しらくも・たむし
  シラクモ(頭部白癬)
 注 写真1,2,3,4は,千葉大の先輩の岩津都希雄先生に提供していただきました。
 頭の毛に白癬菌が寄生した状態を頭部白癬といいます。以前から俗に「シラクモ」と 呼ばれてきたものです。円形状に灰白色の鱗屑(フケ様かさかさ)をつけた脱毛(ハゲ)面がみられます。 (写真1)
 また黒点型(black dot ring)といって髪の毛がちぎれて曲がってカール状を呈し黒い点の集合状に禿げた局面を示す型があります。(写真2)
 稀にケルズス禿瘡(とくそう)といって赤く腫れあがり、化膿して脱毛局面を作り、リンパ節が腫れる型があります。(写真3,4)
 原因菌はミクロスポルム・カニス (Microsporum canis)といってペット(特にネコ)から感染する場合と トリコフィトン・トンズランス (Trichophyton tonsurans)といって格闘技選手間で感染する場合があります。

 診断  抜けやすい毛を抜いて、鏡検すると菌がみえます。  シャンプーブラシを10〜15回ブラッシングした後培地に押し付けて真菌を培養します。

 治療  頭部白癬は頭髪に白癬菌が感染していますので、外用剤(つけ薬)では治らず、抗真菌剤の内服を行います。テルビナフィン(ラミシール)1錠(125mg),イトラコナゾール(イトリゾール)2〜4錠(100~200mg)/日を2〜3カ月内服します。無症状でも保菌者はテルビナフィンを6週間内服することが推奨されています。また抗真菌剤入りのシャンプー(フルフルシャンプー)の使用も推奨されています。   外用剤(つけ薬)の治療では、時に刺激、炎症をおこして症状が悪化することがありますので注意が必要です。

注意事項
 M.canisは1970年代にペットとして輸入されたイヌ、ネコに付着して国内に持ち込まれ、流行しました。T.tonsuransは2000年頃に、格闘技の外国人選手との交流、接触によって国内に持ち込まれ、またたく間に全国に拡大しました。現在は強豪選手のみならず、より一般のレスリング、柔道愛好家などの学童、一般家庭への感染の拡大がみられています。この菌は患者以外に無症状の保菌者が存在しこのことが病気の拡大の要因になっています。この菌は黒点型の頭部白癬の型をとります。   特に我が国では柔道競技を通して拡大しつつあり、症状も軽く保菌者が多いので放置されるケースが多く見られます。特に柔道指導者・コーチはこの疾患の認識を持ち、医療機関(皮膚科医)と連携することが重要です。

ゼニタムシ(体部白癬) インキンタムシ(股部白癬)  俗にぜにたむし(写真5) 、いんきんたむし(写真6)と呼ばれます。 症状は環状、堤防状に輪を描き、赤み(紅斑)、ぶつぶつ(丘疹)、小水疱、かさかさ(鱗屑)がみられます。中心治癒傾向といって中心部は比較的症状は軽く、色素沈着がみられることがあります。痒みを伴います。M.canis 感染では、ペットを抱いたりして感染しますので顔、腕に小型の症状が出やすいです。
 顔面では他の部位と比較すると多彩な症状を示すことが多いです。ステロイド外用剤を使用している例があり、非典型的になる(顔面異型白癬)。毛穴、脂腺が発達しニキビ様になる。湿疹とまぎらわしい。などがその理由です。
 また俗に「ハタケ」というかさかさした円形のものがありますが、これは顔面単純性粃糠疹といって乾燥肌の類で、白癬ではありません。

治療
 全般的につけ薬(外用剤)を2〜4週間つけることで治癒します。顔の例、重症例、毛についた例などでは内服が必要になることもあります。