2012年4月
白斑(白なまず)について

  白斑(白なまず)について

先日順天堂大学須賀教授の白斑の講演がありました。講演の内容を元に一寸調べてみました。
白斑とは俗に「白なまず」とも呼ばれます。皮膚の色素を作る色素細胞(メラノサイト)が表皮基底層で、減少、消失しているために病変部分の皮膚色が真っ白く抜けてみえる疾患です。体の一部分だけに生じる分節型や体全体に拡がる汎発型があります。
 その原因はよく解っていませんが、自己免疫疾患(甲状腺機能亢進・低下症、やエリテマトーデス、など)に合併することがあること、色素細胞に対する血中自己抗体がみられることなどから、特に汎発型では自己免疫が原因と考えられます。また神経の走行に沿ってできる型は末梢神経機能の異常が原因と考えられます。
白斑でまず気をつけることは、擦ったり刺激したりしないことです。ケブネル現象といって擦った部分に白斑が拡がるといったことがあります。
次にほくろの周りの白斑がないか注意してみることです。ほくろや、メラノーマ(悪性黒色腫)があると、免疫現象によって、母斑細胞、色素細胞の変性、崩壊がみられます。それによって白斑が拡大します。ほくろを切除することによって白斑の進行も止まることがあります。
また、白斑の患者さんで、汎発型の場合、自己免疫疾患などが隠れていないかどうか検査してみることが必要です。ちなみにマイケル・ジャクソンはこの汎発型の白斑に罹患していてまたエリテマトーデスにも罹患していたそうです。生前この白い色について色々な中傷があったそうですが、実はこの疾患の治療のために白くなったもので、白人になるための脱色ではなかったとのことで気の毒なことです。父方由来の遺伝的体質があったそうです。
白斑の治療は、種々のものがあります。

*日焼け止め・・・白斑部の日焼け、やけどを避ける意味と、日焼けによるケブネル現象を避ける意味があります。また健常部が日焼けすることによって、境目が目立つことを避けます。マイケル・ジャクソンの黒い服、サングラス、手袋もこの理由かと思われます。

*化粧、カバーマーク・・・顔などの露出部分がまだらに白くなった場合など、均一にする化粧品、メークアップ・カバーマークなどを使用またしばらくの間色素を保ってくれる薬品もあります。

*ステロイド外用剤・・・顔面の白斑に比較的良く効くとされますが、皮膚萎縮などの副作用にも注意が必要です。

*タクロリムス(プロトピック)・・・顔、首の白斑に良く効くとされます。外国ではこれと紫外線、エキシマライトの併用が効果的とされますが、本邦ではプロトピックは紫外線と併用しないことになっています。

*ビタミンD3軟膏・・・効果がある場合もあるとされます。ステロイド外用剤との併用がより効果的です。これは紫外線との併用は可能です。

*免疫抑制剤の全身投与・・・急速に進展する場合はステロイド剤の内服・注射が有効との報告もありますが、副作用に注意が必要です。

*PUVA療法・・・乾癬などに用いられる方法ですが、ソラレンという光感作物質を内服、または外用した後に長波長紫外線(UVA)を当て、色素を増強させる方法です。白斑では毛包の上半分は色素細胞が破壊されますが、下方では残存することが多く、そこから色素が再生するとされます。顔、体幹、四肢の体幹よりは良く効きますが、四肢末端はあまり効きません。また白斑辺縁部が濃くなって却って目立つこともあります。またソラレンの光毒性や強い痒みが生じることもあります。長期に亘ると光老化、紫外線発癌などのリスクに注意が必要です。

*NB(311nm)-UVB(ナローバンドUVB)療法・・・全身型の白斑に対しては、PUVA療法よりも効果が大とのことです。但し、6か月施行して無効ならばその後も期待はできません。

*Excimer(308 nm)エキシマレーザー療法・・・ナローバンドよりも180倍の強さの線量を有しています。週3回12週の治療成績が最も良かったとの報告があります。しかし初期線量は紫外線に過敏なことを考慮して低めの50−100mJから始めます。

当院でも最近、VTRACによるエキシマの治療を開始していますが、かなり良い結果を得ています。本邦では数種類のエキシマランプが発売されていますが、VTRACが最も強力で短時間照射で済みます。ちなみに100mJですとほんの1秒程度です。但し、コスト(1回340点すなわち3割負担なら1020円)と通院の大変さを考えると1,2週間おきがせいぜいで、もっと密に照射すればより効果はでるかもしれません。(当院のHP診療案内参照)

*脱色・・・Monobenzone(ハイドロキノンのモノベンジルエーテル)は欧米で脱色するのに用いられている唯一の薬剤だそうです。汎発型で全身の50%以上が侵されている場合には考慮されますが、メラニン毒性があり、刺激性アレルギー性の接触皮膚炎を起こすこともあります。

*分層植皮術・・・効果は大ですが、全身麻酔が必要なこと、取った皮膚、植えた皮膚いずれの部位にも瘢痕のできる危険性があります。

*吸引水疱による植皮術・・・陰圧で皮膚に水疱を作り、白斑部は表皮を剥ぎ取り、健常部の表皮を移植します。最も有効な方法かもしれませんが、施行できる専門施設は限られています。


汎発型のものや、手背のもの、出来てから時間のたったものなどはなかなかうまくいきませんが、顔、首、体幹部の白斑にエキシマランプを照射するのが、今のところ最も簡便で効果が上がる方法と考えています。
ただし、400回位が上限で、積算2000−3000Jも当てると光発癌の生じた例があるとのことです。ただ、1回当たり普通200−300mJ位ですから1万回分の照射量にはなりますが。