にきびQ&A(11)間違いやすい病気

Q:にきびに似て非なる疾患はありますか。
A:顔にできる病気はすべて鑑別の必要がありますが、主なもの、気をつけねばならないものについていくつか述べてみたいと思います。

1) 酒さ
いわゆる赤ら顔のことです。ニキビに似た症状を呈しますが、面皰はありません。色白の白色人種に多く、白人では全人口の10%にも及ぶといわれています。極めてポピュラーな病気と言えます。それに比べて本邦での酒さの認知度はまだ低いように思われます。教科書の記述も欧米の本に比べると簡略です。しかしながら日本でも中高年の女性を始めとして赤ら顔に長年悩んでいて、ほぼあきらめている人もあるようです。先年、日本皮膚科学会東京支部総会で千葉中央皮膚科の田辺先生が酒さのレビューをされましたが、多くの皮膚科の先生方が見に来られて盛況でした。むしろ開業医などの実地医家のほうが患者さんから相談されて困っていることが多いように思われます。長年皮膚科専門医に罹りながら酒さの診断、ケアを受けていなかったケースも多いとの話でした。酒さの診断の難しさ、明確な診断基準のなさ、原因の不明さなどがその原因となっているようです。
ただ、近年酒さについて新しい知見、治療手段も出てきているようです。
このニキビの記事が終わったら、少し酒さについて書いてみようと思っています。

2) 好酸球性膿疱性毛包炎
かなり稀な病気ですが日本人には時々見られる病気です。(海外からの報告例も増えてきています。)京都大学教授故太藤(おおふじ)先生が世界に先駆けて報告した病気なので、かつては大藤病と呼ばれることもありました。主に顔面にニキビ様、あるいは白癬(ぜにたむし)様に浸潤のある堤防状に輪を描いたような配列に膿疱が並ぶので上記の病名がつけられました。
特徴的なのは血中や、皮疹部の組織中に好酸球が多くみられることです。
ただ、発疹は顔面だけではなく、体や手のひらにもみられることがあります。手のひらには毛包がありませんので、上記の病名は不適当だとして、好酸球性膿疱性皮膚症と呼ばれることもあります。残念ながらその原因はよくわかっていません。近年はHIV(エイズ)患者に伴ってみられることも多いために注目されています。
原因は不明ですが、インドメサジン、ミノマイシンが著効を示すことも特徴です。
膿疱は無菌性で、膿疱の原因は感染によるものではありません。

3) 顔面播種状粟粒性狼瘡
Lupus miliaris disseminatus faciei : LMDF
かつては病理組織の結果から(乾酪壊死性肉芽腫)結核に関係のある病気と考えられていました。現在ではそれはほぼ否定されており、酒さの中で肉芽腫を形成する特異なタイプの一亜型と考えられています。ただ、一部の学者は酒さとも異なる別な病気と考えているようです。臨床上の特徴はニキビと異なって眼瞼部にも良くできることです。ニキビはむしろこの部分は避けてできません。
粟粒大から麻実大で紅褐色ないし黄色の丘疹や膿疱がみられます。口囲など眼瞼部と異なる部位にもできることがあります。
またガラス板で皮疹部を圧すと黄色い色が残って透けて見えます。これはこの疾患に特徴的で診断の手助けになります。治療は酒さ、ニキビに準じますが、難治です。2,3年うちに瘢痕を残して治癒することが多いようです。

4) マラセチア毛包炎
毛包一致性の丘疹・膿疱が若者の胸背部にでき易いです。ニキビと異なって面皰は認められません。形のそろった紅色丘疹が孤立性に多発するのが特徴といえます。そういう意味ではステロイド痤瘡とよく形態は似ています。勿論マラセチア毛包炎ではステロイドの使用は関係ありません。マラセチアは、かつてはパーカーインクで染まりましたが、現在のものは染まりません。コットンブルー、ズームブルーなどで染色しますが染まりにくく、癜風菌と異なりマラセチア酵母の形で菌糸型をしていないので、見つけにくいです。
実はステロイド痤瘡には多くのマラセチアが認められるということも言われており、ステロイド痤瘡のかなりの部分はマラセチア毛包炎とダブルという考えもあります。

その他に下記のようなニキビに似た病態、特殊型もありますが説明は省略します。
*毛包虫性痤瘡
 ニキビダニによって起こるもの
 硫黄製剤、メトロニダゾールが効果的

*新生児痤瘡
 新生児が母親から性ホルモンをもらって一時的に起こるもの

*Favre-Racouchot Syndrome
老人の光老化によって起こるもの

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