破傷風
  破傷風

●病因
破傷風菌 Clostridium tetaniによる創傷感染症で、神経毒素によって症状が出現します。偏性嫌気性菌、芽疱形成性のグラム陽性桿菌で、土壌中に広く存在します。
●症状
 外傷などによる菌の侵入後、3日から3週間の潜伏期を経て発症します。破傷風、の語源はギリシャ語のtetanosで「突っ張る」という意味があります。全身の横紋筋が緊張し、中枢神経系、自律神経系の異常な興奮を示し、それに起因する症状が生じます。
初期症状としては、外傷を受けた側の四肢のこわばり、頭痛、肩こり、胸痛、全身倦怠感などが生じます。
その後、数日して開口・嚥下・発語障害や痙笑と呼ばれる苦笑いの表情、歩行障害などが出現します。
やがて、筋症状は全身に及び、全身性、間代性の筋攣縮、筋強直が起こり、海老ぞりの姿勢(後弓反張)、上腕屈曲、下肢伸展を起こします。また呼吸筋強直も起こるために筋弛緩剤を投与の上に、人工呼吸器の管理が必要となります。破傷風菌はテタノスパスミンと呼ばれる外毒素を産生しますが、これはメタロプロテアーゼという蛋白分解酵素であり、神経伝達物質小疱に結合する蛋白質を分解してしまいます。その結果上記のような筋攣縮が起こります。
無事この時期を乗り越えても、自律神経の嵐と呼ばれる血圧・脈拍の激しい乱高下や不整脈を起こす自律神経過緊張期を迎えます。
新生児破傷風は臍帯の切断端の感染から生じますが、殆どが発展途上国からの報告です。
●治療
・ヒト破傷風免疫グロブリン(HTIG)の筋注
・破傷風トキソイドワクチン
・メトロニダゾール静注
・筋攣縮や交感神経の管理
・気管挿管、気管切開など人工呼吸器の管理
いずれにしても、長期の人工呼吸管理、ICU管理、長期のリハビリを要します。
●予防
・破傷風トキソイドワクチン投与・・・1968年以降小児期にDPTワクチンとしてジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合ワクチンが接種されています。しかし、1995年以降は義務接種ではなくなり、推奨接種となったため接種を受けていない人もあります。
また、必要な血中濃度を維持するためには、10年ごとの追加接種が必要とのことですが、一般には行われていません。
・破傷風発症のリスクが高い場合はHTIGの使用、但し、これは血液製剤なので明確な使用基準はないとのことです。
●注意すべき傷
・泥、糞便などに汚染されている傷、特に畜産業などで馬などが多い地域は注意
・刺傷、銃弾による傷
・1cm以上の深い傷
・挫滅外傷、複雑骨折
・受傷後6時間を超えた傷
但し、20%は明らかな外傷歴がないケースとのことです。

国内での発生は年間約100例とのことです。