蕁麻疹(2)蕁麻疹とは?

蕁麻疹とは何か、ということについて述べてみます。

蕁麻疹は皮膚に突然蚊に刺されたような赤い膨らみが生じ、多くは痒みを伴いますが中にはちくちくした痛みを伴ったりもします。数時間で跡形もなく消えてしまうのが特徴です。一般的に24時間以内に消えてしまうものを蕁麻疹といいます。
中には蕁麻疹様血管炎や血管性浮腫のように24時間以上続くものもありますが、こういったものは例外的でめったにありません。
 大きさは1-2mmの小さいものから、手のひら大以上の巨大蕁麻疹もあります。
 皮膚の浅いところの血管が拡張し、血管の透過性が高まって血液中の水分(血漿成分)が血管外に染み出るために皮膚はみみず腫れ状態になります。血管性浮腫も同様な機序で起こりますが、これは皮膚の深いところ(真皮下層や皮下脂肪織)で起こるために腫れが主症状で赤みがないこともあります。かゆみは少なくむしろ痛みや灼熱感が主症状になります。
 これらの症状を起こさせるものの主役は皮膚の中にあるマスト(肥満)細胞というものです。特定の抗原(アレルゲン・・・ソバ、卵、カニなどの食物、薬、蜂など)が皮膚から直接、あるいは血流を通してマスト細胞に到達すると、細胞表面で抗原抗体反応を起こし細胞が活性化され、細胞内顆粒に蓄えられていたヒスタミンなどをはじめとしたさまざまな化学伝達物質を放出します(マスト細胞の脱顆粒)。ヒスタミンは神経に働き、痒みを生じさせ、血管を拡張させ、血漿成分を血管外に漏れ出させます。
 この抗原抗体反応はアレルゲンを摂取後すぐに起きるためにⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)反応と呼ばれ、IgEといわれる免疫グロブリンが抗体となりますので血液検査で調べることができます。IgE -RAST(Radio Allergo Sorbent Test) , アレルゲン特異IgE。
これは放射性アレルゲン吸着法といい、元々は微量物質の検出のためにラジオアイソトープ(RI)を用いた微量測定法を行っていたのでこのように呼びますが、現在ではほとんど酵素免疫測定法を使っているために本当はラジオイムノアッセイではありません。しかし慣用的にIgE-RIST(Radio Immuno Sorbent Test)(総IgE、非特異的IgE)、IgE-RASTという名称で呼ばれています。
 これらのアレルギー検査が正に皆さんが言うところの蕁麻疹の「アレルギー検査」に該当するのですが、いろいろと問題もあります。
スクリーニング的に調べたIgE-RASTで陽性になった抗原が必ずしも蕁麻疹の原因になっているとは限りません。例えば健常人でもダニ、ハウスダストなどいくらでも陽性の人はいます。またアトピー性皮膚炎の人などでこれらのスコアが高いと食物抗原など軒並み引きずられるように高値を示してくる人も見受けられます。
 それに調べる抗原が的外れな場合もあります。魚介類の蕁麻疹では魚そのものではなく、アニサキス抗原によるものが多く見られます。また小麦アレルギーでは小麦そのものを検査しても陽性にでません。ω-5グリアジン、グルテニンなどの検査が必要になってくることもありますし、お茶石鹸などによる加水分解小麦アレルギーであればグルパール19Sが抗原になっています。
 最終的には食物負荷試験、除去試験などで確かめるのですが負荷でアナフィラキシーショックなど起こす危険性もありますので専門施設での検査が必要になります。
 また食物依存性運動誘発アナフィラキシーという病態があり、小麦、エビなどに多いのですが,食べてその後運動をしたりアスピリンを飲んだりすることでのみ症状が誘発できる場合もあります。
これらについては過去のブログに書きました。
*食物アレルギーの臨床症状 2012.8.26
*食物による口腔アレルギー 2012.9.7
*茶のしずく石鹸 2012.10.7
*食物アレルギー・アナフィラキシー 2013.1.24

 それでアレルギー検査もなかなか一筋縄でいかないことも少し理解していただけたかと思います。
 ただし、実はこのタイプの蕁麻疹の占める割合は全蕁麻疹のうちのほんの数%といわれていて、それ程多いものではありませんし、発作のエピソードが比較的明確です。
 ではその他の多くの蕁麻疹はアレルギーではないのでしょうか。少なくともIgE依存性の特定抗原によるⅠ型アレルギー反応ではないそうです。
 Ⅰ型アレルギーでない場合にどのようなしくみでマスト細胞が活性化、脱顆粒するかについての仕組みはまだ十分に解明されていないそうです。

次回はいろいろな病型の蕁麻疹についてその特徴を述べてみたいと思います。

参考文献

秀 道広 ほか、: 蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン.  日皮会誌, 115, 703-715,2005

Allen P. Kaplan  Urticaria and Angioedema  pp330-343
Fitzpatrick`s  Dermatology in General Medicine 7th Edi. Vol. 1
Wolff  Goldsmith  Katz  Gilchrest  Paller  Leffell   McGrawHill  2008

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