にきびQ&A(7)光線治療

ニキビの光・レーザー治療に対する、日本皮膚科学会のガイドラインでの評価はC2となっています。すなわち行ってもよいが、設備の問題、本邦での検討が不十分であり、保険適応がないことから推奨はしない、ということです。これはまだ検討が不十分ということで効果がない、ということではありません。ただ、日本人での十分な検討がなされていないということで、予期せぬ副作用もありうるということですので、自己責任の上で施術を受けるということになります。 当院ではレーザー療法は行っていませんので、やはり専門書の受け売りということになりますが、できる限り客観的、ニュートラルな記述に努めて書いてみたいと思います。
Q: ニキビの光線治療にはどんなものがあるのですか。またどのようにニキビに効くのですか。 A: 青色光、赤色光、ALA-PDT療法、レーザー療法(V beamなどの色素レーザー)などがあります。またニキビ痕(瘢痕)に対してはフラクショナルレーザー療法があります。 どのような光線がニキビに有効なのか、どのような機序で効くのかについては、明確な解答はまだありません。 ただ、明確な解答の一つはニキビ菌(Propionibacterium acnes)がその代謝サイクルでポルフィリン体(主にコプロポルフィリンⅢ)を産生するので、それをターゲットにして光を当て、殺菌するという機序です。 その他の可能性としては、面皰形成、皮脂の産生、炎症・免疫に対する調節、改善効果です。最近は自然免疫としてToll-like receptorの関与が考えられ、実際にそれらを介して効果を現わすことを示唆する基礎データも集積されてきています。
A: 光線治療の機械にはどのようなものがあるのですか。 Q: 《青色光》   ポルフィリンは400~410nm(Soret帯)に強い吸収波長を持ちます。皮膚科診療現場でも、407~420nmに波長のピークを持つハロゲンランプを光源とする高出力ナローバンド青色光やLED(発光ダイオード)などが使用されるようになっています。LEDはIPL( intense pulsed light)やレーザー光線のように熱作用を利用したものではなく、光そのものの効果を利用したものといえます。青色光は最もポルフィリン体に良く吸収されるので、理論上最も有効ではありますが、皮膚への透過性が低い(波長が短い程透過性が低い、約1mm程度)という欠点があります。それで、青色光は軽症から中等症の浅在性の紅色丘疹や膿疱に効果があり、深在性ののう腫や結節を持つ重症例にはあまり効果はないようです。 《赤色光》 理論的には赤色光単独では、効果が少ないと思われますが、青色光より皮膚の深部にまで届きます。青色光単独より、青色光・赤色光の混合照射の方が効果が高いとのことなので、赤色光の何らかの効果もあるということです。最近はハンディタイプのLED照射器も開発されているようです。 《IPL》 ニキビに対するIPL( Intense Pulsed Light )の治療効果は十分ではないようです。ただ、炎症が鎮静化した後の赤色ニキビ痕(瘢痕)に対しては効果が高いそうです。早期からIPLを併用しているとニキビ痕(瘢痕)を残しにくいそうです。またIPLによる色調の均一化や美白効果で、ダウンタイムの少ないのは本邦の女性に好まれ利点でもあります。 注)IPLという名称はルミナス社の商標登録したもので、他社は様々な名称を用いた機器を販売しています。ただ、一般に専門書などでも「IPL」という語句が汎用されているようです。IPLは機器ごとにスペックが非常に異なり、また治療効果も術者によって非常に差があるとのことです。
Q: PDT療法とはどんなものですか。 A: 光線力学療法( photodynamic therapy :PDT)は光感受性のある物質を組織に取り込ませ、その後に光を照射することによって、光化学反応を引き起こし、活性酸素を発生させてその組織を選択的に破壊して治療するものです。 元々は、肺癌、胃癌、食道癌、子宮頚癌などの早期病変の治療として行われ、PDT療法は保険適用を受けています。皮膚科分野でも日光角化症、基底細胞癌などに応用はされています。ニキビにも有効性のあることが報告されていますが、残念ながら保険適用は受けていません。 ポルフィリン前駆体の5-アミノレブリン酸( aminolevulinic acid : ALA )は正常組織では毛包脂腺に集積します。これを応用してニキビを治療するのが、ALA-PDTです。 ALAは赤血球の成分である、ヘモグロビンの一部であるヘムの合成経路の前駆物質です。ちなみにヘモグロビンはヘムとグロビンから構成されます。 ALAは種々のポルフィリン体を経て、最終的にプロトポルフィリンⅨがフェロケタラーゼによって鉄と結合してヘムになります。 (これらの合成経路の中で酵素異常があると、種々のポルフィリン症を発症し、多くのものは光線過敏症を起こします。・・・これらについてはいずれ書いてみたいと思いますが) ALAそのものは、光感受性を持ちませんが、これが過剰に投与されると、プロトポルフィリンからヘムへと転換するフェロケラターゼという酵素が枯渇し、この生合成経路が滞り、プロトポルフィリンⅨ( PpⅨ)という物質が蓄積してきます。 このPpⅨは光感受性物質です。これをターゲットにして可視光線を照射します。理論上はPpⅨの最大ピークの励起波長の410nmの青色光が最も有効なのですが、これは深さ1mmまでしか到達しません。それ以上の深さでは630~635nmの赤色光を利用するのが効果的です。 光源機器は可視光線のうち、広域波長を出す光源の方が、単一波長を出すレーザー光源よりも照射野が広く、また安価でもあるので有利だということです。 実際の方法にはALA外用法と、内服法があります。 《外用法》 ・患部にALA軟膏を塗布する ・プラスチックフィルムで密封する ・アルミホイルで遮光する ・3~6時間後に軟膏を拭きとり、光線を照射する ・終了後にクーリングする ・48時間遮光管理する 術中、術後には刺激感、赤み、腫れ、水疱、一過性のかさぶた、ニキビの悪化、色素沈着なども起こりうるそうです。通常1週間以内には軽快、消失。 上記の方法は悪性腫瘍に対する方法に準じており、かなり手技が煩雑で長時間かかり、大変そうです。下田らも述べていますが、外用ALA-PDT療法は有効ではありますが、発赤、腫脹、水疱、膿疱、「反応性のニキビ」などの強い副反応が問題です。また長い待ち時間も欠点だと述べています。これよりALAの濃度を低くして、塗布時間を短くしたマイルドな変法も試みられているようで、至適条件の検討はまだこれからというところのようです。 《内服法》 内服法は外用法に比べて皮膚表面の障害が軽度で広範囲に施行できる有利さがあるそうです。 ・ALAを水・ジュースなどで内服 ・遮光された環境で4時間待機 ・光線照射 ・終了後適宜クーリング ・48時間遮光管理 ALA内服によるPDTは

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