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新型コロナウイルスの今後

日本中、というか世界中コロナの情報は溢れかえっており、日本でも日々感染者数が増加し、まさにパンデミックというかパニックな状態です。緊急事態宣言の最中、自分でも何が正しい情報かだんだん訳が分からなくなってきました。それで、素人がブログに書く意味もなく、変なことを書いてはた迷惑になってもまずいので、コロナ記事は今回でおしまいにします。
専門家といわれる人の記事も微妙に違ったり、また予測などは神のみぞ知る、といった感じで誰にも確実なことはわかりはしないでしょう。
ただ、ここ数日の医学専門家の確からしい情報を引っ張り出して書いてみたいと思います。
【黒木登志夫先生】著名な癌研究者、サイエンスライター
山中伸弥教授の情報サイトにリンク
黒木先生のブログより
❖PCR検査について・・・政府は経済の停滞を恐れるあまりにPCR検査を極端に制限した。当初は専門家会議もクラスターを見つけてつぶす「発症者対応モデル」をとっていたが、東京では3月24日から感染者が急カーブで伸びてきた。第2期に入り、病院がクラスター化してきた。このままでは病院、保健所、専門家会議が共倒れになりカオス状態となる。コロナとの戦いは少なくともあと1年は続く。早急に組織を再編する必要性がある。遅すぎる感は拭えないが「感染対応モデル」へ変更しPCRセンターを立ち上げて検査体制を充実する必要がある。そもそも最初から民間を動員すればできたことだが。これは韓国がとっていたシステム(世界から賞賛)に近似したもの。現在の状況は日本の信頼を失墜させるものである(海外からは日本のデータはPCR検査があまりにも少なく感染の実情を表していないので公式データから外す、との報告もあり。)
❖日本の新型コロナ感染による死亡者が少ない理由について・・・公式には確たる科学的な根拠はないと否定的な統一見解がなされていますが、BCGについて。
黒木先生の個人的な見解と捉えておいて下さい。
BCGは結核だけではなくウイルスを含む感染症に抵抗力を長く維持できる。統計的、疫学的な感染率、死亡率を各国で比較すると見えてくるものがある。東西ドイツではBCGの株が異なっていた。西ドイツ–西ヨーロッパ株、東ドイツ–ソ連株。いずれも1998年に中止したが死亡率は西が東の3倍以上でベルリンはその中間。BCGを早期に中止した西欧は軒並み死亡率が高いが、ポルトガルはスペインの隣国なのに死亡率が低い(ポルトガルは実施している)。またイランとイラクも隣国なのに死亡率は1桁違う。イランは現地株を用い、イラクは日本株を用いている。当然イラクの方が死亡率は低い。
これらのことより、オーストラリアをはじめ4か国はハイリスクグループである医療従事者と高齢者を対象に臨床研究を始めるとのことだ。黒木先生は医療従事者に対し、介入実験を開始しブースター投与すべき、と提言されている。
しかしながら国からの通達では、BCGは量も少なく、コロナへの効果は不明であり、高齢者への安全性も不明で、大量生産はできない、乳児への資源を枯渇させないために一般への投与はできない、としていますので医療機関へ出向いても注射できませんので、念のため。
ただ、折角素晴らしいかもしれない日本株(ソ連株と共に著しく生菌数が多い)を持ちながら何故先頭に立って臨床試験をやらないのでしょうか。
❖死亡者数は実際はもっと多い(かもしれない)・・・日本のデータの不正確性を示されたが、これは何も日本に限ったことではなく程度の差こそあれ、各国つかみ切れていないようだ。New York Timesの記事では今年の春(3-4月)の死亡者数が過去の平均と比べて、急激に増加していて、実際は発表された死亡者数の50%は多いかもしれないということだ。老人ホームでまとめて死んでいたとか、自宅での死亡はカウントされていないとかの記事をみるとさもありなん、と思える。国によっては意図的に隠蔽しているところもあるかもしれない。流石に日本ではそういうことはないと思うが、それでも亡くなってから陽性だったとか、他の肺炎と思われて、実はコロナで亡くなった例も散見され、千葉大法医学教室では死亡者のPCR検査も始めたようだから、日本の実数ももっと多いかもしれない。
【宮坂昌之先生】大阪大学免疫学者、免疫研究の第一人者
❖BCGの効果をみるには1000人以上の投与群を作り、長期に統計的に比較する必要性があり、これを新型コロナ予防に転用するのは現状では無理。やるならばBCGの代わりになる他のアジュバント(アラム、MF-59,AS-03など)の検討が必要か。
❖スーパースプレッダーは無症候性感染者の可能性が高く、2週間発症しないままに他人に感染させうる。1人から2~3人といわれるが、social distancingで異なってくる。従ってstay home,他と距離を置くことが重要。
ただ、ウイルスを封じ込めて死滅させることは不可能なのでこの疾患は集団免疫獲得まで終息しない。従って公衆衛生的な介入を行って封じ込めと感染の遅延・緩和の組み合わせで対処していくしかない。
❖免疫について、今は獲得免疫の話しか出てきていないが、それだけでは説明できないこともある。例えば、武漢は公称10万人の感染だが、人口1000万人のうちの100人に1人の感染率である。仮に10倍でも10人に1人の感染である。残りの9割以上は感染しなかったことになる。これには自然免疫の寄与があるのではなかろうか。人間には自然免疫機構もあり、こちらにも免疫記憶力があることが想定されている。抗体検査も始まっているが、どの程度社会の中に本当の獲得免疫があるのか、中和抗体だけではなく、メモリーT細胞(細胞性免疫)の測定も重要になってくるのではないか。
❖ワクチン開発はすでに欧米などでは臨床テストに入っている。しかし、市場に出るまでには長い年月がかかる。第1相が100人、第2相が数100人、第3相は数1000人のテストが必要で、再来年までかかると世界は苦しい状況に追い込まれる。またRNAウイルスは1本鎖なので変異し易い、ただ弱毒化するか強毒化するのか予想は難しい。他の4種のコロナウイルス(風邪ウイルス)、SARS由来ウイルス抗体が新型コロナに結合するというデータもある(交叉免疫)。但し、抗体は長く体内に留まらない(インフルエンザワクチンを考えるとわかるかも)。
❖ウイルスに罹らないようにするためには・・・3密を避ける事、体内時計を狂わさないこと、生活リズムを整えて保つこと、体を動かして免疫細胞が体中をくまなくパトロールするようにすること、ストレスを避けること。
【本庶 佑先生】言わずと知れたノーベル賞学者
❖PCR検査の数が断然足りない・・・一桁増やしていい。これは技術的な問題ではないと思う。制度上の問題だと思う。この検査は大学でもできる。技術者3人の組で1日100検体はこなせる。戦端がどこで開かれているのかわからずに鉄砲を撃てないとなれば医療崩壊は近い。PCR検査を否定されている方々がいる。偽陰性を増やすのは有害であると。陰性は意味のないことで、PCRの目的は陽性の場合だけを追いかけるもの。厚労省の目的は私の考えと初めから違うと思う。私は当初から、戦況を見極めるためという目的で使うべきだという主張だ。
❖出口戦略・・・感染はゼロにはならない。多くの人が不安を抱いているのは欧米のように沢山の死人が出る事、その恐れから解放されることを目指す戦略を立てるべき。すなわち治療戦略。ワクチンはその次の問題、うまくいっても1年以上かかる。さらにエイズ、インフルエンザの例をみるまでもなく、効くという保証はどこにもない。この手のウイルスのワクチン開発は経験からいって非常に難しい。新薬開発は間に合わない。既存のアビガンやHIVの薬などを全部使うべきである。極論をいうとそういった薬を総動員して「死なない状況」を作れば、自粛などすぐに止めてもいいくらいだ。保険適用外などこの非常事態になぜ使わないのか不思議。法律がないのなら作ればいい。また専門家会議の中に治療の専門家が少ないのが問題。臨床医を中心に再構成すべきだ。感染はあるが死人は一定の数に抑えられる、感染防御は続けるが外に出て経済活動をやる、というところを目指さなければ出口戦略は到底描けない。
主な治療薬候補
アビガンーーー抗インフルエンザ薬
レムデシビルーーーエボラ出血熱治療薬
カレトラーーー抗HIV薬
シクレソニドーーー喘息治療薬
フサンーーー急性膵炎治療薬
アクテムラ(トシリズマブ)---関節リウマチ治療薬
【白木公康先生】ウイルス学者、アビガンは富士フィルム富山化学と白木先生が開発した薬。白木先生は帯状疱疹などの抗ウイルス薬の開発にも関わり、千葉県の皮膚科の講演にも来ていただいた専門家。そのライブ講演の一端を(途中からしかみていませんので舌足らずかも。)
❖アビガン(ファビピラビル)は新型インフルエンザ治療薬として開発された。江川裕之、古田龍介先生、白木先生らが開発した薬とのこと。RNAポリメラーゼを阻害してゲノムRNAをできなくする薬で、アシクロビル(抗ヘルペス薬)の働きに似ている。ヒト精子障害や胎児毒性があり、妊婦には禁忌。核酸誘導体であるために高尿酸血症をきたすが、腎障害がなければそれ以外の際立った副作用はみられない。中国での臨床研究が武漢、深圳で実施され有効性が確認された。韓国では無効とのことだったが、(レムデシビルが1μMで効くのに対し、アビガンはその10倍の濃度でないと効かなかった)高濃度を使用すれば有効なので無効とはいえない。またアビガンは耐性ができにくいという利点がある。
❖新型コロナウイルス感染症では無症状でも肺炎があるケースが約50%あるとのことだ。帯状疱疹でもそうだが、抗ウイルス薬はできるだけ早期が効く。アビガンも6日以内だと有効で肺が白くなってからはむしろウイルス量は少なくなり、肺の炎症(サイトカインストーム、最近は静脈血栓症からのDICなどが本態かとの報道もあり)が主体となってくるので抗ウイルス薬の出番はなく、むしろ抗IL-6薬など、サイトカイン療法の出番となってくるとのことだ。これらのことは丁度サイトメガロウイルスに対するガンシクロビルの関係に相当すると思われる。
(実際アビガンが効いたという噂が先行し、一般で使って欲しいという患者さんが増えてきて困るせいか、国の公式見解ではアビガンの有効性はまだ確立されておらず、安全性も確立した薬剤ではなく、もう少し科学的根拠がでるまで「新型コロナにアビガンが効いた」という報道は差し控えて頂きたい、との見解が出されている。ただ、個人的には今は緊急事態で折角日本で独自に開発して、有効性が中国で(少ない症例で暫定的としても)認められた薬剤なのに、しかも諸外国には気前よく無償でどんどん供給しているのに、世界に率先して使用し日本の医学の貢献を拡げるチャンスなのに、どうして厚労省はこうまで慎重なんだろうと思ってしまいます。)
【島田眞路先生】山梨大学学長、前日本皮膚科学会理事長のオピニオン
山梨大学における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘い(第5報)
PCR検査体制強化に今こそ大学が蜂起を!
❖PCR検査独占の実態・・・途上国レベルの日本のPCR実施件数が日本の国際的な信用を揺るがすまでの事態に至っている。独自に作ったPCR検査実施状況の推移をみると3月24日頃まで国内のほぼ全てのPCR検査が、地方衛生研究所・保健所で占められていることが一目瞭然である。(この日に東京オリンピックの延期が決定されたのとの関連は偶然でしょうか。)一方それ以降からは徐々にそれ以外の実施件数が増えていっている。その要因は民間検査会社であることが解る。感染症対策専門家会議は「限られたPCR検査の資源を、重症化の恐れがある方のために集中させる必要がある」と表明した。ごくわずかな人員の衛生研究所・保健所では到底限られた件数しかこなせないのは当初から明らかだった、途上国レベルのPCR件数という大失態を招来したと手厳しい。講演会などでお世話になり、小生もよく知る世界的な皮膚免疫学者でNIHで研究した優秀な根っからの学者でありながら、皮膚科学会理事長を務め、山梨大学をリードする経営手腕もあるタフマンである。ただ、ここまで国に批判的な言動は大丈夫かなと一寸心配にもなりますが、国難を憂う熱情がそう言わしめるのでしょう。
❖日曜日に下がるPCR検査件数・・・PCR検査件数の推移をみると、毎週末に大幅に検査件数が低下している。未曽有の国難においてこの問題を行政機関のみに依存してきた体制がそもそも無理筋であった。現場の職員は必死に働きずくめであったことには疑いもなく、感謝こそすれ非難する気はさらさらない。
❖大学に期待される蜂起ー直ちに地方衛生研究所・保健所を救え!
4月に入ってからは安倍総理の発表もあり、ようやく検査件数も増えてPCR検査推進に向けて大きくかじ取りがなされつつある。各地方独自の体制構築もなされはじめている。今後の検査の担い手として期待されるのは民間検査会社と大学である。特に地方においては国立大学の他にこの役割の担い手はない。山梨大学は感染症指定医療機関ではないが、学長自らの指示で1月からPCR検査体制を強化し、20歳代の髄膜炎、乳児例の発見に貢献してきた。
未曽有の事態の今だからこそ、権威にひるまず、権力に盲従しない、眞實一路の姿勢が全ての医療者に求められている、と熱い。
【吉村昭彦先生】慶應大学免疫学者、そのブログはフォロワー多数。
❖慶應大学病院のPCR検査で「コロナ感染症以外の治療を目的とした無症状の患者さんのうち5.97%の陽性者(4/67)が確認されました。」と公表された。サンプル数が少ないとはいえ、無症状の人の6%がPCR検査で陽性(現在感染している)ということ。(勿論この慶應大学のデータが即東京都全体の縮図とは言えないのは当然とはいえますが)、それを敷衍すれば東京都の人口1000万人のうち60万人が感染していることになる。さらにすでに感染してウイルスが消えて抗体を持っている人の数はさらに何倍もの数に上るかもしれない。これは早々に抗体検査をすべきだろう。(厚労省も早速献血からのサンプル検査を開始したというが、その価値は十分にある。)
❖もしも抗体を持っている人が相当多く集団免疫が(かなり)できているとすると、あるいは無症状の感染者が相当数多いなら強力な封鎖はあまり意味がないかもしれない。「若い人は普通に生活して経済活動を再開しどんどん免疫をつける。65歳以上および基礎疾患のあるひとは厳しく外出を制限したり接触に十分注意する。万一感染して症状が出たらアビガンなど抗ウイルス剤を早期に投与する」でいいような気がする(スウェーデン方式+ハイリスク集団は隔離方式)。PCR検査は症状のあるひと、および65歳以上あるいは基礎疾患のあるひとのみでよくて(今までと違って熱がでたり疑わしいのはすぐにやる)、むしろ抗体検査を中心にして高齢者でも免疫が成立したひとは外に出て良いことにする。もちろん医療関係者は一番に抗体検査を行う。
❖極論すれば「封鎖して感染を減らす」か「一部解放して集団免疫をめざす」の間で、どちらが死者が少ないのか、どちらが早く終息するのかということだが、専門家が実測に基づいて数理シミュレーションをして最もいい方法を提示すべきだ。いずれにしてもできるだけ事実に基づいて科学的、合理的な考え方をすべきである。
❖ 重症な人や死亡者が他の国に比べると極端に少ない理由の一つとして、京大の先生のいうように弱いS型がすでに蔓延していたためかもしれない。ーーー新型コロナにはS型と感染力の強いL型があり、京都大学の上久保靖彦教授は「S型がL型よりも早く昨年末から中国から伝播し、日本の一部で蔓延し部分的な抵抗力を与えた。そのためにL型にも部分的な集団免疫を付与している。」との報告をした、とのことです。

それぞれの先生方の言説をつまみ食いして、書き出しその本意から外れた書き方をしたかもしれないのが心配です。それに状況は日々刻々変わってきていますので、書かれた日付によっても主旨が変わりえます。できれば各先生の元データ(大体示しましたが)を確認していただくことを勧めます。
4月25日の読売新聞に永田和宏先生(歌人、細胞生物学者)の「ウイルス どう共生するか」という記事がでていました。(永田先生のことは当ブログでも以前に取り上げたことがあります。)
100年前に流行したスペイン風邪の歴史から学ぶことは・・・情報の隠蔽が感染を拡大させた。新型コロナウイルスにしても情報開示がいかに大切かがわかる。人間はウイルスとずっと共生してきた。ウイルスを撲滅しようとしても駄目で、いかに共生をはかるか。ウイルスとの共生はいまだ道なかばかもしれない、と述べています。また歌人の斎藤茂吉は<寒き雨まれまれに降りはやり風邪衰へぬ長崎の年暮れむとす>と他人ごとのような歌を詠みましたが、自らが感染した後では<はやりかぜ一年(ひととせ)おそれ過ぎ来しが吾は臥りて現ともなし>と切迫した歌になりました。生死の境をさまよったといわれています。
同世代で先日亡くなった志村けんのことといい、身につまされます。そういえば志村動物園の最後にチンパンジーのパン君が、どうしても別れたくなくて何度も彼の許に駆け寄り、その度に彼がパン君を優しく抱きしめていた姿が瞼に焼き付いています。ずっとバカ殿ばかりのお笑い芸人と思っていた自分の不明を恥じました。5月1日からはNHK朝ドラ「エール」に音楽家役で最期の出演をするそうで、楽しみです。

追記
今朝(4/30)のBBC NewsをみたらWhy is there so little coronavirus testing in Japan?
Coronavirus: Japan’s low testing rate raises question
という記事が出ていて、実際に東京に住む外国人のケースが紹介されていました。4月10日から何日も発熱と咳が続き(ガイドラインに従って4日待ったあと)、ホットラインに電話した。具合が悪ければ救急に連絡して、といわれた。15日にクリニックでX-Pを撮りコロナが疑わしいから自宅待機といわれた。翌日夜息苦しさが増し友人が病院に連絡した。電話口でも咳と息苦しさで彼女の声がよく聞き取れなかった。救急隊が病院を探すのに2時間かかり、その間状態はどんどん悪くなっていった。病院ではレントゲンを撮りコロナが疑わしいので地区のPCRセンターに行くように言われただだけで、紹介状は渡されずタクシーで(窓を開けるようにいわれ)自宅へ帰された。17日に投稿者(米人の通訳)はPCR検査センターに電話し、あちこちの部署を2時間も回され、質問表に回答させられ、最後に患者の友人へのアポイントが取れた。しかし検査所は裏口から入り、混乱を避けるために検査の場所は決して口外しないことと念を押された。このような事例がSkypeを通して報告されていました。4月10-17日の話ですからそんなに以前の話ではありません。慶應大学のPCR 6%陽性のことも書いてあり、日本では公称の20~50倍の感染者があるのでは、との専門家の見方もでていました。
最近の報道ではPCR検査数を増やすべく、保健所を介さずに地域ごとの医師会などによる独自の取り組みが始まっているが、広くそのことが地域住民に周知されていない、とありました。このようなことは、末端現場の対応も問題かもしれませんが、そもそも厚労省の制度設計にも問題があったとの専門医からの指摘もあります。しかしテレビの専門家の解答はなにかぬるい感じを受けました。本来ならばこの分野こそ、国が率先して全国的に安全かつ迅速な体制を構築すべきだった(今からでも)とは各専門の先生方が力説しているところです。
やはり、事実に即したしっかりした対応をしていかないと、どんどん日本国自体の信用を失っていくと思います。

コロナパンデミック

新型コロナウイルス感染の勢いは留まるところを知らず、全世界は悲惨な状況になってきています。諸外国に比べて、比較的うまく伝播を抑え込んできたかに見える日本もこのところ雲行きが怪しくなってきました。大都市を中心に患者数はうなぎ上りで、ついに昨日は西浦博・北海道大学教授が、「感染を防ぐための行動制限を何もしなかった場合、国内で重篤になる人が85万人、死亡者が42万人になる。」との衝撃的な予想を発表しました。これはあくまで、何もしなかった場合で、個人的な予想であると断っています。あくまで最悪のケースで、敢えて外出自粛などの危機感の少なさに警鐘を鳴らす意味合いもあったかもしれません。しかし、素人の単なる憶測ではなく、厚労省のコロナ対策班の重鎮の言葉であるのは、衝撃的です。
医療現場からはすでに医療崩壊は進行中であるという切迫した訴えが上がってきていますが、政権中枢からは、経済の麻痺をさけるためか、医療にたいする切迫した動きはなく、今一つ危機感が薄いようにみられます。
最近は、診療も交代制にして減らして、自宅にいることが多く、電車も乗らず、車移動で、自宅周辺の田んぼや公園、小川沿いの散歩が日課になってきました。人通りも少なく木々は芽吹き、桜は咲き乱れて一見のんびりした田舎風景です。時折散歩やジョギングの人と行き交う程度です。しかし気持ちは晴れません。結構時間はあるはずなのに何をするともなく、やはり気になってコロナ関連のテレビをみたりネットをみたりで鬱々とした日々を送っています。
小院でも皮膚科ではありますが、患者さんの中にはせき込む方もあり、緊張します。熱はありません、私はコロナではありません、と言われたりしますが検査なしでは無論分かりません。大部前にフェイスシールドマスクを発注しましたが、まだ届いていません。仕方なくビニールシートを買い、手製のフェイスガードを作りました。日々緊張の診察が続いています。
日本のこれまでの対策はクラスターの発見、クラスターつぶしに重点をおいたそうです。そして、今はステージが変わってきたとしてPCR検査を強化して機器導入や簡易検査などで検査件数を増やし、ドライブスルー方式の検査も検討中であるとの報道です。一寸というかかなり遅すぎる感があります。検査拡充できない理由をいろいろと聞かされてきましたし、医師や具合の悪い患者さんがさんざん保健所から断られてきたニュースも耳にしました。しかし、国は適正に検査は行われているとの報道でした。そうして、人々も医師も誰がコロナか分らず市中のみならず医療現場でも感染が拡散し、今は正に疑心暗鬼の状態に陥ってきているように思われます。
初動の対策で対照的だったのが韓国でしょう。PCR検査でドライブスルー方式をとり、徹底的に感染を洗い出そうとしました。現在までの状況をみると韓国は第一波の感染爆発をうまくコントロールできたように思われます。結果論で申し訳ないですが、日本ももっと初動のPCR検査を徹底すべきだったように思います。ただ、欧米のように徹底して行ってもパンデミックを阻止できなかったし、PCR検査で間違いや、却って感染を広げてしまうといったネガティブな意見もありました。だったら何で今頃、やっと検査を強化と言い出すのだろう、と愚痴ってしまいたくなりますが。各国の検査実施件数の比較(人口1000人当たり)が新聞にでていました。イタリア、ドイツが約16件、韓国10件にくらべ日本の0.61件はあまりに少なすぎます。無論検査はむやみに全員希望者にやるのは無駄で、症状のある患者、特に医療現場では検査し、感染の有無をはっきりさせるのが肝心でそうでないとどんどん院内感染は拡がっていくでしょう。
諸外国では日本の検査数があまりに少なく、新型コロナの感染実数はあてにならないとされています。巷でも感染実数は感染者周りの不顕性感染者を考慮すると発表の数倍から学者によっては10倍位いるだろうとされています。そうするとヨーロッパ各国に近い感染者数があるのかもしれません。ただ、日本の特異なのは新型コロナウイルス感染による死者の数の少なさが際立っていることです。こちらはさすがに隠蔽できないでしょうから本当でしょう。
この本当の理由はまだわからないようです。慶應大学の免疫学者の吉村昭彦教授のブログによるとHLAの人種差かもしれないし、巷ではBCG接種の有無(これは医学的には証明されておらず、公的にはコロナ予防のためのBCG接種はできません。)なども関係するかもしれない、しかしそれでも説明できない例も多く、初期のクラスター潰しが奏功し医療崩壊を免れて手厚い看護が得られたため、などとの推論がありました。しかし最後に「感染経路がわからない例が爆発的に増えつつある今後はどうなるかはわからない。」と結んでありました。
どうなるかは誰にも分かりませんが、何としてもヨーロッパや米国のような医療崩壊による未曽有の死者が増えないことを祈るばかりです。