皮革・ゴムによる接触皮膚炎
  鞄、ベルト、時計バンド、靴などの皮革製品によるかぶれ(接触皮膚炎)は日常診療の場において多くみられる疾患です。
職業性接触皮膚炎として、製造工業従事者に見られる場合と、消費者にみられる場合があります。

原因
動物から剥いだ皮は、そのままだと固くなったり腐敗したりします。製品にする段階で、腐敗防止、耐水性、耐熱性などを得るために「なめし」という作業工程がなされますが、この際に使用されるさまざまな化学物質がかぶれの原因物質となります。
なめしの工程では、腐敗し易い動物の脂を取り除き、コラーゲン線維等を変性させ、柔らかくするために合成の脂を再度加えます。
なめしには、以前から使われていた植物によるタンニンなめし、多く使われているクロムなめし、グルタールアルデヒドやホルムアルデヒドによる白色皮革用なめし(wet-white)、アルミニウムなめしなどがあります。
また皮革製品には皮革染料、溶媒、接着剤、光沢剤なども用いられ時にこれらがかぶれの原因になることもあります。
同じ皮製品によるかぶれでも原因は多種多様あることになります。しかし、最も多いのはクロム(金属アレルギー)によるもの、次いでホルムアルデヒドによるものです。
最近は皮革製品の接着剤として使用される樹脂成分のPTBP-FRもかぶれ易く原因として重要視されています。
多くの原因物質があるわけですが、これらはほぼジャパニーズスタンダードアレルゲン(*印)に含まれていてパッチテストで検査することが可能です。。
《なめし剤》
*重クロム酸カリウム・・・金属なめし
*ホルムアルデヒド・・・白色皮革用なめし
《接着剤》・・・*松脂(ロジン)
ゴム系・・・加硫促進剤、老化防止剤
*PPD black rubber mix
*Thiuram mix
*Mercapto mix
*Dithiocarbamate mix
*PTBP-FR(レジン)
《皮革染料》
p-aminoazobenzene

診断
詳細な問診と使用している製品の部位と、その部位に一致した湿疹病変からある程度は原因が推測できます。
ただ、使用部位を越えて湿疹が拡大していると推測するのが難しい場合も多くみられます。(貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、接触皮膚炎症候群など) ある程度、原因が推測できたらパッチテストが有用です。
使用製品の小片や上記のジャパニーズスタンダードアレルゲンでパッチテストを行います。
パッチテストの反応には偽陽性、偽陰性があり、また検査することで新たに感作されたり、皮疹が増悪することもあるなどの問題点もあります。

症状
原因物質の接触部分に一致して比較的境界の明瞭な湿疹局面を認めます (写真1,2)
丘疹、小水疱、浮腫、紅斑、鱗屑などいわゆる急性湿疹の症状が主体ですが、慢性化し長期に亘ると色素沈着やごわごわした像の皮膚のような苔癬化を伴った慢性湿疹の症状を示すこともあります。また接触部位を越えて全身に皮疹が拡大することもあります。

治療
原因物質を生活の場から除去することが最も大切です。代替品を使用したり、綿やビニールの手袋などで原因物質を遮断することに努めます。
その上でステロイド外用剤、保湿剤の塗布、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤の内服を行います。重症の場合はステロイド内服などを併用することもありますが、副作用には注意が必要です。

参考文献
関東裕美 皮革による接触皮膚炎  皮膚科診療カラーアトラス体系
編集/鈴木啓之・神埼 保 講談社 pp88-9

松永佳世子 接触皮膚炎の原因にはどのようなものがあるか
 皮膚科臨床アセット 1 アトピー性皮膚炎 湿疹・皮膚炎パーフェクトマスター
 総編集◎古江増隆 専門編集◎中村晃一郎 中山書店:2011.pp185-190