水痘
  水痘(水ぼうそう)

●病因
水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella-zoster virus:VZV)の初感染によります。飛沫感染、接触感染し、約2週間の潜伏期を経て水痘を発症します。治癒後には、VZVは知覚神経節に潜伏感染し、後に免疫力が低下した状況で再活性化されて、帯状疱疹を発症することがあります。
●疫学
1−5歳の小児に多いですが、成人でも発症することがあり、その場合は重症化し易いです。感染力は麻疹(はしか)、百日咳に次いで強く、家族内発症率は80−90%とされます。帯状疱疹も感染性はありますが、水痘よりは低いです。
毎年8月から10月には患者数は減少し、冬から初夏にかけて増加するパターンをとっています。(高い気温で感染力が低下することと、夏休みのために集団生活が長期に中断するという理由が考えられます。)
1987年以降、任意接種ワクチンとして1歳以上の水痘にかかっていない人を対象に行われていますが、接種率は30%程度と低迷しており、水痘の発生率は低下していません。出生数からワクチン接種者数を差し引いた数に近い80万人が一年間の推定患者数と考えられています。国による定期接種化が待たれる所です。
●症状
約2週間の潜伏期の後、発熱、食欲不振、不機嫌などの症状を伴って紅色丘疹、小水疱が多発します。頭部を含め、全身に多発しますが、四肢は比較的少ないです。水疱は膿胞となり膿を有するようになり、4-5日で痂皮(かさぶた)となりますが、新しい皮疹を次々に生じます。水疱は口腔粘膜や眼瞼結膜にも生じます。しばしば二次的に細菌感染を起こしてとびひ様となることもあります。 (図1,2)
1週間から10日で治癒しますが、軽度の瘢痕を残すことがあります。
成人が感染すると重症化し、水痘肺炎や肝炎、髄膜炎、脳炎を起こすこともあります。 (図3,4,5)
母体が妊娠20週までに水痘に感染すると、約2%の児に先天性水痘症候群を発症します。(瘢痕、骨、筋肉の低形成、白内障、小頭症、精神発達遅延など)
●治療
石炭酸亜鉛華リニメント(carbol zinc liniment:カチリ)、非ステロイド系外用剤、抗生剤(二次感染に対して)
抗ウイルス剤が用いられますが、保険適用のあるのは、アシクロビル(ゾビラックス)とバラシクロビル(バルトレックス)内服剤です。
発熱に対してアスピリン(アセチルサリチル酸)を使用するとReye症候群といって意識障害、痙攣、肝臓の脂肪壊死、急性脳症などを起こすことがあり、これは致命的となるので使用は禁忌です。高熱の場合はアセトアミノフェンを使用します。
●予防接種
1974年本邦で弱毒生水痘ワクチン(Oka株:岡という患児から分離されたもの)が開発され、その有効性、安全性が高く評価され、1985年WHOで最も望ましい水痘ワクチンと認定され現在全世界でこの株が使用されています。日本では1987年から任意接種ワクチンとして使用されていますが、残念ながら自国開発にも関わらず、欧米ほど普及していません。 免疫原性は高く、80−90%が抗体陽性となり、持続効果も長期に亘ります。しかし、問題点として、接種者の2−3割が3年以内に軽い水痘症状を発症するとされます。 (breakthrough varicella) oka株ではない、水痘の野生株による感染でごく軽症の水痘といえます。