2012年2月
日光角化症

  日光角化症

日光角化症についての講演会(講師:信州大学名誉教授 斎田俊明先生)がありました。高齢社会にあっては、長年の日光照射によって今後ますます増えてくると思われます。 高齢者の顔面など露光部の皮膚癌の前駆症といえる病変で、適切な診断と早期の治療が重要です。その講演の内容を以下にまとめました。

日光角化症は、長年日光、特に紫外線に当たり続けた顔、耳、腕、手背などに生じた皮膚の病気のことです。長期間治療せずに放置していると、その一部は皮膚がん(扁平上皮癌、有棘細胞癌)に進行することがあるために、注意が必要な病気です。

症状
その症状は、数mmから3cm位までの、表面がざらざらした平坦な局面で、色は紅色から褐色をしています。表面の性状はサンドペーパー様と表現されます。時に萎縮性となったり、逆に表面が鶏冠様に盛り上がって、皮角と言われる角化した角様になることもあります。

病因
どれくらいの頻度で癌になるかは、研究者によりまちまちで(0.1%から16%)、はっきりしていませんが、およそ1年間に8%程度が有棘細胞癌に進行するとされます。
中波長紫外線(UV-B)が皮膚に当たると細胞核のDNAが損傷され遺伝子変異が起こり、癌抑制遺伝子p53の変異が生じます。これは30〜40clone/cm2程で遮光によって消失しますが、ただ1/30万のクローンは日光角化症へ進展するとされます。
ここでも、免疫抑制などによりクローン選択が起こり一部が癌に進行します。

鑑別
鑑別する疾患は以下のものがあります。
脂漏性角化症(老人性疣贅)・・・境界がはっきりしていて、局面状に隆起する黒褐色調の病変です。日光角化症では境界は不明瞭で、赤みがあることが異なります。
尋常性疣贅(いぼ)・・・境界が明瞭で角化性の小丘疹としてみられ、表面が鶏冠状にぶつぶつしています。
基底細胞癌・・・灰黒色の腫瘤を形成しますが、角化はしませんし、表面にろう様の光沢があります。
悪性黒子型悪性黒色腫・・・黒色の斑を生じますが、赤み、角化は生じません。

治療
大きく分けて、外科的治療法と薬物治療法があります。
外科的治療法では、外科切除が確実ですが、局所麻酔が必要ですし、傷痕が残ります。
凍結療法は綿棒にしみ込ませた液体窒素で患部を凍らせて病変を取り除く方法です。
薬物療法では以前は抗がん剤の軟膏剤を患部に塗った後、ラップで覆う方法が行われてきました。この方法も効果がありますが、後でびらんが残ったり、再発することが多く見られました。
最近イミキモド(ベセルナ)というクリームが日光角化症治療薬として発売されました。この薬物は従来の薬物、液体窒素より再発が少なく、びらんも少ないとされます。多発したり、局面を作って境界がはっきりしないものの全体をくまなく治療するのに適しているようです。

診断
確実に診断をつけるにはパンチバイオプシーによる(麻酔下に病変部の一部を切り取る病理診断ですが、近年流用されるようになったダーモスコピーが有用です。熟練すればかなり良く診断できます。