日光角化症

先日、日光角化症の講演がありました。
太陽の紫外線がヒトの皮膚に癌を発生させる原因の一つであることは19世紀に既に分かっていました。また疫学的に皮膚癌は露光部に多く発生する、白色人種は皮膚癌が多い、太陽光線の強い地域に住む白人程発生頻度は高い、戸外労働者は室内労働者に比べて発生頻度は高い、ということも分かっていました。日本でも北海道から沖縄までの大学での調査がなされ概ね緯度に逆相関して皮膚癌の発生率は増加することが明らかにされています。そして、近年は日光角化症の著しい増加がこの調査から指摘されています。その原因として、まず人口の高齢化が挙げられます。また受診率の高さ、診断力の向上などもあるとされます。更に近年成層圏のオゾンは減少傾向にあり、フロンガスなどの化学物質によるその破壊が原因と考えられています。オゾンは紫外線を吸収する作用を持つので、その減少は地表の紫外線の増加につながります。特に南極オゾンホールに近いニュージーランド、オーストラリアなどではその影響は大とされます。
大腸菌などの研究により、細胞には紫外線や放射線によるDNAの傷を修復する能力があることがわかってきました。
ヒトでの紫外線と発癌、DNA修復機構の関係を確立したのは色素性乾皮症という紫外線に非常に感受性が高く、紫外線発癌し易い遺伝性の疾患の研究によるところが大です。(これについてはいずれ書きたいと思いますが)
 人間の細胞は紫外線によって細胞に傷を受けても修復します。それでも長期間光を浴びているとごく稀に正常に修復されず遺伝子変異が生じる事があります。近年癌抑制遺伝子p53の変異が発癌に関係していることが示されてきています。また免疫監視機構の低下、抑制も発癌へと繋がるとされます。
日光角化症は皮膚癌(有棘細胞癌)へと進行することもある前駆病変といえますが、最近手術だけではなく塗り薬でそれを治療する選択肢も可能になりました。(ベセルナクリーム)
いずれにしても、正しい診断が何よりも大切ですので心配な時は皮膚科の主治医に相談されることが重要です。
講演内容は「院長コラム」にまとめました。一寸覗いてみて下さい。

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