手足口病
  手足口病

●病因
ピコルナウイルス科に属するRNAウイルスであるエンテロウイルスによって発症します。 単一のウイルスによるものではなく、エンテロウイルス属のコクサッキーA16,その変異株のエンテロ71が主なものとされますが、その他のウイルス(コクサッキーA群、B群)エコーウイルスなどの報告もあります。
年ごとに異なるウイルスが流行する傾向があり、昨年は非典型的でコクサッキーA6によるものが多くみられました。(2011年)

●疫学
エンテロウイルス感染症は夏季に多く、時には秋から冬にもみられます。
母体からの免疫のため6ヶ月未満はみられませんが、その後5歳頃までが多くみられます。感染力は強く、便で汚染された手指からの接触、また咳や鼻水による飛沫でも感染します。

●症状
3-7日の潜伏期の後、発熱、風邪症状を伴って発症します。
皮膚の症状は手掌、足底、指の側縁に米粒大前後の水疱がみられます。水疱は楕円形で、長軸が指紋の紋理に沿っていることが多いです。そして、水疱の周囲には赤み(紅暈)を伴います。約1週間で乾燥して褐色になり、痕を残さず治癒します。(写真1−5)
手足以外にも、下肢、膝、陰部、肛門周囲などにも水疱、小さな丘疹をみることもあります。
2011年の手足口病は非典型的で重症な病型がみられ大流行しました。日本皮膚科学会からの通達は以下のものでした。成人ではより症状が強いようです。また治癒後の爪の変形、剥離の報告もありました。 (写真6,7,8)
*激しい口腔内病変を生じる
*手足に大型の水疱を生じ、多形紅斑、水疱症にも似た症状を呈する
 (従来の典型的な症状は手足の指紋に沿って、また手掌・足底に米粒大程度の楕円形の小水疱ができるものでした。たまに肛門周囲、肘、膝にもできます。)
*発熱などの全身症状を伴う
口腔内では、舌、頬、口蓋粘膜などに口内炎を生じ、水疱からびらんとなり、痛みのために食欲不振となることがあります。

●合併症
エンテロウイルス71による無菌性髄膜炎、脳炎、腎障害、心筋炎、コクサッキーA16による心筋炎、肺炎、脳炎などを起こすことがあります。

●検査・診断
水疱内容物からのウイルス分離、PCR法によるウイルスの検出、血清学的検査によって診断を確定しますが、集団、周囲での発生状況、臨床的に診断は比較的容易です。

●治療・予防
ウイルスに対する原因治療法はありません。従って、治療は症状を緩和する対症療法になります。口内炎による痛みに対してキシロカインゼリーの使用や、鎮痛剤、食欲不振からくる脱水には点滴による補液などを行います。髄膜炎を起こした場合はそれに対する治療を行います。便で汚染された手指からの接触、また咳や鼻水による飛沫でも感染しますので手洗いの徹底が必要です。

●登園・登校について
「学校感染症(第三種その他の感染症)に関する統一見解」が小児科・皮膚科の学会から公表されています。 参考になりますので、全文を記載します。

手足口病:手足の水ぶくれが消えて、口内炎が治っても、便の中には原因のウイルスが長く出てきます。トイレで用を済ませた後は手洗いをきちんとしましょう。口内の発疹で食事をとりにくい、発熱、体がだるい、下痢、頭痛などの症状がなければ、学校を休む必要はありません。

上記の文からわかるように急性期に出席停止にしてもウイルスは2〜4週間もの間排出されますので短期間の出席停止は感染予防に意味がありません。よって患児の具合の状況で対処してよいことになっています。