みず虫
  みず虫(足白癬) 水虫は白癬菌(皮膚糸状菌)が皮膚の表面に寄生して生じます。白癬菌は真菌(カビ)の一種ですが人に移るので病原真菌とよばれます。これは皮膚表面の角層のケラチンを栄養として発育します。ケラチンは毛、爪にも存在するので(硬・ハードケラチン)そこにも感染します。   水虫(白癬)は発生部位によって、頭部白癬(シラクモ)、手白癬、足白癬、体部白癬(ゼニタムシ)、股部白癬(インキンタムシ)、爪白癬に分けられます。  ここでは最もポピュラーな足白癬を中心に説明します。足白癬は1千万人以上の患者さんがいると想定されます。足白癬には趾間型、小水疱型、角質増殖型があります。
●症状
≪趾間型≫水虫の中で最も多いタイプです。特に第4趾間(小指と薬指の間)に発赤(あかみ)、鱗屑(かさかさ・皮むけ)時に小水疱や膿胞(みずぶくれ、うみ)がみられます。引っ掻くと浸軟(ふやけ)びらん(ただれ)がみられます。赤みがあると痒みがあります。 (写真1)
≪小水疱型(汗疱型)≫梅雨時に増えてくるタイプです。足底、趾間に5mmくらいの小 水疱がみられます。土踏まずに多くぱらぱらとみられますが、時にはかたまって大き な水疱になる時もあります。水疱が固まると痂皮(かさぶた)となり、皮がむけて縁 が鱗屑(かさかさ)となります。(写真2a,2b)
≪角質増殖型(角化型)≫両足底が厚い角質に覆われた状態になります。かかとには亀裂(ひびわれ)が出来ることがありあます。特に冬場はひどくなります。かゆみは一般に  ありません。(写真3) 
●診断
 典型的な場合は症状を見るだけで診断が可能です。しかし、確実に診断するには白癬菌を確認する必要があります。
 直接鏡検・・・水疱を破った皮、鱗屑を苛性カリ(KOH)液に浸し、顕微鏡で覗くと糸状菌をみることができます。ただ全てのみず虫で菌がみつかるわけではないので一度で見つからない場合は診察の度に再度調べることもあります。特にびらん面とか爪などでは検出率が低くなります。(写真4)
 真菌培養・・・サブロー培地で培養をすると真菌が生えて菌種まで確実に同定することができます。白癬菌は一種類ではなく犬、猫から感染する菌もあります。(写真5)
●治療
 抗真菌外用剤(つけ薬)をつけます。但し、角化型や、別に述べる爪の水虫では外用薬では薬剤が患部に届きにくくて内服薬(飲み薬)が必要になってきます。外用薬には  液剤、クリーム、軟膏があります。好みでつけ分けますが、液剤は刺激が強く、軟膏は刺激が少ないですが、べたつきがあります。それで下記の様につけ分けます。
*びらん面(じくじくただれた所)・趾間・亀裂   乾燥した所(足底など・爪)
           軟膏        クリーム      液
*趾間型では足をよく洗い、風呂上がりの就寝前に外用薬をつけた後、趾間にガーゼをはさんだり、ガーゼに亜鉛華軟膏をのばしてから重ね塗りすると良いです。5本指の木綿の靴下を履いて足の乾燥を保つことも有効です。 *薬は症状のある部位より広めに、足底全体と趾間全体につけることが必要です。
*症状が消えて一見治ったと思えても更に1〜2カ月はつけ続けることが必要です。
*つける量は外用剤をチューブから人差し指の末端の関節から先端まで出した量が概ね  0.5g(手のひら2枚分)ですがそれが片足分のつける量と考えれば良いです。  すなわち両足で1.0gです。そうすると1カ月分で20~30gとなります。
*つけ続けて薬がしみたり、よけいに痒くなったり、腫れたり、赤み、じくじくが増した場合は薬かぶれや細菌感染の可能性がありますので、外用を中止してすぐに医師に相談することが大切です。
●予防
*足は趾間まで毎日石鹸でよく洗うことが重要です。但し指の間をごしごし洗うとひび割れ、  ただれが生じますのでやさしく洗うことが必要です。
*白癬菌は高温、多湿を好みます。通気性のよい履物や、木綿など吸湿性の良い靴下を履くようにし、足の水分や汗を拭きとるようにして足を乾燥させることが重要です。
*角質の中の白癬菌はあか、皮膚の屑などとなり剥がれ落ちてからも数カ月は生き続けます。  畳、マットなどはよく掃除し、履物を共用しないなど感染を避けることが必要です。 *家族の中に水虫の人がいると感染します。全員が治療する必要があります。
●鑑別診断 (読み飛ばしても良いです。)
 症状は水虫と似ていても水虫ではない疾患もあります。
 以下に手や足に発疹があり、一見水虫と思われても水虫ではない疾患を列挙しました。頻度の低い病気も多く並べましたが、意外と多くの水虫以外の疾患があることを知っていただきたいからでもあります。 
(各々の疾患については別稿で説明したいと思います。赤字は割と多くみられます。)
1) 接触皮膚炎(かぶれ)
かぶれの原因はいろいろありますが、‘水虫‘の場合で一番考えられるのは水虫薬によるものです。特に市販の水虫薬(OTC:over the counter薬ともいいます)では、種々の添加物が入っています。例えば痒みどめ成分のジフェンヒドラミン、クロタミトン また局所麻酔薬のリドカイン、主成分の水虫薬によってかぶれることも多いのです。症状がひどくなると、よけい一生懸命に塗って悪化させる患者さんを多くみます。
2) 汗疱
異汗性湿疹、小水疱型湿疹ともよばれます。手足に痒みのある小水疱を生じます。
季節ごとに消長を繰り返し、慢性の経過をとります。原因は不明ですが、アトピー性皮膚炎、金属アレルギー、多汗症、ストレス、気候、喫煙も影響するといわれています。
3) 砂かぶれ様皮膚炎
4) 溶連菌感染症、猩紅熱の後
5) 健康サンダル角化症
6) 掌蹠角化症(遺伝性・後天性
7) ヒ素角化症
8) Symmetrical lividitis of the sole of the feet (SLSF)
9) 点状角質融解症(pitted keratolysis)
10) 扁平苔癬
11) 扁平苔癬様薬疹(フトラフールなど)
12) 掌蹠膿胞症(しょうせきのうほうしょう)
手のひら、足底に両側性に膿胞、小水疱が多発します。水虫と異なり感染せず、歯科金属アレルギー、歯周炎などの病巣感染アレルギーが関係すると考えられています。
欧米では次に挙げる乾癬の類症とされています。
13) 乾癬
全身に銀白色の鱗屑(かさかさ)伴った紅斑(あかみ)、丘疹(ぶつぶつ)が出現します。一s乾癬では爪も水虫に似た混濁、肥厚をきたすこともあります。
14)乾癬型梅毒
15)疥癬
16)手足口病
17)円板状エリテマトーデス
その他にもありますが省略します。