風疹(三日ばしか)
  風疹(三日ばしか)

病因
風疹ウイルスによります。トガウイルス科ルビウイルス属に属するRNAウイルスです。直径は50-70nmでエンベロープを有します。 飛沫感染をしますが、感染力ははしか、水痘(水ぼうそう)帯状疱疹ウイルス程ではありません。小児では軽症ですが、成人では重症化することもあります。不顕性感染といって症状の現れないうちに感染していることもあります。(20-40%)

症状
潜伏期:2〜3週間ですが、16-18日が多いです。発疹出現数日前から出現後7日間が最も感染し易いです。
前駆期:1-2日の軽い感冒様症状が現れ、全身倦怠感、頭痛、咽頭痛、食欲低下、関節痛などがありますが、思春期以前の小児ではリンパ節腫脹以外の症状はみられないことが多いとされます。
発疹期:はしかより、淡く大きさが均一で2-5mm大の紅斑、ないし斑状の丘疹が播種状に(ばらばらと散らばって)多発します。皮疹は融合傾向は少ないですが、融合することもあります。顔、耳後部、首、体幹、四肢の順番に急速に拡がります。口蓋粘膜に点状の出血(Forschheimer`s spot)、眼球結膜の充血が見られます。発熱はあっても軽度のことが多いです。リンパ節腫脹は耳介後部の腫脹が特徴的で、3〜6週間続きます。
回復期:発疹は出現した順に消失していきます 。3〜5日で急速に消退し、はしかと異なり色素沈着は残しません。

合併症
血小板減少性紫斑病
脳炎
溶血性貧血
これらの症状は稀に発症します。
関節症状
思春期以降の小児と成人の5-30%にみられます。女性に多いです。症状は多くは一過性です。

診断
周囲の流行状況、発疹の性情、耳後部のリンパ節腫脹などから臨床的に診断します。 診断を確定するにはウイルスの抗体検査をしますが、急性期には EIA IgM抗体が陽性であれば風疹と診断できます。また急性期と回復期の2回のペア血清でHI抗体の4倍以上の上昇で風疹の診断ができます。

疫学
以前は、3−5年ごとに流行があり、10年ごとには大流行がみられていました。1964,5年には沖縄で大流行があり、この時先天性風疹症候群の多数の患者が発生しました。1995年から始まった幼児への風疹ワクチンの接種によって流行は少なくなり散発例のみとなってきています。2000年以降は成人患者の占める割合が増えています。また若い女性の世代で抗体陰性率の高い谷間世代があり、この人々が妊娠・出産することによって先天性風疹症候群の増加が懸念されています。

治療
それぞれの症状に対する対症療法のみです。(発熱に対するアセトアミノフェンなど)
第2種学校感染症に指定されていて、発疹が消失するまで登校禁止です。

予防
2006年から麻疹・風疹(MR:measles-rubella)混合ワクチン接種が1歳児(1期)と就学前の一年間の幼児(2期)に対して定期接種が行われるようになりました。
2008年からは5年間の時限措置として中学1年生(3期)、高校3年生(4期)に相当する一年間に対してMRワクチンの接種が行われるようになりました。
定期接種もれや、特に妊娠可能な女性は、妊娠をしていないことを確認の上、予防接種する必要があります(風疹HI抗体価が1:16以下の場合)。また接種後2カ月は避妊する必要があります。

先天性風疹症候群
風疹ウイルスの胎内感染によって胎児に引き起こされる病変の総称です。
胎児の感染率は妊娠11週以前の罹患では80%以上、12-16週で約50%,第2三半期で約25% とされます。そして、感染した胎児での先天性風疹症候群の発症率は11週以前ではほぼ100%,12-16週ではでは約50%とされます。
出生時の一時的な症状として、低体重、紫斑病、肝脾腫、骨病変があります。
その後、持続する代表的な症状は、難聴(高度感音性難聴)、先天性心疾患(動脈管開存、肺動脈狭窄、心室中隔欠損など)、眼症状(白内障、緑内障、網膜症)精神遅延などがありますが難聴の頻度が高くみられます。
また晩発性の障害として、糖尿病、甲状腺疾患、自閉症、進行性風疹全脳炎などがあります。
また患児は新生児期から幼児期にかけて鼻・咽頭・尿などから風疹ウイルスを排出するので周囲への感染に注意する必要があります。
全国的な流行のなくなった1999年以降は年間の発生は1例程度だったのが2004年各地での流行に伴って10例の発生があり問題になったとのことです。

参考文献
小児科臨床ピクシス 小児感染症 総編集◎五十嵐 隆 専門編集◎細矢 光亮
          風疹  楠原 浩一
皮膚科臨床アセット ウイルス性皮膚疾患ハンドブック
          総編集◎古江増隆 専門編集◎浅田秀夫
          風疹  馬場直子