マダニによるウイルス感染症(SFTS)

最近、マダニを介して感染する新型のウイルスが引き起こす重症熱性血小板症候群SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome) の報道がありました。
今まで聞いたこともなく、皮膚科の本にも載っていません。
新聞報道によると、2011年に中国で初めて特定されたウイルスによる病気で、7省で数百例の報告があり、致死率は12%とのことです。SFTSウイルスはダニを介して起こるクリミア・コンゴ出血熱と同じ科に属するとのことです。
日本国内での死亡例も3例あり、国立感染症研究所の遺伝子検査でSFTSウイルスの遺伝子が確認されたとのことです。ただ、中国のものとは型が少し異なっていて、専門家は元々日本に存在していたものだろうと推定しています。
それでは、過去にも同じ様な症例があったのだろうか、そういった例は何と診断されていたのだろうか、という疑問は残ります。考えられるのは、何らかの原因でウイルスが遺伝子変異を起こしてヒトへの病原性を獲得したのかもしれません。
ただ、ダニにかまれても全て発症するわけではないので、必要以上に怖がることはなく、気付いたらすぐに皮膚科を受診するように、との専門家のコメントがありました。
節足動物門、ダニ目のうち比較的大型の一群(後気門亜目・・・マダニ亜目)をマダニと呼び、イエダニやツツガムシやヤケヒョウヒダニなどのコダニ類とは区別します。コダニ類はは0.5~1mm程とごく小さいものです。マダニは3,4mm以上で吸血するともっと大きくなります。日本ではマダニ科とヒメマダニ科の2科があり、約10~20種類のマダニが人体に寄生します。
そのうち、ヤマトマダニが最も多く、シュルツェマダニは細長く、脚も長くライム病ボレリアを伝播します。他にタネガタマダニ、カモシカマダニ、フタトゲチマダニ、タカサゴキララマダニなどが人体に寄生するとされます。SFTSの宿主はフタトゲチマダニだそうで、全国の野山に広く分布しているそうです。
これらのマダニの鑑別同定は医動物の専門家でないと難しく、普通虫体は3mm程度が多いが、吸血によって急速に増大し時に20mmにも及ぶそうです。色も種々のものが、吸血によって赤褐色、黒色に変化するそうです。虫体は口下片を皮膚に深く刺入し、黒色の有茎性の疣のようにみえます。無理に引き剥がそうとすると、口下片が皮膚内に残ってしまい病原体を残すことにもなり、また異物肉芽腫を作ったり、二次感染をおこしたりします。ただ、チマダニ類は口下片が短く、指で容易に取れたり、自然に脱落することもあるそうです。
まず気づいたらグリセリン、ワセリンなどを塗り、マダニの気門を塞ぎ、酸欠状態にして自然脱落を待ちます。それでも脱落しない場合はなるべく早く皮膚科を受診して、周りの皮膚を含めて皮膚切除をしてもらうのが確実です。
今までマダニが媒介する病気は日本紅斑熱という、ツツガムシ病に似たリケッチャによる感染症と、ライム病という遊走性紅斑や筋肉痛、強皮症などを生じるスピロヘータ・ボレリアによる感染症、野兎病位しかありませんでした。それで、しっかり切除して、テトラサイクリン系の抗生剤を使用すればまず上記の発症を防ぐことができました。
しかし、これからはSFTSのことも考慮する必要性がでてきたということです。

一般の注意、対処としては野山、草むらに分け入る時は、なるべく長袖などで、素肌を晒さないこと、地面で寝ころがらないこと、帰宅後は無症状のこともあるので、ダニがついていないか入浴時によく確認することなどが大切です。マダニは吸血すれば赤黒く大きくなるので見つけ易いそうです。
マダニ咬着後24時間以内に除去すると感染する確率が低いそうですが、SFTSではどうなのでしょうか。しかし、早期に発見して除去するのがベストでしょう。
ダニが見つからなくても、刺し口がみられることもあります。ツツガムシ病では1cm内外の黒色痂皮をつけたものがみられますが、日本紅斑熱では刺し口はもっと小さく、不明な場合もあるそうです。SFTSの場合も刺し口が不明の場合もあるそうです。
それで、野山に分け入ってから風邪症状、高熱が数日続けば早めに病院を受診すること、ダニの刺し口がないか探すこと、受診した際に、行動歴を告げることが大切かと思います。紅斑、紫斑があれば更にこれらの病気を疑わせます。重症になると、血小板が減少して多臓器不全になって不幸な結果になってしまうこともありますが、早期ならば補液、輸血などの対症療法で改善させうるとのことです。

読売新聞2月15日の記事を参考にしました。

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