エピペン補遺ーー食物アレルギーの不幸な事件

昨年の12月14日のブログにエピペンの事を書きましたが、最近小学校の女児が給食の乳製品が原因のアナフィラキシーで死亡するという不幸な事件が起こりました。死亡に至った経緯・原因は精査中とのことですので、あまり断定的なことはいえませんが、個人的に感じたことを少し述べたいと思います。
報道によると、女児には乳製品に対するアレルギーがあったとのことです。給食の後しばらくして女児は気分が悪くなり、担任の教師が女児の持っていたエピペンを「これを打つのか」と聞いたところ、「打たないで」と答えたそうです。(20分後?)。結局校長先生がエピペンを打ったのが40分後位とのことですが救急隊が到着した時は心肺停止状態だったとのことです。
アナフィラキシーの際に一刻も早くエピネフィリンを筋肉注射するのが必要なのですが、素人が病態を見極めて打つタイミングを判断するのは結構難しいものなのかもしれません。(多分小生のような一般の医師でもボスミンを使うタイミングは難しいかもしれません。)ただ、救急の場合は時間が勝負ですので、学校などでは繰り返し講習会などする必要があるでしょう。それに緊急の際には一人だけで判断せずに、できるだけ多くの関係者を呼び集めることが必須だそうです。そのためにも普段から医学的知識のある養護の先生、校長先生など複数の人が話し合い迅速にエピペンを使う、救急隊を呼ぶ体制、シュミレーション作りが必要でしょう。
 当院ではエピペンを処方した患者さんが、1年無事で使用しなかった時は返却してもらっていますが、その際一緒に段ボールなどに注射して練習してもらっています。印象では針が結構太く、飛び出しナイフみたいに出てくる針には一寸引いてしまいます。開発の経緯がアメリカで、しかも服の上からも打てるように、とのことのようですが、もっとエレガントなスマートなものにならないのかな、と思ってしまいます。
それに、出てくる液は0.15ないし0.3mlのみで1ml以上は残存します。救急の成書には効果がなければ5~10分ごとに追加するとあります。医師の指示ででも追加注射できるようにはできないのでしょうか。
 さらに、救急ではよくABCDEの語句が使われます。(欧米人はこれが好きなようでメラノーマの診断でもABCDEがありますが)
A:airway 気道確保
B:breathing 呼吸
C:circulation 循環
D:disability(dysfunction) 中枢神経機能障害
E:exposure 暴露(服を脱がせるなどして、障害部位の見落としがないかチェックする)
D,Eはともかく、A,B,Cはどの救急でもまず必須です。すなわち、循環不全と共に、呼吸不全、気道の閉塞の評価が最重要項目です。アナフィラキシーで喉頭浮腫によって気道閉塞が起こると5分が生死の分かれ目だといいます。
人工呼吸など慣れていないと無理でしょう。息がつまっているようなら救急隊、あるいは救急の医師にホットラインで繋ぎ、指示を仰ぐ体制はできないものでしょうか。
本当に間に合わなければ、喉頭に18G位の太い針を何本か刺せば急場はしのげるそうです。(輪状甲状間膜穿刺)
医師の指示の基に養護教諭、救急隊員などがもっと踏み込んだ救急処置ができる体制ができると良いかと思いました。
(ただ、この文は救急と学校の現場を知らない者の書いた一皮膚科医の意見ですので的外れな記述があるかもしれません。)

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