2011年3月
「お茶石鹸に注意を」

 昨年10月厚生労働省より、「加水分解コムギ末を含有する石けんなどによる即時型アレルギーに注意」との注意書が発表されました。上記の水解小麦末は、石けん、シャンプーなどの泡立ちを良くし、また、化粧品の保湿目的で加えられていることがあり、使用後に顔などが痒くなり、さらに感作されアナフィラキシーという、ショック症状を呈した例も報告されました。
 さらに症例が相次ぎ、皮膚科の雑誌を見ながらそんなこともあるのか位に思っていましたが、今日まさにそのような中年の女性の患者さんが受診されました。最近顔が、特に目の周りが痒くて困るとのこと。赤く腫れて湿疹・蕁麻疹様です。
患者さん:先生アレルギーの原因は何ですか。
私:「内心では・・・湿疹・蕁麻疹の原因はアレルギー性もあるし、非アレルギー性もあるし、環境要因もあるし、体質、寒暖、湿度、ストレス、光、食物、薬剤性(光接触皮膚炎もあるし)、花粉も関係するかもしれないし、ひょっとするとしもやけ、さらに膠原病(シェーグレン症候群など)かもしれずすぐにわかりません・・・などと思いつつ」かつて忙しく、中間の説明を省いて湿疹の原因はいろいろあって血液検査をしても解りませんよ、と答えて顰蹙をかったことが思い出されます。
 気を取り直して、これは湿疹の症状で、原因はいろいろありますが、顔に触れたもの、すなわち、クレンジング石けん、化粧品類のアレルギーが最も可能性があります、と答えましたがあくまで総論でその先はなかなか進まないのが常です。ですが、その患者さんは
患者:お化粧はほとんどしないし、クレンジングといっても私はお茶石けんしか使っていない、といいます。
私:はたと雑誌の記事を思い出し患者さんにお見せしました。すると記事の中の写真をみた患者さん
患者:あっ!私とまったく同じ石けんだ、しかも私と同じ目の症状だと申しました。そういえば、これを使うと悪くなるかも、と疑問が氷解したかのようでした。無論スクラッチテスト、パッチテスト、IgE などの精査をしていないので正確には解りませんが、藪医者からいきなり名医に格上げされたような感じでした。でもこれで治れば患者さんはもちろん、私もハッピーです。

 その後、さらに驚くことにその場にいた職員の内2名がお茶石けんを使っているとのことでした。カテキンに美白作用もあり、つるつるして良いとのこと。これはかなりの数の女性が使っていて、これからも健康被害が続くと感じました。
 なぜお茶石鹸に症例が多いのかは、よく解っていませんが、洗顔時に石鹸の成分が眼の粘膜に入ることは避けられず、粘膜は皮膚よりもアレルギー感作が成立しやすいのではと考えられています。さらにこれが重要なのは、潜在患者さんがかなりいるだろうということ、皮膚科医にもまだ必ずしも認知されていないこと、放置しておくと、小麦アレルギーが進展して生命に危険なアナフィラキシーショックになりうることでしょう

 加水分解小麦末は、お茶石鹸でも含まれていない製品もあり、逆に浴用剤、ヘアートリートメント剤・育毛剤などにも含まれているケースもあるので製品の表示をよく確かめて使用する必要があります。