の原因ウイルスで本邦では2歳までにはほとんどの人が感染しています。HHV-6はまた移植片対宿主病(GVHD)や慢性疲労症候群とも関連することが分かっています。
1998年橋本、塩原らが報告した当初は、ウイルスの再活性化は病態機序に密接に関連しているのか、偶然なのかが議論になりました。しかし、その後の検討の結果、発症後2~3週後に再活性化が起こること、それは治療にステロイドを使う、使わないにかかわらずに見られること、再活性化を起こした群の方がより重篤な症状(肝腎障害など)を起こし、予後も悪かったことなどが明らかになってきました。さらに引き続き、サイトメガロウイルスの再活性化を起こした群では心筋炎、肺炎、消化管出血などを起こし予後を悪化させる要因となっていることも明らかになってきました。これに対してはガンシクロビルなどの抗ウイルス剤の投与が有効です。
🔷DIHSの発症機序(ウイルス再活性化の機序)
DIHSにおけるヘルペスウイルスの再活性化が明らかにされてからすでに20年経っています。その臨床経過、検査データの異常、推移は詳らかにされていますが、薬疹の発生からウイルス活性化に至る機序、病態への関与の全貌はなお明らかではありません。
当然、薬剤の侵入を契機として、生体内で免疫反応が起き、潜伏感染しているヘルペスウイルスが再び増殖して病像を複雑化させ、遷延化させている訳ですが、詳細な生体内反応、免疫反応の理論解明は未だしです。
ただ、塩原らは実験データや、DIHSの特徴的な臨床経過から次のように考えています。
 SJS/TENではTreg(regulatory T細胞)の機能不全が起こっており、エフェクターT細胞の過剰な活性化が表皮壊死に繋がっていますが、DIHSでは急性期はTregが逆に著明に増加しています。その中でも免疫反応の抑制力の高いinduced Treg(iTreg)が著明に増加しているといいます。Tregの増加はウイルス特異的なT細胞の活性化やB細胞やNK細胞の機能発現を抑制する結果、潜伏するウイルスのさらなる再活性化をもたらします。この間はDLSTも陰性となります。一方慢性期、回復期になるとTregの頻度,機能は健常人を下回るまでに低下し、これと反比例するようにTh17細胞が増加したそうです。この回復期のTreg/Th17のバランスのくずれは、この時期にみられる自己免疫疾患の発症を説明可能です。HHV-6は単球に潜伏感染し、活性化T細胞に感染することがその増殖に必要です。単球の中の分画のpMOs(proinflammatory or patorolling monocyte)はSJS/TENで表皮を傷害することで注目されてきましたが、DIHSにおいて急性期にはpMOsが特異的に消失することが明らかになりました。逆に回復期にはpMosも急速に回復していました。塩原らはpMos,cMosの変化がTregのダイナミックな変化をもたらし、DIHSの免疫異常をうまく説明できるとしています。
🔷DIHSの治療
薬疹の治療の大原則として、被疑薬の中止が重要です。ただ、DIHSの場合、長期(2~6週あるいはそれ以上)に亘る投与の後に発症するという特徴があります。従って発症2カ月前まで遡って薬剤を検討する必要があります。ただ前に述べたようにDIHSを発症する薬剤は比較的に限られています。それらの投与があれば速やかに中止すべきです。またDIHSでは発症後に使用した抗生剤、消炎鎮痛剤に感作され易いので、これらに惑わされない注意も必要です。
薬物治療の主体はやはりステロイド剤の全身投与になりますが、なかなかトリッキーな部分もあります。症状にあわせて十分量のステロイド剤を使用しますが、急激な減量を行うと、免疫再構築症候群の際にみられるように、ヘルペスウイルスの再活性化を助長するからです。また一般にステロイドはTregの数や機能を増大させる一方、pMos分画に対しては抑制的に働きます。それを鑑みるとSJS/TEN程にはステロイド剤が有効とも言い切れません。ただ、ステロイド剤を使わないで治療した群ではDIHS治癒後に高率に自己免疫疾患を発症するとされます。
 経過中に発症するサイトメガロウイルス感染症は予後を左右する大きな合併症とされます。従ってその動向を常に注視し、感染が明確ならばガンシクロビルの投与も考慮すべきです。
🔷DIHS後遺症としての自己免疫疾患
DIHSの回復期には抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体が陽性になったり、Ⅰ型糖尿病を発症してくるケースもみられます。またその後、全身性エリテマトーデスや全身性強皮症を発症するケースもみられます。
このようにDIHSの後遺症として時に自己免疫疾患を生じることが次第に分かってきました。これは病初期に十分な機能をもったTreg(regulatory T細胞)が病気の回復期になると著明な機能低下を起こすことと符合しているとされます。そしてこの現象はGVHD後に生じてくる自己免疫疾患との類似性があります。

参考文献

橋本公二 薬剤性過敏症症候群とヒトヘルペスウイルス6  モダンメディア 56巻12号2010[話題の感染症] 305-310 

薬疹の診断と治療 アップデート 重症薬疹を中心に 塩原哲夫 編 医薬ジャーナル社 2016
渡辺秀晃 14.薬剤性過敏症症候群の臨床 pp125-134
塩原哲夫 15. 薬剤性過敏症症候群の発症機序 pp135-143

医薬品副作用被害救済制度

医薬品は当然医療上必要で、健康保持、病気の治療に役立っています。それは紛れもない事実ですが、残念なことに万全の注意を払って使用したとしても一定の確率で副作用が生じることは避けられません。皮膚以外にも内臓臓器を始め各科に関連の副作用が見られます。(厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル一覧 参照)
皮膚科においても、頻度はごく稀ながらSJS/TEN型薬疹を始めとして、重症の薬疹が時に発生します。勿論皮膚科医が処方した薬剤でも発症していますが、頻度的には他科で発症した薬剤性皮膚障害を診察することがはるかに多いです。
適正な目的のために用量・用法を守って使用したにも関わらず一定以上の健康被害を生じた場合には救済制度が適応され、給付金が支払われるようになりました。(PMDAによる医薬品副作用被害救済制度)
 ただ、救済給付の対象についてはいくつかの注意点、制限があります。
🔷対象となるのは1980年(昭和55年)5月1日以降に使用した医薬品
🔷使用方法が適正な用量・用法であること
🔷日常生活が著しく制限され、入院を余儀なくされる程度の障害または死亡例
🔷救済給付の対象外の場合もあります。
●法定予防接種によるもの
●医薬品の製造販売業者に明らかな過失がある場合
●通常の使用量を超えて使用し、副作用が発生した場合
●抗がん剤、免疫抑制剤など対象除外医薬品によるもの
●軽度な健康被害
●医薬品の不適正な使用による場合(適応外使用例については当時の医学薬学の総合的な見地から個別に判断されます。)
🔷給付の種類
医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料などがあります。

給付方法は患者さん、または家族などが独立行政法人医薬品医療機器総合機構(略称:医薬品機構/PMDA)(下記)に請求して行うことになっています。まずは皮膚科主治医に相談するところから始まると思います。
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル10階 
☎ 0120-149-93
http://www.pmda.go.jp/kenkouhigai/fukusayou_dl/

🔷上記のように日本には健康被害に対する世界的にも優れた救済制度がありながら(世界的にみてこのような公的制度があるのはドイツと台湾のみだそうです。近年は北欧の一部、韓国でも死亡例に対し同様な制度が導入されているそうです。)、時にはトラブル、医療訴訟につながる例もあるそうです。
長年皮膚科専門家として医療訴訟の鑑定人を務めてこられた昭和大学名誉教授の飯島正文先生のコメントを以下に掲げます。

「訴訟事例からみて、SJS/TENにおける早期の臨床診断の難しさ、失明や死の転帰をとりうる臨床症状のあまりにも急激な悪化に対する誤解や無理解、インフォームドコンセントにおける医師ー患者間の薬品に対する理解不足・誤解からの医療不信が主な原因となっている」とのことです。

「適用外使用された医薬品による重症薬疹は(仮に患者に良かれと思って使用しても)医薬品機構の救済対象外であり、医師の責任には重いものがある。」

「SJS/TENという疾患は、いったん発症すれば急激に重症化する可能性のあることを患者・家族に十分説明して同意を得る適切なインフォームドコンセントがすべてであり、眼科医との連携も重要である。」

🔷治療については、様々な臨床研究がなされ、治療成績が向上しているものの、先に述べたようにある程度の致死率のある重篤な疾患であることは否定できません。いずれにしても、重症化の兆候があれば、できるだけ早期に専門医療機関に入院して集中的な治療を開始することが重要と思われます。

参考文献

皮膚科臨床アセット 2 薬疹診療ラインのフロントライン
総編集◎古江増隆 専門編集◎相原道子 東京 中山書店 2011
落合豊子 12 医薬品副作用被害救済制度の利用法 pp 51-53
飯島正文 13 薬疹の医療訴訟では何が問題点とされるか pp54-58

薬疹の診断と治療アップデート 重症薬疹を中心に 塩原哲夫 編 医薬ジャーナル社 2016
飯島正文 22. 重症薬疹に対する医薬品副作用 被害救済制度の概要と現況 pp197-207

SJS/TEN型薬疹治療

SJS/TEN型重症薬疹の治療には、副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)の全身投与、血漿交換療法、大量ヒト免疫グロブリン製剤静注療法(IVIG: intravenous immunoglobulin)、免疫抑制剤の投与などが行われます。しかしながらこれらの治療法についての評価は世界的に一致をみておらず、世界標準治療法は確立されていません。
本邦では、ステロイド剤の大量投与が標準とされ、治癒率、生存率の向上に寄与していますが、海外ではまだステロイド剤使用への否定的な意見も多いそうです。しかし海外でもステロイド大量療法の効果を示す報告も増加しているそうです。
重症薬疹の治療法は近年進展してきています。それでもSJSの3~5%、TENの20~30%は死亡し、各々の11%,30%に後遺症を残すとされます。後遺症には陰部病変の瘢痕や視力障害、口腔乾燥、爪の脱落などがあります。

治療の前提として当然のことながら被疑薬を中止することがまず必要です。その上で補液、栄養管理などの全身管理のできる医療施設で早急に入院治療を開始することです。また痛みを伴う全身性の水疱・びらんなどへのアズレン軟膏や油脂性軟膏の使用トレックスガーゼなどでの保護、二次感染に対する抗生剤含有軟膏などの使用は重症熱傷の治療に準じます。

🔷ステロイド薬の投与法
使用法の要諦は、表皮剥離などの症状が進展しない早期にステロイドパルス療法などで大量に投与し、皮膚粘膜傷害の進行を早期に阻止することです。中途半端な量を使用したり、急激に中止したりなどの不適切な使用法を行うと、予後が悪くなることが示されています。また、早期大量療法によっても症状の改善がない場合は、そのままずるずると引きずらないで血漿交換療法、IVIGなどの他の療法の併用を考慮することが肝要です。
 ただ、具体的なステロイドの量は病勢、表皮剥離の度合、使用時期、感染症の有無などにより個々に決めていく必要があります。
一般的にはステロイドパルス療法はメチルプレドニゾロン500~1000㎎/日を3日間点滴静注、またはプレドニン換算で1mg/kg/日程度(中等症で0.5~1mg,重症では1~2mg)使用します。
治療効果がみえたら、4~7日後に10mg/日、または20%程度減量し、1週間程度で漸減していきます。このステロイド薬の使い方は個々のケースで微妙に異なり、一律ではなく一種職人芸的なところもあります。
🔷眼症状の対処
急性期の眼科の治療が高度の視力障害や重症ドライアイなどの後遺症を軽減するのに重要であるとされています。眼科医の頻回のチェックのもと、ステロイド点眼薬や抗菌薬の使用を行います。急性期に角膜上皮幹細胞が消失すると失明などの重篤な視力障害を残します。また硝子棒を用いた眼球癒着防止も必要です。
🔷感染症への対応
広範囲な表皮剥離、気道粘膜傷害、ステロイドの大量投与はなどは全身感染症のリスクを高めます。細菌感染、真菌乾癬、マイコプラズマ、サイトメガロウイルス感染などへの対処が必要となってきます。
🔷血漿交換療法
2006年にSJS/TENの治療法の一つとして健康保険の適応になりました。単純血漿交換療法と、二重膜濾過血漿交換法(double filtration plasmapheresis: DFPP)があります。後者は高分子物質を濃縮血漿として除去し、低分子物質と液性成分は患者に戻す方法で廃棄血漿量が少なく、新鮮凍結ヒト血漿を必要としない利点があります。
ステロイド薬の治療に抵抗性の症例に適応になりますが、粘膜疹発症5日以内が効果的とのことです。DFPPでも効果があるので、除去された病因物質は100kDa以上の高分子と考えられますが、その詳細についてはまだ明らかではありません。
ただ近年はグラニュライシンなど低分子炎症性サイトカインが病因の一つという報告もあり、理論的には単純血漿交換療法の方が効果的と考えられています。
🔷IVIG
多くの難治性の炎症性疾患に用いられてその有効性が示されてはいますが、作用機序、使い方は十分に解明されてはいません。
SJS/TENに関しても海外では0.5~1g/kg,4~5日使われているのに対して、本邦では0.1~0.4g/kgを3日程度使用する例が多いようです。(ガイドラインでは0.4g/kg/日を5日間)。また海外の単独使用に対し、本邦ではほとんどステロイド薬との併用で、直接効果比較はできません。IVIGの働きについては抗Fas抗体やグラニュライシンが表皮細胞のアポトーシスに関与するとの報告がありますが、解明には至っていません。近年はIVIGは抑制されたTreg機能を回復させることによって効果を発揮しているという報告もあります。
この療法は臓器障害、血栓・塞栓などや肺水腫、アナフィラキシーなどの副作用の報告もありますが、感染症や糖尿病を併発してステロイド薬を使えない患者さんなどは良い適応となります。

🔷重症薬疹の情報サイト

いろいろな情報がありますが、信頼度の高いものとしては下記のものがあります。

1)日本皮膚科学会ホームページ 一般市民の皆様 皮膚科Q&A 薬疹(重症)
                会員・医療関係の皆様 ガイドライン・指針 
重症多形滲出性紅斑スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症診療ガイドライン

2)厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル一覧 ●皮膚(平成29年6月改定)

参考文献

皮膚科臨床アセット 2 薬疹診療のフロントライン
総編集◎古江増隆 専門編集◎相原道子 東京 中山書店  2011

薬疹の診断と治療 アップデート 重症薬疹を中心に 
塩原哲夫 編 医薬ジャーナル社 2016

重症多形滲出性紅斑 スティーヴンス・ジョンソン症候群・中毒性表皮壊死症 診療ガイドライン 重症多形滲出性紅斑ガイドライン作成委員会 日皮会誌:126(9),1637-1685,2016