創傷被覆材「ラップ療法」などの注意

最近、日本熱傷学会のホームページに2012年11月5日付けで いわゆる「ラップ療法」に対する日本熱傷学会の見解 という一文が掲載されました。その概略を下記に載せます。  「近年、食品用ラップに代表される非医療材料を用いて熱傷創を湿潤環境下に管理する局所治療法が一般市民ならびに一般の医療従事者向けの情報の中に見られるようになった。しかし、このような治療法を行う場合には常に感染の発症に留意することが必要である・・・この情報を鵜呑みにして、未熟な管理を行った結果、感染症を起こした例や重篤な全身性の敗血症に陥り死亡した症例もある。」 「日本熱傷学会としては医師が熱傷治療において非医療材料を用いることは厳しく制限されるべきであると勧告する。とくに、感染に対する抵抗力が弱く、一部の細菌が産生する毒素に対する抗体を有しない乳幼児においては、重篤な症状が引き起こされる危険性が高く決して用いてはならない。」・・・とあります。
 近年、熱傷のみならず擦過傷(擦り傷)、褥瘡(床ずれ)などにラップ療法を勧める記事を散見します。これは傷を治すのに湿潤環境が大切だという、moist wound healingの理論が根底になっているものと思われます。 ラップだけではなく、近年はポリウレタンやハイドロコロイド等を材料とした創傷被覆材が街の薬局でも購入できます。これらの治療材料を使う時には感染がみられない傷に使うこと、感染が見られたら使用を中止すること、などの注意書きがあります。 ただ、素人がこれを判断するのは難しいこと、また創傷面が外から見えにくいために感染兆候を見逃し易いことなどで、傷が感染し悪化しているケースがよくみられます。 ひどいものでは医療従事者が「とびひ(伝染性膿痂疹)」の傷にこれらの創傷被覆材を勧めているケースもあります。そもそも擦り傷、切り傷で感染が全くないケースは少ないと思います。 「ラップ療法」もそうですが、市販の創傷被覆材「キズXXXパッド」なども、感染した創には使用してはいけないことを再確認する必要があろうかと思いました。 以前、ブログにも載せましたが、創傷被覆材で傷の化膿を引き起こし悪化した例の写真を再掲して注意を喚起したいと思います。    ただ、この文の趣旨は感染した創には「ラップ療法」や創傷被覆材は不適当ということで、傷の治療に湿潤環境が必要であるということは当然であり、それを否定するものではありません。創傷被覆材貼付.jpg創傷被覆材で感染悪化.jpg

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)