丹毒、蜂窩織炎
  丹毒、蜂窩織炎

浅在性の皮膚感染症は、比較的軽症で外来治療が中心になりますが、感染が真皮、皮下組織と深在性に進展すると重症になることがあり、更に深部の筋膜にまで感染が及び、壊死性筋膜炎へと進展すると致命的ともなることがあります。ここでは真皮、皮下脂肪織を病変の場とする丹毒、蜂窩織炎をとりあげます。

丹毒
●病因
真皮レベルを水平方向に急速に拡大する浮腫性紅斑と腫脹を特徴とする急性の化膿性感染性の疾患です。浅在性の蜂窩織炎ともいえますが、蜂窩織炎の中に含める考え方もあります。A群β溶血性レンサ球菌によるものが多いですが、B,C,G群また黄色ブドウ球菌によるものもあります。
●症状
発熱、悪寒、頭痛、倦怠感などの全身症状を伴って、突然発症します。外傷に続いて起こりますが、侵入した傷が分からないことも多いです。顔面、下肢に好発します。急速に浮腫性の光沢のある紅斑が拡大し、境界は明瞭なことが多いです。水疱となることもあります。局所の灼熱感があり、触ると痛みがあります。病変部近くのリンパ?は腫脹します。顔面の場合は片側から始まり両側に拡大していきます。咽頭からの溶連菌が原因になることも考えられます。治癒期には膜様の落屑(皮むけ)を生じます。 (写真1、2)
習慣性丹毒
癌治療のためのリンパ節郭清や放射線照射などによってリンパ流が障害され、リンパうっ滞が誘因になって同一部位に繰り返し発症することがあります。また治療が不完全だと習慣性となることもあります。
●治療
丹毒の治療はペニシリン系の抗生剤が第一に使われます。再発予防、糸球体腎炎の併発を避けるために10−14日は継続投与する必要があります。また局所は安静、下肢は挙上し、冷湿布を行います。より深部に進行する重症例では入院の上、抗生剤の点滴治療を行います。習慣性で再発を繰り返す場合は、顔面では弾力のあるマスク、下肢では弾力ストッキングでリンパのうっ滞を改善することも大切です。

蜂窩織炎(蜂巣炎)?疽
丹毒より更に深い軟部組織(真皮深層から皮下脂肪組織)の急性、化膿性の炎症です。
●病因
主として黄色ブドウ球菌が原因菌ですが、化膿レンサ球菌やインフルエンザ菌、大腸菌、嫌気性菌など他の菌種も起因菌となります。Vibrio vulnificus, Aeromonas hydrophiliaなどでは重症の壊死性筋膜炎になることが多く注意が必要です。
●症状
四肢、特に下肢に好く発症しますが、顔、首、殿部にも発生します。境界が不明瞭なび慢性の紅斑、浮腫、浸潤の強い紅斑局面を作ります。リンパ管炎を伴い細菌の侵入門戸からリンパ管に沿ってスジ状の有痛性発赤が生じることもあります。壊死、膿瘍となることもあり、重症化した場合は、壊死性筋膜炎へと進展する場合もあります。 (写真3、4)
指趾部に発症した蜂巣炎は?疽と呼ばれます。爪囲の細かい傷をきっかけにして爪囲に発赤、腫脹を生じ、表面から膿汁が透けて見えます(爪囲炎)。深在性のものは?疽と呼ばれ、膿瘍を形成し、指全体が赤く腫脹し、激しい痛みを伴います。進展すると指尖部の壊死、骨壊死を生じることもあります。 (写真5、6)
●治療
黄色ブドウ球菌が多いことから、それに感受性のある抗生剤を使用します。内服でも改善しない場合は、早期に入院の上、点滴静注を施行します。それでも軽快しない場合は壊死性筋膜炎なども念頭に対処する必要があります。
局所の安静が重要で、冷湿布を行います。下肢の場合は挙上して休むことが大切で、軽快後にすぐに活動すると再発し易くなります。水虫、糖尿病などの基礎疾患を治してケアしておくことも重要です。