カンジダ症
  カンジダ症

カンジダ症はCandida albicansによる感染症です。カンジダ菌は健康な人の皮膚、口腔、膣、糞便中に存在しているヒトの常在真菌です。元々病原性は強くはないのですが、体の抵抗力が衰えたり、局所が湿る、擦れるなどの高温、多湿の環境で病気として症状を現わします。
 また全身の抵抗力が落ちたり、免疫力が落ちたりすると日和見感染症といって、消化管、気管支などにも白苔をつけたような粘膜のカンジダ症が生じることがあります。
●症状
【皮膚カンジダ症】
 ≪カンジダ性間擦疹≫
間擦部とは、腋の下、乳房下、股など皮膚が擦れる部分のことで特に、垂乳や、腰が曲がっていたり、肥満の人、乳児の首、股など皮膚がくびれ、皺になった場合に発症します。また脳梗塞などで手が拘縮した場合も発症します。糖尿病、寝たきりの老人などでも好発します。症状はくびれた部分に沿って、びらん性紅斑といって赤くじくじくただれた状態で浸軟した鱗屑(白くふやけた薄皮)が付着しています。細かい水疱や膿胞(みずぶくれや、それが化膿したもの)をみることもあります。
≪おむつカンジダ症(乳児寄生菌性紅斑)≫
おむつ部に生じるカンジダ症で、乳児に多いですが、一方寝たきり高齢者のおむつ部にも生じますので、乳児寄生菌性紅斑というよりは、おむつカンジダ症といった方が妥当とされています。おむつ部に一致してびらん性紅斑面(じくじくただれた赤い局面)があり、周辺部には紅色丘疹(赤いぶつぶつ)や膿胞(黄白色に化膿したぶつぶつ)が散在します。
≪カンジダ性指趾間びらん症≫
 水仕事の多い女性や飲食業、美容師などの利き手の第3指間によくできます。白くふやけた薄皮がつきますが、剥がれるとじくじくしたびらん面となり、周りは襟飾り様の皮が取り囲みます。また蒸れやすい足では第4趾間によくできます。水虫との区別が難しい時もありますが、鏡検、培養で区別できます。
≪カンジダ性爪囲爪炎≫
主婦など水仕事の多い人の利き手の第2−4指によくできます。爪の周りの赤み、腫れで始まり、次第に爪の根元が黄白色に混濁し、爪の表面が凸凹に変形したり、横溝を形成するようになります。押すと痛みがあり、膿がでることもあります。この状態は手湿疹と合併することがありますし、そのためにステロイド剤をつけるとさらに悪化します。
またカンジダ性爪甲剥離症、爪カンジダ症といって、爪白癬と似た症状を呈する場合もあります。テルビナフィン(ラミシール)の内服で軽快しない場合は爪カンジダ症も考える必要があります。
●鑑別診断
 おむつ部はおむつや洗剤、外用剤によるかぶれ(接触皮膚炎)を起こしやすい部位ですし、またおしり拭きを繰り返すことによる刺激性の皮膚炎も起こします。また当然大腸菌やとびひの菌(黄色ブ菌、溶血性連鎖球菌)も付き易い場所です。さらにこれらは湿疹の治療のためのステロイド外用剤で悪化しますので注意が必要です。
手や足はかぶれ(接触皮膚炎)や水虫との区別が必要です。
【粘膜カンジダ症】
≪口腔カンジダ症(鵞口瘡)≫
新生児に多くみられます。成人では悪性腫瘍、ステロイド剤、抗生剤などの使用者に生じますが、健康な人にもみられることがあります。白色のミルクかす様の白苔が口腔粘膜、舌にみられます。膜を剥がすと赤いびらん面(赤いただれ)がみられひりひりしみる感じがあります。味覚の消失も生じることがあります。
≪カンジダ性口角炎≫
口角部に浅いびらん、亀裂を生じかさぶた、白いふやけた苔状の皮がみられます。唇を舐めたり、高齢で口角が垂れて湿って生じ易くなります。
≪外陰カンジダ症≫
外陰部が発赤し、薄皮がむけた状態になります。高度になるとただれた状態になり皮はふやけてかゆみ、灼熱感を伴います。女性では症状が強く現れます。もともと常在菌ですので健常者の外陰部、膣にも常在していますが妊娠、糖尿病、抗生剤の連用で発症することが多いです。性感染症としての側面も持っていますのでセックスパートナーへの感染には注意が必要です。
●治療
元々常在菌なので、菌の増殖を防ぐ事のみでも軽快します。すなわち入浴、清拭し、蒸れたり不潔な状態を是正することが重要です。薬物療法としてはイミダゾール系の抗真菌剤を使用します。現在使われているものは、ルリコン、アスタット、アトラント、ニゾラール、マイコスポールなどがあります。じくじくしたびらん状態がひどい場合は上記の内軟膏剤(アスタット、アトラント)を塗布し、その上に亜鉛華軟膏をリント布などに延ばし重ね塗りします。口腔内ではフロリードゲルなどをできるだけ長く口に含みます。膣の場合は膣錠を使用、爪や重症例ではイトリコナゾールの経口剤50-100mgの内服をします。
難治の場合や再発の場合は隠れている基礎疾患(糖尿病、癌、免疫異常など)の検索が必要な場合もあります。