2011年3月
乾癬に対する生物学的製剤の効果について

 先日、千葉市乾癬診療連携会で千葉大学の先生から乾癬に対する生物学的製剤の治療効果についてのお話を伺う機会がありました。
生物学的製剤とは培養細胞など生物のシステムによって遺伝子工学の手法で生成されたたんぱく質製剤で、ピンポイントで働くために、副作用も少ないとされます。抗TNF-α抗体製剤はその一つで、難治性乾癬の治療に優れた効果が認められ脚光を浴びています。
 TNF-αとはTumor necrosis factor-αの略ですが、体内で炎症を引き起こす物質の一つと考えられています。乾癬の原因はまだ解明されていませんが、乾癬病巣では正常皮膚ではわずかなこの物質が大量に増えており、これにより表皮細胞が増殖し乾癬の病像形成の一因になると考えられています。そこでこのTNF-αの働きを抑えることにより乾癬を治療できると考えられ、欧米で治療が始まりました。本邦でも2010年から使用が認可されましたが、乾癬患者する患者の皆さんの厚労省への働きかけで認可が早まったとのことです。
 実際に認可されたのは、TNF-α阻害薬であるアダリムマブ(商品名ヒュミラ)とインフリキシマブ(商品名レミケード)です。アダリムマブは皮下注射で、初回80mg,2週目以降2週に1回40mg皮下注射します。レミケードは2時間かけて点滴静注、次いで2週、6週後に注射し、以後8週間隔で注射します。
 7人の難治性の乾癬患者さんへの治療報告でしたが、総じて優れた効果をみせていただきましたが、また無効例もあり、副作用、費用などの問題点もありました。ただいままでどんな治療も効かなかった患者さんに有効であったことは画期的なことで将来に期待のもてる治療手段だと思いました。特にリウマチ様の関節症状を伴った例には特効薬とのことでした。

注意すべき点
今までの治療が無効であった重症の例にのみ適用となること。
この治療は免疫力を落とすので結核、その他の感染症に対する充分な注意、対策が
必要なこと、従って治療認可の施設は大学などの限られた機関に限られること。
稀にアナフィラキシー様の副作用の報告があるので初回は1,2日の入院治療が
必要であること。
治療費が高額であること。年間数十万円します。但し、高額医療の助成金制度が
あるので返金されますが、まずは支払う必要があります。
やはり、強力な薬剤だけあって、感染症、アナフィラキシー、予防投与の抗結核薬に
よる副作用などもあり得る。
 なんだか怖い印象がありますが、それだけ有効な夢の薬(言いすぎかもしれませんが)なので皮膚科学会も薬害を起こさないように大切に使って行こうという姿勢のようです。
 希望があれば主治医の先生を通して千葉大学に紹介してもらえば、大学は受け入れ歓迎とのことです