接触皮膚炎(かぶれ)
 
病因
一次刺激性とアレルギー性に分かれます。一次刺激性接触皮膚炎は、接触源そのものの毒性によって生じるので、 それが皮膚に付着し吸収されれば濃度によっては誰にでも生じる可能性があります。外来刺激物質によって表皮細胞が 障害され、細胞からライソゾームやサイトカインが放出されて湿疹を生じます。
アレルギー性接触皮膚炎ではW型アレルギー(接触アレルギー)の機序を介して発症します。それで、ある物質に感作されてアレルギーになった特定の人だけに生じます。
これには感作相と惹起相の2つの相があります。
かなり複雑ですが、目で見て分かりやすいように皮膚の模式図を使って図示しました。 (図1)
1)感作相
分子量の比較的小さな(1000以下)単純化学物質(ハプテン)が皮膚表面から表皮に侵入し蛋白質と結合します。
これを抗原提示細胞である皮膚樹状細胞(Langerhans細胞)が捕獲します。そして、所属リンパ節に流入して抗原情報をTリンパ球に伝達します。この反応が起こるためには、Langerhans細胞だけではなく、表皮のケラチノサイトが刺激されて、TNF-α,GM-CSFなどのサイトカインが産生されることも必要となります。
情報伝達を受けたTリンパ球はリンパ節内で増殖・分化して感作リンパ球(エフェクターTリンパ球)が誘導されます。
この細胞は以前はCD4T細胞が主体と考えられていましたが、現在ではTh1/Tc1細胞であるCD8T細胞が主体と考えられています。
2)惹起相
惹起相はまだ明らかでない部分が多いところです。感作が成立した後の生体に以前の抗原物質が付着すると、感作相と同様にハプテン・担体蛋白結合物ができます。そして、、エフェクターT細胞が表皮に遊走し、Langerhans細胞の助けを借りて抗原刺激を受けたエフェクターT細胞は各種の炎症サイトカインやTNF-αなどを細胞外に放出して湿疹反応を引き起こすと考えられています。
光接触皮膚炎
上記のような接触皮膚炎の反応を生じるために光が必要な場合があります。それを光接触皮膚炎といいます。接触皮膚炎と同様に一次刺激性とアレルギー性があり、それぞれ光毒性接触皮膚炎、光アレルギー性接触皮膚炎といいます。通常光は長波長紫外線(UVA:ultraviolet A)が作用波長になります。単純化学物質光が作用して、光ハプテンとなりこれが感作抗原になり、あとは接触皮膚炎と同様の経路で湿疹反応を起こします。
UVAはガラス板、窓を通過しますので窓越しでも発症することに注意する必要があります。

原因
皮膚に付着するもののほぼ全ての物質が原因になり得ます。下記にその一覧表を示します (表1)。頻度の高いものとしては、クロム、ニッケル、コバルトなどの重金属類(皮革製品、セメント、金属装身具など)うるし、さくら草、はぜ、ぎんなんなどの植物、毛染め(パラフェニレンジアミン)、ゴム手袋(ラテックス)、化粧品、医薬品(痒み止め、ジフェンヒドラミン、クロタミトン、リドカインなど)が挙げられます。

症状
原因となる物質が接触した部位に比較的境界がはっきりした湿疹反応を示します。すなわち、紅斑(赤み)、丘疹(細かい皮膚から隆起するぶつぶつ)、小水疱、びらん、痂皮、鱗屑(かさかさ)などの変化が限局してみられます。ただ、外来刺激物が広範囲に付着すると湿疹も広範囲に拡がり、発熱、全身倦怠感などの全身症状を呈することもあります。刺激が長期間に及ぶと、皮膚が像皮膚のように厚く肥厚し、苔癬化といってごわごわした皮膚になることもあります。このような状態を慢性湿疹といいます。
接触皮膚炎の症状は、部位、原因物質によって特徴的な形態を示すものもありますが、別稿で個別に説明します。

参考文献

高山かおる  接触皮膚炎診療ガイドライン 2011   

松永佳世子 接触皮膚炎 皮膚科の臨床 51(11)特集:49 ;1323-1331,2009

塩原哲夫  接触皮膚炎 皮膚疾患最新の治療 2011-2012; 46-47